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ベトナムビジネス特集Vol121|
ベトナムビジネス 勘違い“あるある”

ベトナムでのビジネス、日本の感覚でいると失敗することも多いですね。初心者には「トラップ」、ベテランには「あるある」。そんな事柄を5つの場面に絞り、各専門家にアドバイスを聞きました。

あなた、ひょっとして今でも勘違いをしているかもしれませんよ。

 

ネット・電話契約

 

安いネットワークは使えない 通信プランの賢い選択とは

 

VNPT VinaPhone

Sales Associate

白水雅直氏

 

失敗しがちなネットのプラン 「動けばいい」では動かない

 大手通信キャリアVNPT(ベトナム郵電公社)で働く白水氏。インターネット契約を金額のみで判断している企業の多くは、「失敗することが非常に多い」と語る。初期費用を抑えたい飲食店や中小企業に多く、プランの数が多すぎるのも理由のようだ。

「1人(1デバイス)でおよそ2~3Mbpsの回線速度を使います。仮に36Mbpsのプランで10人が使えば数字上は既に上限で、しかも36Mbpsとは理想値ですから10Mbpsもあり得るのです。これではネットが安定して使用できません」

 自社で判断して契約するのではなく、コンサルティング会社などに依頼する場合もある。しかし、その会社はベトナム人スタッフに任せることが多く、彼らもプロではないので安いだけでプランを選び、使用に不満が出ることになる。

 一方、日系のIT企業はきちんとプランを選び、良い機器を揃え、アフターサービスも対応するが、どうしても料金は上がるので中小企業は依頼を躊躇する。

「最初からネットワークの専門会社に依頼することです。現地の通信キャリアからローカルのIT企業を紹介してもらうこともできます。安かろう悪かろうにならないように、必要な機材なども確認して、納得して契約することです」

 例えば、個人使用のWi-Fiならルーターは無料の付属品でも良いが、オフィスで使うなら相応のプランと機器を選ぶなどだ。

 

使い放題でどれほど使う? 通信キャリアに直接相談

 個人のモバイル契約で日本人に多いのが、データと通話の「無制限プラン」。便利そうだが1ヶ月50万~60万VND、高いと100万VND払う人もいるそうだ。

「特にプリペイドSIMの無制限プランは非常に割高です。『月に何GB使うから』とプランを選んだ方がお得です。上限まで使い切ったら追加パッケージを買えば良いのです」

 例えば、高速データ通信が1日1GB使える、1ヶ月で9万VNDのプランがある。1GBというと少ないようだが、メールで約200通の送受信、ニュースサイトの閲覧で約3500ページ、ネット動画の視聴で約4.5時間に相当するという。PCでもこれほど使わないのではないか。

 また、支払いにはプリペイド(前払い)とポストペイド(後払い)があり、前者は個人ユーザー、後者は社員に支給する法人契約が多い。法人ならば1人の料金差がスタッフの人数分に膨らむため、節約した場合との差額が大きくなる。

「ベトナム人スタッフ同行の元、通信キャリアに行って相談すべきです。Webサイトは更新が遅いので、新プランがない、終了したプランが残っているなどがあります。直接話を聞いて、プランを決めてください」

 今後はSIMの規制や個人のポストペイド、特に外国人の利用が厳しくなるだろうと白水氏は語る。


オフィス賃貸

面積表示、エアコン代、無料期間… オフィス選びはここをチェック

 

RESS不動産

General Director

松本亮一氏

 

グロスとネットで2割の差 退去条件は契約書を読む

 

 日系不動産会社の草分けとも呼べるRESS不動産。2007年に設立した松本氏に話を聞くと、オフィス賃貸で注意すべきはまず、部屋の面積が柱や壁、あるいは通路など共用部分まで含んだ「グロス」の数字か、実寸の「ネット」の表示か。

「グロスはネットより約2割大きくなるので、60㎡なら実際は50㎡となります。また、表記と実寸が違う場合もあり得ますので、物件を契約する前に測量を行ったほうが良いかと思います」

 消費電力が大きいエアコンの電気代が、管理費に含まれているかどうかもチェック。また、大型ピルでは稼働時間が平日8~18時などと決まった、セントラルエアコンの場合もある。時間外の利用は高額になることもあるので、こちらも確認しよう。

「オフィスで携帯電話が使えるか(電波がきちんと届くか)、共用トイレの個数は十分か、スタッフの駐輪場はあるか、土日も入室できるかなども大切です」

 オフィスに引けるインターネット回線の数も確認。特にIT企業の場合、Viettelのみなど1社限定だと、その1回線がダウンすると仕事が止まってしまう。複数社引けるほうが望ましい。

