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新型コロナ第4波の衝撃 感染は止められるか?

4月下旬から拡大している新型コロナ「第4波」。インド型やイギリス型の変異株が感染者を拡大し、工業団地まで操業停止に追い込み、再度の社会的隔離を実施させた。その経緯と特徴、ビジネスへの影響を調べた。
本誌刊行は6月25日だが、特集記事の一部をいち早くWebサイトで配信する。

第4波、感染拡大の経緯
新型コロナはこうして広がった

海外からの入国者が感染源
再び北中部がクラスターに

 北部のハイズン省を中心に新型コロナ第3波が発生したのは、テト前の1月下旬。感染が収まったとみられる3月下旬までの約2ヶ月間に、13の省と市で900人以上の市中感染者を出した。第4波はそれをはるかに超える規模となっている。

 4月29日、日本から帰国した北部ハナム省の男性と4人の接触者(F1)が陽性と判明。一方、北部イエンバイ省では、インドから入国したインド人専門家の隔離ホテルの従業員が陽性となった。5月2日には同じホテルにいた中国人専門家が出国後に陽性と判明。立ち寄ったビンフック省で感染が広がる。

 これら感染者からダナンにも拡大。感染者からはインド型とイギリス型の変異株が見つかり、ハノイ、ホーチミン市、ダナンなどで各サービスの停止が広がっていくが、感染拡大は止まらない。

 5月5日は、新型コロナ患者の主要な受入れ病院である、ハノイの中央熱帯病病院でクラスターが発覚。感染者が毎日10人単位で増えていく。ベトナム入国時の強制隔離期間は14日間から21日間に延長となり、各地での学校が登校停止となる。

 その後、ハノイ、ランソン省、タイビン省、ゲアン省、ビンフック省、ダナンなどの病院での集団感染が判明。5月11日にはブー・ドゥック・ダム副首相が第4波のクラスターを、ハナム省の男性、イエンバイ省の隔離ホテルの外国人専門家、ラオスからの不法入国者がいたハイズン省、ハノイ市の中央熱帯病病院の4つと指摘する。

社会的隔離中のホーチミン市のグエンフエ通り

工業団地で感染が拡大
1日最多の444人を記録

 5月12日前後から、工業団地での集団感染が明らかになっていく。ダナンの工業団地で30人以上の疑陽性者が出て封鎖となり、北部バクニン省とバクザン省の工業団地でも集団感染が発生、その数は次第に増えていく。

 5月15日には1日の市中感染者数として過去最多となる165人を確認。18日はバクザン省内の4つの工業団地の稼働を一時停止。入居企業数百社が生産を停止し、工場労働者約13万6000人が影響を受けた。一方、ホーチミン市ではトゥードゥック市のマンションで感染者が見つかり、居住するブロック全体が封鎖。

 その後も新規の市中感染者は毎日100人台で見つかり、その中でバクザン省が半数以上を占めるようになる。工業団地で発生したクラスターが収まる様子を見せない。

 ホーチミン市では3日連続で計5人の市中感染者が確認され、21日には市内の路上営業と小中規模の飲食店が店内での飲食を禁止。ハノイでは市内のマンション在住者から感染者が広がり、市内のマンション5ヶ所が医療隔離措置に。5月25日からはハノイ市内全ての飲食店で店内飲食を禁止、美容室等も営業停止とした。

 この頃には自宅隔離中に外出して多くの接触者を出したバクザン省のワーカーが刑事事件として立件され、ラオスから不法入国して集団感染を引き起こした男性が逮捕される。

 そして、5月25日にはこれまで過去最多となる444人という市中感染者が確認。5月16日の187人が最多だったが、その2倍以上。バクザン省だけで375人と全体の85%を占めた。

 翌26日は過去2番目に多い235人の市中感染者を確認。第4波の市中感染者は3028人となり、5月22日に2000人を超えてからわずか4日間で1000人が増加した。

ホーチミン市のシェラトンホテルが閉鎖

ホーチミン市を襲う新型コロナ
「ハイブリッド株」が確認

 5月27日からはホーチミン市での拡大感染が始まる。ゴーバップ区の宗教教団体から36人の感染者が出て、彼らの勤務先等へも感染が広がっていったのだ。関連する区画、マンション、ビル、ホテルなどが封鎖され、ホーチミン市は即座に市内すべての飲食店での店内飲食を禁止、美容室なども営業停止とする。

