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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第27回
ハウスフーズベトナム

2012年に進出したハウスフーズベトナム。2018年から業務用商品の「ジャワカレー」を発売し、輸出もスタートした。「日本のカレー」を広げて、ベトナムの人々に家族で喜んでもらいたいと、中谷社長は語る。

2018年からカレーを発売

―― ハウス食品さんの海外事業について教えてください。

中谷 大きく分けて米国、中国、東南アジアの3エリアがあります。特徴的なのは各地域で主力商品が異なる点で、例えば米国では豆腐です。

 日本の食文化を広げたいと1983年に始めましたが、当初は大豆は家畜の飼料といったネガティブなイメージもあり、苦戦が続きました。しかし、健康・環境意識の高まりの中で、現在では良質な植物性プロテインとして注目されて市場が拡大・定着し、弊社は米国内シェアトップになっています。

 中国では「日本のカレーを人民食に!」をスローガンに、カレーを中心とした事業を展開しています。1997年にカレーレストランとして進出して認知度を高め、後に日本での主力ブランドである「百夢多カレー」(バーモントカレー)を発売しました。現在では業務用と家庭用が共に好調で、日本のカレーが中国に定着しつつあります。

 東南アジアでは2011年にタイに進出しました。タイにはタイカレーがあり、外食文化です。家庭で日本のカレーを食べていただくのは難しいと判断し、ビタミン飲料の「C-vit」(日本ではC1000)を発売しました。販路であるコンビニが普及していることも大きな理由です。こちらも好調で、既に日本の売上本数を超えています。

―― ベトナム進出は2012年ですね。

中谷 はい。2013年から商品を販売しています。粉末の加工食品が市場に多く、子供のいる家庭で手作りで食べてもらいたいと、カレーではなく「プリンミクス」、「シャービック」などのデザート製品でスタートしました。

 カレーといえばタイやインドのカレーのスパイシーなイメージが強く、ベトナムのカレーはココナッツミルクベースでパンと一緒に食べるスタイルですので、当時はまだ日本のカレーライスに対する強い違和感がありました。

 そして、2018年1月にようやく業務用カレールゥ「ジャワカレー」を発売しました。経済発展に伴いピザ、ラーメン、寿司などのメニューが一般化しつつある中でカレーハウスCoCo壱番屋さんが出店することになり、連携してカレー市場を創造していこうと判断したのです。

 実は私は日本でベトナム事業も担当しており、しかも、カレーが好きでハウス食品に入社したくらいのカレー好きなんです(笑)。だからこのタイミングでのベトナム赴任となったのでしょう。

―― カレーは自社で作っているのですね。

中谷 はい。プリンミクスなどと同様にドンナイ省の工場で生産しています。カレーは味覚配合の調整が繊細で、例えばカレーパウダーのカギとなるターメリックはインド産と中国産で大きく違いますし、その他のスパイスも産地ごとに風味が微妙に異なります。そのために原材料は輸入が多いのですが、徐々に現地化を進めたいと思っています。

 業務用ですので、納入先は日系のレストランやローカルの日本食レストランが中心です。基本は50皿分の1㎏のパックで、最近はトライアル用として200gも始めました。早く家庭用のカレーを発売したいですね。今はそのコンセプトを練っている最中です。

 その前段階として、ベトナムの人たちに日本のカレーを知っていただく必要があります。そのためにスーパーで試食のイベントをしたり、日系の大型展示会に出展していましたが、今は新型コロナの影響でこれらの活動が制限されています。

 そこで、9月からはキッチンカーを始める予定です。ホーチミン市内の公園や大学等で、カレーライスとカレーパンを販売します。普及活動ですから価格は低く設定して、味はもちろん日本のカレーです。

 また、自社で作った冷凍のカレーソースを個別販売しています。高級なUSビーフをじっくり煮込んだタイプと、子供用の甘口チキンカレー等です。どちらも玉ねぎを2時間じっくり炒めたこだわりのおいしさなので、是非味わっていただきたいです。

各国に合わせた味を輸出

―― カレーの売上はいかがでしょうか?

中谷 倍々で伸びていますが、まだベトナム国内の数字は大きくありません。足元の稼働を確保するためにも、輸出をスタートさせました。弊社の日本のビジネスモデルはスーパーやコンビニでの販売が中心であり、中国や他の東南アジア諸国でも同様です。しかし、ベトナムでは思っていた以上にこれらの店舗が増えず、それが輸出を始めた理由でもあります。

 輸出先はASEAN北部のタイ、フィリピン、カンボジア、その他イギリス、台湾等です。日本からも輸出していますが、ベトナムの工場では各国のニーズに合わせた配合を小ロットで生産できるのが強みです。

 例えば、タイ向けは日本人からすれば飛び切りの辛口ですし、フィリピン向けは逆にとても甘い。ニンニクや玉ねぎ、乳製品なども使わない菜食主義の「素食」に合わせた台湾向け製品もあります。

―― 先ほどからの「日本のカレー」とは何を意味するのでしょう? 味覚としてはわかりますが。

中谷 はっきりした定義はありませんが、ポイントのひとつは小麦粉を使うことでしょう。インドやタイのカレーには基本的には使われません。また、「ルゥ」とは日本ではソースやソースの素を指しますが、語源はフランス語の「Roux」で、小麦粉と油脂を炒めたものを意味します。

 具材にジャガイモ、玉ねぎ、ニンジンなどの根菜が多く使われているのも特徴のひとつです。日本にカレーが普及した戦後の時代はまだ貧しく、肉よりも安価な野菜を多く使ったのではないでしょうか。西洋から伝わったカレーが和食の「肉じゃが」とハイブリットした結果が、家庭に定着した日本のカレーなのではないかと私は見ています。

―― ベトナムのスタイルとは異なりますね。

中谷 小麦粉を使って、肉と野菜を入れ、ご飯と一緒に食べる日本のカレー。ベトナムではココナッツミルクがベースで、小麦粉は使わず、パンで食べる。

 ですので、日本のスタイルが馴染むには時間がかかりますし、ベトナムの食文化やスタイルにどう融合させるかがメニュー浸透のカギになると思います。近い将来、家族が一緒に日本スタイルの手作りのカレーを食べて、子どが美味しいと言っておかわりをねだる。こんな幸せのシーンを数多くベトナムで作っていきたいと思います。

House Foods Vietnam Co.,Ltd.
中谷清喜 Seiki Nakatani
大学卒業後、ハウス食品株式会社に入社。人事、営業、製品企画などを経験した後に国際事業部に配属。海外の新規事業立ち上げなどに約5年携わり、2018年4月にベトナムに赴任して現職。