 退去も想定しよう。通常は契約期間内でも3ヶ月分などの保証金で退去できるが、特に管理会社が外資系企業の場合は、残りの家賃も要求される場合がある。仮に2年契約で1年後に退去したら、残りの1年分と保証金の合計15ヶ月を支払うことになってしまう。

「契約書をよく読まない人もいるので注意してください。原状復帰やスケルトン引渡しなど、返却時の状態も確認しましょう」

 

オーナーや管理会社と親しく すべての確認は契約前に

 交渉次第で得ができる可能性もある。オーナーや管理会社によっては無料の内装期間を設けてくれる場合があるからだ。内装のためとして、最初の2週間から1ヶ月などの家賃が無料になることもあるので、ぜひ話し合ってみよう。

「オーナーや管理会社には事務手続きの書類を提出してもらう場合があるので、必要な書類を持っているかも聞いてください。火災保険などの強制加入があるかどうかもです」

 松本氏によれば、多くの顧客には予め希望の立地があり、予算もある程度決まっているという。中小企業であれば銀行やコンサルティング会社からアドバイスを受けている。そして、少なくとも5件程度の物件を見学して、決めているのだそうだ。

「オフィスを借りる際のチェック事項は多いのですが、それ以降のトラブルはあまりありません。最初が肝心です」


消耗品・備品

文房具や家具は価格だけで買わない 無駄な購入や偽物にも注意

 

QUICK QUICK(Nhanh Nhanh)

General Director

一柳大輔氏

 

「安物買いの銭失い」も 品質とのトータルで選ぶ

 文房具など消耗品や家具など備品のカタログ販売で13年の実績を持つニャンニャン。扱う商品は日本製、その他の外国製、ベトナム製があるが、日系の工場からは「オールベトナム製でいいから安いもの」といった注文が来るという。

「製造業はコスト削減が目的の進出が多いので、気持ちはわかりますが、特にオフィス家具はやめたほうがいいと思います」

 例えば工場の立上げで椅子、机、会議用テーブルなどを一括購入。しかし、数ヶ月で壊れたり、使い勝手が悪くなったり、腰を痛める人もいて、再発注では日本製に変わることも。こうした備品は10年程度は使うものなので、安全性や耐久性を含めたトータルで考えたほうがいい。日本製にするなら当初から買ったほうが得なのだ。

 また、ベトナムの文房具は質が悪いと言われるが、一柳氏は「半分正解」と語る。なぜなら、ベトナム人スタッフは作業効率や品質よりも安い商品を選びがちで、理由は「一番安い物を買っておけばとりあえず上司に怒られない」からだそうだ。

「日、米、独のような文房具先進国のレベルでなくても、ベトナム製にも良い商品はあります。また、台湾製や現地日系メーカーのベトナム向け商品であれば、日本からの輸入品より価格を抑えられます」

 

在庫管理で無駄を削減 購入は信用できる企業から

 倉庫に文房具が山と積まれたような無駄な購入もある。多品種かつ金額が小さいことから、在庫管理が行われず、担当者の重複発注も起こってしまう。

「文房具や消耗品にも適材適所があります。専門業者に使い方を相談したり、コスト意識を持って購買計画を見直しましょう。必要なものをその都度発注する方法も有効です」

 もし消耗品や備品を購入してレッドインボイスが出なかったら、購買担当者が業者からバックマージンを受け取っている可能性もある。調べる方法は見積もりとインボイスの付合せだが、ベトナム語なので難しく、大手企業なら大量に発生するのでチェックの時間が取れない。確実なのはコンプライアンスを遵守できる企業に発注することだ。

 また、EPE企業なら文具などの消耗品は、優遇税制により10%のVATがかからない。同社でもこうした場合はVATを請求しない。購買担当者がスーパーや市場で買っていたら当然VATがかかるので、こうした知識も教えておくべきだろう。

「また、文房具などは日系メーカーのコピー商品も売られています。あまりに値段が安かったら偽物の可能性が高いですね」


人材採用

 

「日本語能力重視」もほどほどに  ベトナムに合わせた準備を

 

ICONIC

HR Recruiting Department

Sales Executive

丹代小百合氏

 

総務と経理が人気職種 本業のスキルを忘れずに

 2008年設立の大手人材紹介会社アイコニック。日系企業と数多くの実績を持つ同社は、進出日系企業が多く採用するベトナム人は、まず日本語話者の総務スタッフという。仕事は書類の作成から通訳まで幅広く、社長の片腕ともなる存在だ。

「外資系の総務職はベトナムではステータスが高いので、募集すれば応募が殺到します。ただ、資格と日本語能力だけでなく、面接では本業のスキルを確認してください」

 日本語人材を欲しがるあまり、N1などの日本語能力資格や日本語の上手さだけで決めるのは危ない。「採用したらスキルがなかった」、「日本語はできるが仕事の話が通じない」などの例もあるからだ。N2でビジネス能力の高い人や、資格はN3でも日本語能力の高い人もいる。言語と仕事の能力は違うものと考えよう。