 反対に北部のハイフォン市とタイビン省では飲食店などの営業が再開され、バクザン省の工業団地は1週間前の閉鎖後、4ヶ所の工業団地の28日からの操業再開を発表する。バクニン省とバクザン省では工場労働者へのワクチン接種がスタートし、北部の回復が見えてくる。

 また、ファム・ミン・チン首相は新型コロナウイルスのワクチン接種基金の設立を発表。国内外の個人や法人から寄付金を募り、ワクチンの購入や輸入、研究開発や製造に充てる予定だ。

 5月29日の市中感染者は277人で過去2番目の最多となる。ホーチミン市の宗教団体関連の感染がロンアン省にも飛び火。そして、国内感染者32人のサンプルのうち4人から、インド型とイギリス型の遺伝子変異体を持った、感染力のより強い「ハイブリッド変異株」が発見される。

 宗教団体が拠点とするゴーバップ区の警察はマスクの未着用や行動歴や健康申告を詐称があったとして、刑事事件としての立件を発表。

 5月30日の市中感染者は250人で、4月27日以降の市中感染者は4035人。26日に3000人を超えてから4日間で1000人以上が増加、累計感染者数は7107人となった。ホーチミン市は5月31日より15日間の社会的隔離措置を実施する。
 6月1日の市中感染者数は250人。宗教団体関連の感染者は合計で200人以上となった。

ホーチミン市のヴィンコムセンターのオフィス棟が閉鎖

現役日本人医師が語る
第3波までと第4波との差

Raffles Medical International Clinic
総合診療医 中島敏彦氏

猛威を振るう「インド株」
空気感染は世界の常識

 ラッフルズメディカルの総合診療医である中島敏彦氏。第4波の特徴として挙げたのは、インド型(B.1.617.2)とイギリス型(B.1.1.7)およびそのハイブリッド変異株が数多く見つかっていることだ。オリジナルより感染力が強いとされ、インド株は北部、イギリス株は中部に多いようだ。

「ベトナムの調査によると、インド株は閉鎖空間での空気中の拡散が早く、伝染力が高く、イギリス株より感染性が高いようです。ただ、世界的にも研究が十分に進んでいないため、情報を待つ必要があります」

 また、WHO(世界保健機関)、米国疾病予防管理センター、著名な医学誌の論文などで、「新型コロナウイルスは空気感染する」との発表が相次いでおり、ベトナムでも同様の報道があった。そうであれば上記のインド株による感染拡大も納得できる。日本ではあまり報道されていないようだが、中島医師は「新型コロナの空気感染は世界的な常識」と語る。

 とすれば、マスクを変えたり、換気システムの用意などが必要になるのか。WHOは対策を変えておらず、基本的にはベトナム政府の5K(マスク、消毒、間隔、大人数で集まらない、健康申告)を守ることが肝要という。

「大事なのは自己流の対応をしないことで、ベトナム保健省の通達を守りましょう。怖いのは実態を知らない日本本社が日本を基準に対策を強要してくる可能性で、その場合は実情を説明してください」

ラッフルズメディカルではPCR検査を実施中

感染経路がわかるのは安心
一人ひとりがルールを守る

 バクザン省など北部の工業団地で感染爆発が起こり、工業団地の市中感染者が広がった。以前には北部の複数の病院もクラスターとなっており、どちらもインド株が原因と見られている。一方、こうした感染者は接触者(F1)や集団感染地域の関係者などからの、隔離中や封鎖地域内での感染がほとんどだ。

「工業団地など感染地域を封鎖して、隔離中などの疑われる人から症例が出てくるのは、変な言い方ですが安心はできます。ただ、バクザン省ではF1やF2の人がF0に変った例が多く、その速度が早い。強い感染力があると推察できます」

 囲い込んだ上で感染者が一過性で増えていけば、いつかはピークアウトして感染者は減り、収束に向かう。クラスターからの感染経路がわからないと危険だが、ベトナム政府はしっかりと対応しているという。

「第4波を広げたのは、隔離期間中に多くの人に接触したり、マスクをしないで集まるなどした、感染対策を守らない人たちです。隔離中に一定数の少ない人たちが陽性となるのはわかっていたことで、その漏れた分をガードするのが5K対策なのです」

