「物流コストが非常に高く、ベトナム企業は国際競争で不利だ」――。
ベトナム民間経済フォーラム2025のセッション「戦略のブラッシュアップで国際展開を目指す」にて、企業関係者からこうした声が上がった。
鋼構造・機械加工業、輸出拡大の課題
ダイズングループは30年以上、鋼構造および機械加工分野で国内外の数千件のプロジェクトを手掛け、50以上の国・地域に輸出している。
ドー・チー・トゥアン副社長は、国内の多くの工場が民生向けに留まり、産業・エネルギー・石油分野の高水準には達しておらず、オートメーション化や表面処理技術、カーボン管理も限定的であると指摘。これが再生可能エネルギー分野の「グリーン標準」達成を難しくしていると述べた。
輸出はまだ1%未満、物流費が大きな障壁
ベトナムの鋼構造・機械加工の輸出額は年間1.2~1.5億ドルで、世界市場の1%未満にとどまる。トゥアン副社長は「物流コストや反ダンピング税、米国の相互関税が国際市場参入の大きな障壁になっています」と強調した。
統計によると、2025年のベトナムの物流コストはGDP比16.5%で、世界平均11.6%、シンガポール8.5%、マレーシア13%を上回っている。
政府と民間、国際協力による支援を提案
トゥアン副社長は、政府・民間・国際コミュニティが協力し、専用港湾や組立・輸送拠点など物流・輸出インフラを整備することでコスト削減と競争力強化を目指すべきと述べた。また、ベトナム鋼構造輸出センターの設立や、グリーン物流・デジタル追跡システムの導入によって輸送コストを15~20%削減することを提案している。
農業分野も物流費が大きな課題
ナフーズCEOのグエン・マン・フン氏は、農業分野の物流コストは原価の約20%を占め、企業競争力に影響していると指摘した。政府はハード面のインフラ整備、民間はソフト面の管理・技術導入を担い、両者で国際ビジネスのコストを分担するなどの政策協力を求めた。
科学技術投資と政策支援が成長の鍵
フン氏は、農産物輸出の付加価値向上には科学技術とデジタル化が不可欠であり、税制・土地・技術投資などにおける政策支援が重要と述べた。これにより利益率を15~30%から40%以上に引き上げることが可能になるとしている。
国内企業の位置付けと政策提案
トゥアン副社長は、国内企業は下請けに留まり、総合請負(EPC)として大型プロジェクトに参画できていないと指摘。インフラ・産業・エネルギーの大型プロジェクトに国内企業が直接参加できる仕組みづくりが、輸出成長と国際競争力向上の鍵であるとしている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN