手数料の大幅引き上げ、販売者からは「事業継続が困難」との声も
ベトナム国内で急成長を遂げているEコマースプラットフォーム「TikTok Shop」が、2024年7月18日から販売手数料を最大で従来の3倍に引き上げたことが明らかとなり、多くの出店者に混乱と動揺が広がっている。
特に中小の販売者や個人商店の間では、急なコスト増により「もはや利益が出ない」といった声も上がっており、プラットフォーム離れの懸念も強まっている。
手数料率が一部で3倍に ファッション・日用品が対象
TikTok Shopの発表によると、今回の見直しでは「標準的な販売者」および「公式販売者(Mall)」に対する手数料がカテゴリーごとに変更された。中でも大幅な変更があったのは「標準的な販売者」に対する販売手数料で、以下のように引き上げられている:
- ファッション:4% → 10〜12%
- 生活・インテリア:4% → 4〜12%
- 食品・美容・マタニティ:4% → 8.5〜12%
これに対し、公式販売者(Mall)については手数料の上昇幅は比較的緩やかで、最大でも約2%の上昇にとどまっている。
「配送補助」名目の費用を統合か? 実質的なコスト増
さらに注目されているのは、従来は別途申請制だった「配送補助プログラム(SPF)」が、今回の見直し後にはすべての通常店舗に自動適用となり、費用が販売手数料に組み込まれた点である。
このSPFは、以前は注文金額の4.5%、上限3万ドンという制限付きで適用されていたが、今回の変更で制限が事実上撤廃され、販売者が負担する総コストが大きく上昇する結果となった。
例えば、従来3〜4%だったファッションカテゴリーの販売手数料が10〜12%へと引き上げられ、さらに成功報酬型の取引手数料5%を加えると、販売者が売上の最大17%近くをTikTok Shopに支払う必要が生じる計算になる(送料や割引キャンペーン費用は別途)。
「オンライン店舗なのに賃料と変わらない」現場から悲鳴
このような急激なコスト増に対し、多くの販売者がSNSなどを通じて不満を表明している。
ホーチミン市在住の販売者・リウさんは、「手元に残るのは“ゴムバンド1本”だけ」と嘆く。ある注文では239,000ドンの商品を販売したものの、以下のように手数料だけで60,000ドン以上が差し引かれたという:
- 取引手数料(5%):12,300ドン
- プラットフォーム手数料(12%):28,600ドン
- アフィリエイト手数料:約19,100ドン
→ 手取りは約175,000ドンに。
「これじゃあ、商売にならない」とリウさんは語る。
同じくホーチミン市のホアンさんも、約250万ドンの商品の注文でプラットフォームに支払った手数料が50万ドンを超えたとし、「これでは現実の店舗で家賃を払うのと同じ。オンラインの意味がない」と憤りをあらわにする。
出店者「やめたくてもやめられない」ジレンマ
多くの販売者は「TikTok Shopを離れたい」と考えているものの、現実には難しいとみられている。理由として、「現在の売上の大部分がTikTok Shopに依存している」「依然として集客力が高い」といった点が挙げられており、他のECプラットフォームに移行するには新たなチャンネル構築やブランド作りのためのコストがかかることも、足かせとなっている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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