 ベトナムの感染対策は、方法論がロジカルで首尾一貫しており、やりすぎはあってもやらなすぎはない。何より行動が素早く、足りないことはすぐに修正している。

「経済的な視点からはわかりませんが、人命を優先する医師の視点からは大変素晴らしい対応です。ベトナムはその上で経済成長も維持しています」

 大切なのは一人ひとりがルールを守って感染対策をすること。それに尽きると中島医師は繰り返した。

医師とビジネスマンとの対談
第4波のビジネスへの影響

Ernst & Young Vietnam
パートナー 小野瀬貴久氏(右)

第4波は日本人ビジネスマンにどのような影響を与えるのか。EYベトナムのパートナーであり、JCCHの副会頭を務める小野瀬氏と中島医師との対談で明らかにしていく。

経済を意識した柔軟な対応
強制隔離期間延長の理由

中島 第2波ではダナン、第3波ではハイズンと、ある程度局所的な抑え込みが成功しました。しかし今回は全国的に感染が拡大しており、対応に苦慮した第1波のようです。しかも、変異株が確認され、感染経路が不明なケースもある。油断できないと思います。

小野瀬 色々聞きたいのですが、まずベトナム政府はビジネスをどう考えているのでしょう。

中島 例えば、観光ビーチの再開までに3週間を要しており、これが一般的です。しかし、工業団地は1週間の閉鎖から順次再開させて、労働者にワクチンを接種しています。

 単に公平な対処を目指すのではなく、サプライチェーン等の重要度を考えての判断でしょう。こうした柔軟な姿勢が素晴らしいですし、入国の一時停止も感染拡大防止のためのスピーディな判断です。

小野瀬 入国と言えば、強制隔離期間がビジネスの大きなネックです。14日間から21日間に延びた理由は何でしょうか?

中島 従来型の新型コロナに感染してから発症するまでの潜伏期間は、およそ4~7日(最長14日)と言われています。このサイクルの2倍を隔離期間とするのが基本なので28日間(強制隔離期間14日+自己隔離期間14日間)でした。

 しかし、現在はインド型等の変異株が中心で、詳細は研究結果を待っている状態ですが、感染力が強いので強制隔離期間を21日間(自己隔離期間は7日間)に延ばしたと思います。研究結果次第ではもっと長くなる可能性もあります。

ワクチンの接種は可能か
今後は長距離走を意識

小野瀬 感染を抑えるのはワクチンの接種だと思います。ただ、ベトナムで外国人が接種する順番が明確ではないですね。例えば企業で購入はできるのでしょうか?

中島 それは現行制度では難しいです。ただ、ワクチン接種基金が始まりました。当局が個人や法人から寄付を募って、ワクチンの購入や輸入、研究開発などに充てる仕組みです。ワクチンの供給には言及していないものの、各国の在越企業や商工会議所が注目しています。

小野瀬 もし供給が始まれば外国人だけでなく、自社のベトナム人社員にも接種ができます。福利厚生の一環として企業のアピールにもなりますね。ただ、日本人はワクチンの副作用を嫌うようです。先生はどう思いますか?

中島 打たないと仕事になりません。私は両肩を差し出しますよ(笑)。新型コロナワクチンは優秀で、種類によりますが接種後に発症しない確率は70%以上で、重症化しない確率は90~95%と言われています。

 他の感染症もそうですが、新型コロナワクチンは6ヶ月から1年で効力がなくなる可能性があります。今後は毎年接種するでしょうから、ビジネス的な観点からは早く打たないと損でではないでしょうか?

小野瀬 ワクチンを打つと人にうつしにくくなるという話を聞きました。本当なら朗報です。

中島 そのようなデータが世界各地から集まっています。もっと確実なエビデンスが欲しいところですが、これがコンセンサスになってもおかしくないと思います。

小野瀬 以前にSARS(重症急性呼吸器症候群)が感染拡大し、後に収束しました。新型コロナはどうなるでしょうか。

中島 SARSは致死率は高いものの、感染力は新型コロナほどは強くなかった。新型コロナの致死率は低いものの無視できない確率で、感染力が高い。まずはワクチンの普及に期待するしかないと思います。

小野瀬 新型コロナ対策は短距離走ではなく長距離走だと、多くの企業が認識を改めたと思います。私も同じように感じています。