 総務に次いでニーズが高いのが経理。日本では会社規模によっても総務と経理を同じ人材が担当することもあるが、ベトナムでの外資系企業はチーフアカウンタントと呼ばれる会計の専任者を置かなければならず、特別な資格が必要となる。ここを勘違いする日本人が多いという。

「チーフアカウンタントは総務とは別の職種です。日本語人材はあまりいないので、圧倒的に多い英語人材を考えたほうが探しやすいです」

 

日本スタイルにこだわらず 複数人で複数回の面接

 採用においてはベトナムの文化や慣習を理解して、日本での基準や経験を持ち込まない。例えば、「このポジションは男性(女性)が良い」などと、日本本社での慣習に合わせてしまうこともあるそうだ。

 面接は複数人が担当して、できればベトナム人スタッフを含める。また、1回でなく最低2回は行う。必ずしも採用のプロでない日本人が、わずか30分程度の1回の面接で、ベトナム人応募者を理解できるだろうか。だからベトナム人の目を入れて、何度か面接する。

「採用の全てをベトナム人の人事に任せてしまうのも良くありません。日本人とベトナム人の両方の目線で進めていくことをお勧めします」

 応募者の前職の従業員規模や業種もなるべく揃えたほうが良い。同じ総務でも大手製造業の工場勤務と、小規模なサービス業では業務内容が違ってくるので、自社にマッチした職歴を探そう。

 給与額も意識したい。ベトナムの給与は毎年上昇しているので、数年前と同じ金額を提示していると応募者の数は減っていくそうだ。市場調査をして適切な額を考えたほうが良い。

「日本で働くベトナム人も増えており、ベトナム人の就職先の選択肢も広がっていくと思います」


ベトナム進出

 

ベトナムへの夢はわかるが 思い込みでストーリーを描かない

 

LAI VIEN

General Director

桜場伸介

 

進出のコストは安くない 安易に人を信じるのは危険

 弊誌『ACCESS』を刊行するライビエンは、日本企業のベトナム進出支援も事業の柱。これまで製造業を中心に延べ500社以上をサポートしてきた。在越20年となる代表の桜場は、製造業はコスト削減が目的の進出が多いが、ベトナムは意外にコストが高いと語る。

「中国からのベトナムシフトを望む企業は多いですが、製品の価格を調べれば、同等の製品を中国企業より安く作れるベトナム企業は、まず存在しないとわかります」

 中国の企業は原材料を多く調達でき、産業のすそ野が広く、大量生産で安く作れる。ベトナムでは原材料もそうだが、機械や設備を輸入する場合も多い。確かに人件費は中国より安いものの、製造業の初期投資は膨大で、人件費は全体の数%にすぎないこともある。

「具体的に費用やスケジュールを計画し、ひとつずつ課題をつぶしていくことです。現地を訪問して得た情報より、日本での知識を重視して、成功するストーリー作ってしまう人もいます」

 どこかで知り合った日本語話者のベトナム人を「相棒」にしているケースも。ベトナム人には自信満々な人も多く、「俺に任せておけ」と言われると頼もしく感じるのだろうが、色々な人から話を聞くべきだ。

「役に立つのは『日本だったらどうか』という視点です。普通の日本人は外資系企業の進出など手伝えないし、労働法の知識もないですよね」

 

慎重に、かつ決断は早く 根拠を聞いて次の対応を

 ベトナムだからモノやサービスが売れると信じる人もいる。しかし、現地法人設立後の市場開拓が厳しいのはご存知の通り。

「市場調査をして、足を運び、代理店で販売してみる。その後駐在員事務所で進出して様子を探り、黒字化できそうなら現地法人にする。それでも成功できない企業はあります」

 駐在員事務所は営利活動ができないため、所得税はあっても法人税がない。だから市場調査などにはうってつけだが、税務手続きをおろそかにすると落とし穴にはまる。

「現法に変えるときなどで税務調査が入り、領収書がないと所得とみなされて、過去にさかのぼって追徴課税される場合もあります。領収書は残しておきましょう」

 製造業では工業団地選びにも注意。賃料、面積、中心部からの距離、地盤の固さ、ワーカーの採用しやすさ……希望が多いのはわかるが、「すべてを満たす場所はない」と断言する。

「迷っているうちに別の企業に契約されることもあるので、優先順位を付けて早めに決断しましょう」

 最後のベトナムあるある。特に前例のない事柄に対して、窓口や人によって解釈が違ったり、意見が分かれたりする。どう対応したらよいのか。

「難しいです(笑)。ただ、根拠を聞き出すくせを付けておくこと。困ったらそこに立ち返って対応を考えれば良いと思います」