専門家によると、政府がガソリン価格に介入しなければ、3月11日の価格調整でガソリン価格は1リットル当たり3万VND近くに達する可能性がある。
原油価格の高騰によって、世界中の石油製品の価格も上昇した。3月7日に商工省が発表したデータによると、シンガポールでのRON92ガソリンとRON95ガソリンの1バレル当たりの価格はそれぞれ、142.01USDと145.88USDとなっている。
3月1日からこれまでに、世界のガソリン価格は20%も上昇している。これによって、ベトナムの基本価格(国内小売価格算出基準)と世界の価格の差がますます拡大している。
ハノイにある石油会社は、3月7日の基準価格による国内の販売価格は、1リットル当たりガソリンで3800VND、ディーゼルオイルで4800VNDの赤字になっていると述べた。
したがって、もし政府が石油価格安定化基金(現在残高6200億VND)からの追加拠出などといった介入をしない場合、国内のガソリン小売価格は3月11日には1リットル当たり3万VND近くまで上昇する可能性がある。
ガソリン価格の大幅な変動を受けて、企業側は政府に対して、3月11日の価格調整を待たずに市場の状況に合わせてガソリン価格を迅速に調整すべきだと指摘する。
石油事業に関する議定95号は、価格変動要因によって基本価格が10%以上上昇したり、石油製品価格の変動が社会経済に大きな影響を与える場合には、商工省は、首相に対して価格調整に関する決定を見直すように提案するとされている。一方で、実際の市場では、20%近く価格が上昇している。
「政府は、規則通りに10日間待つのではなく、現時点ですぐに価格の見直しをする必要があります。2月上旬の時のように放置すれば、多くの民間企業やガソリンスタンドが閉鎖されるかもしれないと心配しています。」とビンズン省のある企業の担当者は話してくれた。
ハノイの企業幹部は、世界の原油価格が10%上昇すると、ベトナムの輸入価格は、各種費用や税金によって約15%上がるため、1リットル当たりの価格は3000VND近く上昇する計算になると説明する。現時点で価格調整を柔軟に実施することは、企業の損失を減らし、輸入販売を継続するための資金を確保し、ガソリンの供給不足を起こさないために必要な措置だとこの幹部は指摘する。
実際、世界の原油価格は上昇を続けており、国内の多くの石油企業は、売れば売るほど赤字になるという状況に陥っている。
石油事業で国内シェアトップ5に入る企業の幹部は、現在、会社は1リットル販売するごとに3000VNDの赤字となっていると説明した。「石油が不足しているので市場への供給を確保するために常に輸入量を確保する方法を検討しています。一方で、輸入価格は国内販売価格よりも高いため、赤字は積みあがる一方です。」とこの幹部は話す。
ホーチミン市内にある別の石油関連企業の幹部も、国内の石油企業は世界的な価格上昇だけでなく、国際的な供給不足にも頭を痛めていると話す。ロシアとウクライナの問題によって、世界の石油輸出企業は、輸出量を抑制しており、価格が上昇している。
「1日ごとに石油価格が上昇しているので、私たちは、毎分ごとに輸入可能な石油を探し続け、買えるとわかればすぐに買います。赤字であっても、我々には市場の需要を満たす責任があります。」とこの幹部は話した。
同様に小売販売業者も困難に直面している。ホックモントレーディング社のレ・バン・ミー社長は、現在毎日数億ドンの赤字を計上していると話す。
この会社は、ビンズン省で8か所のガソリンスタンドを経営しているが、ガソリン1リットルを販売するごとに3000VNDの損失を受けている。「非常に苦しい状況です。閉店すれば罰金ですが、入荷量は少なく、価格は目まぐるしく変わり、赤字がかさむ一方ですが、固定費は支払い続ける必要があります。」とミー社長は話す。
そんな中、卸売業者から小売店へのコミッションは現在0VNDだ。「3月1日までは、1リットル当たり300~350VNDあったコミッションはその後、100VNDに下がり、現在は0VNDです。」とハノイで20か所のガソリンスタンドを経営する企業の営業部長であるトゥン氏は話す。
コミッションは引き下げられたが、輸入量は、過去2か月間改善していないとトゥン氏は話す。「この2か月間、毎月10億VND以上の損失が出ています。いくら赤字でも売らなければ罰せられます。このような状態が続けば企業の財務状況が悪くなり、銀行から借り入れできなくなる心配があります。」とトゥン氏は話す。
この問題について、商工省の担当者は、商工省と財務省の共同作業チームは、柔軟かつ適切な対応策を練るために、世界の原油価格の動きを注意深く監視していると述べた。「我々は、ルールを遵守し、企業と国家と国民の利益を調和させます。」とこの担当者は話した。
ベトナム石油協会のブイ・ゴック・バオ会長は、現時点での柔軟な対応が必須であり、政府の管理機関はガソリン価格の上昇という問題について、全体の利益を計算し、マクロ経済と市民生活の耐久力とのバランスをとる具体的な計画を策定する必要があると指摘する。
「政府の管理機関は、ガソリンの供給システムにおいて、企業に優先的な信用を付与して銀行を通じた支援をおこない、輸入企業や小売業者がガソリンを仕入れて販売を続けられるような解決策を見出す必要があります。消費者側については、政府は心理的なインフレを避けるために市民生活の許容レベルを計算に入れて販売価格を提案する必要があります。」とバオ会長は話す。
出典:09/03/2022 VNEXPRESS
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