調査会社のAsia Plusが主催するウェビナー「Understand Generation Z」が12月21日にホーチミン市、22日にハノイで開催された。どちらも若者4人のグループインタビュー。デジタルネイティブの感性が見えてきた。
好きなアイテムを写真で
1997年以降に生まれたGeneration Z(Z世代)。彼らの感性と嗜好をつかむことが現在、そして将来へのビジネスチャンスにつながる。そんなZ世代とモデレーター(進行役)とのディスカッションの形でウェビナーは進められた。所要時間はホーチミン市もハノイもおよそ2時間。
ホーチミン市での参加者は同市在住のOLと高校生の女性2人、大学生とサラリーマンの男性2人、ハノイでは同市在住の高校生と大学生の女性2人、大学生とサラリーマンの男性2人。年齢は18~24歳で、両親と同居し、月額世帯所得は3000万VND以上。
アジェンダは両都市で共通しているので、2都市の内容を織り交ぜて伝える。また、Asia Plusでは18~23歳のZ世代、379人にアンケート調査をしており、その結果も併せて紹介していく。
自己紹介の後の最初のアジェンダは「Favorite Items」。好きなアイテムを3つほど写真に撮影してもらった。
その内容はスマートフォン、スマホケース、電子書籍リーダーなどのガジェット系と、時計、バッグ、香水などのファッション系。誰もがスマホを大切にしており、ケースやステッカーで個性を出そうとしていた。
「スマホは私がいつも持っている不可欠なアイテムです。どこにでも持っていきますし、財布よりも重要です」(HN:男)
Asia Plusのアンケート調査「自由な時間にしていること」でも、「ゲーム」、「音楽鑑賞」、「SNS」、「ビデオ・テレビ鑑賞」、「ネットサーフィン」などが上位にあり、全てがスマホを使ってできることだ。
落ち着ける場所が好き
次のアジェンダは「Favorite Location」。自分の好きな場所を写真と共に説明した。
家族や友人と訪れたビーチ、高原地帯、近場の観光地などと、居心地の良いカフェの2つがメイン。伝わってくるイメージは「ゆったり、のんびりと過ごす」。人気の旅行先はダラットで、何度も訪れている人もいた。カフェは好みが分かれるようだ。
「私が大好きなのは、Phuc Longだけです。Highlands Coffeeはちょっと違うかなと」(HCMC:女性)
「私が行くカフェは2つだけです。1つはStarbucksで、もう1つはきれいなカフェです」(HN:女性)
次は「Influencers / Favorite persons」で、若者に大人気のミュージシャンのSon Tung M-TPやラッパーのSuboi、俳優のTran Thanhなどベトナムの芸能人から、ハリウッドスターのキアヌ・リーブス、サッカー選手のロナウドなど様々。彼らをInstagramやFacebookでフォローしている人も多かった。
こうした著名人の言動は若者たちの購買にも影響を与えているようで、ファッション、化粧品、食品や飲料にも及んでいた。
こだわりがあるSNS
次は「Digital Life」。お気入りのアプリを5つ選んでもらうと、内容や順位が微妙に違ってきた。Facebook、Instagram、TikTok、ZaloなどのSNSが圧倒的に多く、ShopeeやLazadaなどEC系や音楽ストリーミングのSpotifyも。話題はSNSの比較となった。
主流はやはりFacebookで、これはアンケート調査からも明らか。フォローのしやすさ、ニュースやビデオ鑑賞など用途の広さが理由のようだ。Instagramは有名人のフォローによく使われ、女性からの支持が高い。広告の少なさを好意的に挙げる人もいた。
「FacebookよりInstagramをよく使いますし、有名人、特に外国人をフォローしています。Facebookでは同僚にあまり自分を明らかにしたくないですね」(HN:女性)
「FacebookではWebの閲覧、ニュース、有名人のフォロー、ファッションアイテムのチェック、残りは写真のアップロードです」(HCMC:男性)
TikTokを使う理由はトレンドチェックのようだ。
「TikTokには新しいトレンドが現れています。私がフォローしている有名人は、今ではTikTokを使っています」(HCMC:女性)
