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ベトナムビジネス情報Vol.163
製造業の大型展示会、日本自治体に注目
METALEX Vietnam 2023

今年で16回目となる製造業や金属加工の大型展示会「METALEX Vietnam 2023」が開催された。場所はホーチミン市7区のSECC、期間は10月4~6日。20の国と地域から約300のブランドが出展し、3日間の来場者は2万6000人以上となった。

国際パビリオンで存在感

 今年のMETALEX VietnamはNEPCON Vietnam 2023との併催となった。ただ、NEPCONは出展企業が少なく、ここではMETALEXのみを紹介したい。

 開催2日目に訪れた。話を聞いた人のほとんどが「初日よりも人が増えた」と語り、「今年は昨年より来場者が多い」という声も多く聞かれた。来場者の外国人はアジア人以外に欧米人の姿が目立ち、新型コロナ前の日常が戻っていた。

 目を引くような巨大なブースは少ない代わりに個性的なブースが並ぶ。国際パビリオンは日本、中国、台湾、韓国、タイ、シンガポール、ドイツなどで、日本のパビリオンは自治体が中心。東京都、京都府、大阪府、石川県、神奈川県、新潟県、長野県で、各パビリオンには4~8社が出展。

 東京都(Tokyo SME Support Center)に話を聞くと、「他国にも出展しているが、ベトナムの展示会は日系企業や日系自治体の出展が多い」とのこと。これら自治体パビリオンの中小製造業から話を聞いた。

国内にも金属加工部品

 会場入口に近いのが京都パビリオン。株式会社エージェンシーアシストは日本で30年以上の実績を持つ金属加工部品の商社で、見積り、加工手配、品質保証まで一括して対応。2020年にロンアン省にAgency Assist Vietnamを設立した。

 ベトナムで加工した機械部品を日本に輸出しているが、品質の問題を考えて自社での検査を始め、後にベトナムで品質検査をする現地法人を立ち上げた。自動車の治具、食品生産ラインの設備部品、研究室の装置部品などその製品は幅広い。

「ベトナム国内の販路を開拓したくて参加しました。商社として日本からの輸入品も扱えるので、ベトナム製と日本製を組み合わせてコストメリットが出せます」

「試作品」のニーズはあるか

 同じ京都パビリオンでは顧客の試作品を製造する株式会社プロトが出展。顧客の2D・3Dデータや図面を基に3DCADで設計し、砂型を製作し、各種の金属を流し込んで鋳造する。

「受注すれば日本で製造して輸出となりますが、まずはベトナムでのニーズを探り、情報収集するために来ました」

 サンプル展示したのはEV用の部品で、実際に自動車メーカーの仕事が多い。開催2日目だったが、試作品を求める企業はまだ少ないと語っていた。

 京都パビリオンには特集記事で紹介したKAMOGAWA VIETNAMも出展して、高付加価値工具や小型産業用ロボットを展示。同じくAnmi Toolsもベトナム企業の共同ブースで切削工具を展示していた。

世界初の製造AIソフト

 石川パビリオンからはソフト開発のアルム株式会社を紹介。工作機械などのNCプログラムを自動生成するAIソフト「ARUMCODE」が主力商品で、2022年の総務大臣賞やデジタル大臣賞などを受賞した。製造する部品などの図面や3DCADのデータを取り込むと、AI解析で工作機械のプログラミングを完全自動化できる。世界初の製造AIソフトウェアという。

「人が1時間かかるプログラミングを1分に短縮できます」

 工作機械に取り付ける切削工具などもAIが選び、工具を変えるなど作業者への指示書も自動で作成する。ブースではこうした工程のデモと共に、実際に完成した部品が展示された。

「日本では金属加工業界の人手不足や後継者不足もあって好評です。海外にも展開したいと出展しました」

悪臭対策の先駆者に

 浴衣姿のベトナム女性が周囲で資料を配っていた東京パビリオンで、人が集まっていたのは株式会社カルモアだ。臭気の調査や対策を事業としており、工場向けの脱臭装置を展示。ベトナムにはまだ日本の悪臭防止法のような法律はないが、先を見越して出展した。

 ベトナムでは2020年設立のSHOWA VIETNAMが代理店。日本では調査した臭気の数値を見せてから現場で実験するが、ベトナムでは脱臭装置を工場などへ運び、その場の悪臭がなくなることを実感してもらう。

「ワーカーさんには好評なのですが、コストがかかるために導入は簡単でないです」

 臭いの強さや発生元などを探って悪臭を狙い撃ちするため、装置は現場に合わせて設計・製造する。欧州系メーカーなどから徐々に受注が始まった。

「東南アジアへの進出は、タイでは遅く、ベトナムでは早いと言われました。出遅れる前に出てきました」

工場増設で受注も増設

 長野パビリオンの株式会社南信精機製作所は、金属やプラスチックの精密電子部品を、金型設計からモジュール化まで一貫生産している。製品の8割以上が自動車関連という。

 海外工場は中国とベトナムにあり、ベトナムはビンズン省にNanshin Seiki Vietnamを設立。国内向けと輸出用に主に2輪車の部品を生産している。

「ビンズン工場が増設中でして、将来の仕事量を増やしたいと思って出展しました」

 日本ではEV製品の割合が増えており、ビンファストがEVの生産を増やすベトナムの活気を感じている。

自動化の波は今一歩?

 神奈川パビリオンからはセルテクノス株式会社。展示品はトルクの精密自動測定器で、自社を「自動化時代のための技術提供を行う会社」と語るように自動化に使う装置だ。ベトナムでの自動化のニーズを市場調査しに来た。

「中国の自動化は進んでいますが、ベトナムはまだ本格化していないように感じます。サンプルには自動でなく手動の測定器を持ってきたほうが、興味を持ってもらえたかもしれません」

 自社製品を輸出したい一方で、ベトナムの加工メーカーから金属部品を仕入れたいとも考えている。課題となるのは精度だが、「以前の中国も同じだったが発展を続けた」とベトナムの将来に期待していた。

横のつながりも展示会の魅力

 大阪パビリオンの株式会社三栄金属製作所は、金属プレス加工で金型の設計・製作、樹脂成形、アセンブリまで内製している。2013年にロンアン省にSan-Ei Vietnamを設立して生産を始め、2018年には同じロンアン省に新工場を竣工した。

 製品は水まわり部品が中心で、自動車部品や建材部品なども製造している。

「ベトナムに工場があるためか人が集まってくれます。出展者同士で横のつながりもできるので、展示会に出る意味は大きいと思います」

リニアコンベアモジュールのデモ

 日系の大手企業で存在感を示していたのはYAMAHA MOTOR VIETNAM。METALEX Vietnam 2023の「注目の出展者」にもなっており、入場パスにはYAMAHAの赤い文字が浮かぶ。

 奥行きのある広めのブース前には搬送システムのリニアコンベアモジュールのデモが動き、何人もの来場者が興味深げに見つめる。サポートするスタッフも20人程度と多い。

「今回が2回目です。昨年集客ができたことと工場での自動化ニーズを感じて、今年も出展を決めました」

 日系企業に限らずベトナムの製造業全般が対象であり、特にリニアコンベアモジュールは省スペースかつ搬送スピードの速さが強みと語る。ほかには産業用のスカラロボットと大型バイクを展示していた。

「ベトナムでのヤマハのイメージはバイクですから、お客さんを引き寄せるために展示しました」

産業用ロボットに人だかり

 こちらも大きめのブースに工作機械、測定器、産業用ロボットなどを展示していたのが大手機械商社のYUASA TRADING VIETNAM。そのマシンの多さが来場者に興味を持たせたようで、多くの人が訪れていた。

「お客様は日系が半分ほどでベトナム企業も多いです。注文はこれからですが、そのきっかけとなる来場者が昨年より多いのがうれしいですね」

 取り扱うのは日本製が中心であり、今回は自動化のための産業用ロボットに興味を持つ人が多いそうだ。

高品質な潤滑油をアピール

 奥のブースで出展していたのは、2輪用、4輪用、工業用などの潤滑油を生産・販売しているJX NIPPON OIL & ENERGY VIETNAM。ボトルに入れたオイルを並べ、内装は親会社のENEOS株式会社のコーポレートカラーである赤を強調した。

 ハイフォンに潤滑油の生産工場を持ち、少量品は日本から輸入しているもののほとんどの商品はベトナム製だ。

「精密機械や部品のメーカーなど幅広い業種が対象となりますので、自社のアピールをしています」

 商談につながることも多く、オイルに困っている来場者には技術力や高品質を説明している。現地生産による割安な価格も魅力だ。

顧客も委託先も増えるメリット

 YOSHIMOTO VIETNAMは、多品種少量の金属加工の設計から開発を請け負う吉本製作所が親会社。数多くの金属部品を並べて、ベトナム進出10周年を知らせていた。

 ベトナムのローカル企業に機械や設備の部品や製品の金属加工を委託して、国内販売と輸出をしている。半導体関連や検査装置などの部品が多く、提携企業には技術や検査のサポートも行う。

「こうした展示会に出るとお客様が広がるのと同時に、『うちを使ってくれないか』と声をかけられて、委託先が増えることもメリットです」

 チャンスを求めて出展している日本・日系企業、ACCESSはこれからも応援していきます。