「とても好きです。TikTokにはトレンドの良い、優れた短いビデオがたくさんあります」(HN:女性)
Zaloはベトナム生まれのSNSであり、友達や高齢者を含めた家族とのコミュニケーションに使われているようだ。
「Zaloは通常、仕事やテキストメッセージだけで、それ以上は使用していません。電話番号はめったに使いませんね」(HCMC:男性)
「Facebookは海外からも接続できます。Zaloはベトナムの電話番号しか登録できないようで、メッセージングアプリのような感じがします」(HN:女性)
ECは価格の安さがカギ
次は「Online shopping」。ECで1回に使う金額は10万~50万VND程度。購入する商品は電子機器、スマホなどの備品、服、アクセサリー、化粧品、バッグ、石鹸、シャンプー、ヨーグルトやシリアルなどと幅広い。
使うアプリはShopeeが人気で、それはプロモーションの多さと品揃えの豊富さから来ているようだ。
「Shopeeには送料無料があって、さらにいくつかのプロモーションコードも探せます。他より優れていますよね」(HN:男性)
「Lazadaはインターフェースが少し使いづらいという友達もいます」(HN:女性)
「服のページでは常に新製品を紹介しているので、Shopeeに入ってネットサーフィンしています」(HCMC:女性)
商品のプロモーションや送料のディスカウントを魅力とする若者は多く、それはフードデリバリーでも同じだった。
「私はいくつかのアプリで同じものを注文して、どれが最も安いかを比べます。その時々の送料の違いも考えます」(HN:女性)
また、アンケートによると、商品を選ぶときに使う情報源はSNSが最も多かったが、真偽を見極める方法はインターネットや検索エンジンが上回っていた。
テレビは良く知りません
次は「Music」だが、音楽よりもテレビの話に興味をひかれた。Z世代はテレビをどう思っているのか。
「私は持っていません。子供の頃はありましたが、最近はありません」(HCMC:女性)
「私のテレビはスマートテレビの一種で、YouTubeも見られます。コンピューターやスマホのようなものです」(HCMC:男性)
「VTV(国営テレビ局)のチャンネルしか知りません。食事が終わった後、両親と一緒に見るだけです」(HN:女性)
次は音楽に限らず支払い方法全般の話題になった。
「私は90%以上がカード払いです。ただ、Shopeeは全てShopeePayで支払います」(HCMC:女性)
「財布を持ち歩くのが面倒なので、スマホと銀行カードを持って出かけるだけで十分です。ミニスーパーで買い物をして、カードを使って散髪します」(HCMC:男性)
「現金の割合は30%です。ECで買うときはスマホとリンクさせるか銀行引落しにすると安くなりますし、多くの特典があります」(HN:男性)
アンケート調査では現金払いがトップではあるものの、非現金決済も進んでいるとわかる。Z世代が成長するに従って割合は高まり、オンラインサービスはより拡充しそうだ。
Z世代とはどんな若者か?
最後は「Who is Gen Z?」というアジェンダ。Z世代の若者は自分の世代をどう見ているのか。浮かんできたのはテクノロジーによるオープンマインドだ。
「オープンマインドです。インターネットでの露出のせいもあるでしょう。自由でオープンな生活をしている友人も多くいます」(HN:女性)
「何をすべきかわからない場合は、オンラインに接続して、様々なことを紹介します。ソーシャルメディアとは多くの関連性があります」(HN:女性)
最新情報を収集することが得意であるという自覚もあるようだ。
「私は賢いというより、また仕事ができるよりも、トレンドを捕らえるのが上手だと思います」(HCMC:女性)
「上の世代は価格を気にして、高価ならば買わない。でも私の世代は、たとえそれが高価であっても良ければ良い。買います」(HN:女性)
Z世代は感情が豊かで、、自分たちの可能性をよりポジティブに感じているようだ。
「私は伝統を維持しながらさらに革新する方法を知っています。伝統と現代のミックスで、例えばファッションや音楽などです」(HCMC:女性)
このウェビナー(ディスカッション)はとてもフランクな雰囲気の中で行われた。モデレーターが若い女性ということもあって、Z世代は何でも率直に話していたと思う。物おじせずに自分の意見をストレートに伝える彼らに、私たちはもっとアプローチしても良いと思った。