90%の店舗が営業再開
ホーチミン市中心部に位置するサイゴンスクエアは、かつて「外国人観光客の天国」と呼ばれた格安ショッピングスポットである。衣料品、バッグ、時計、サングラスなど、見た目は高級ブランド風の商品が数十万VNDから手に入れられるとあって、長年観光客に人気を集めてきた。
しかし、2025年5月の大規模な摘発で数百の店舗が検査を受け、ルイ・ヴィトンやグッチ、エルメス、ロレックスなどの偽ブランド品が多数押収された。2024年から2025年上半期までに計38件の違反が確認され、1,200点以上の商品が没収、罰金総額は3億6600万VNDを超えている。
摘発後一時は閑散としていたが、現在は9割の店舗が営業を再開し、再びにぎわいを取り戻している。特に外国人観光客が多く、Tシャツや旅行用バッグ、子供服などが売れ筋となっている。
店主たちの不安とジレンマ
活気を取り戻す一方、店主たちは摘発への不安を抱えている。子供服を扱う女性店主は「摘発で1か月休業した。今も営業再開は怖いが、生活のため続けるしかない」と語る。
一部の店はノーブランド品や輸出余剰品へと商品を切り替えたが、多くの観光客が求めるのは依然として「高級ブランド風」の商品であり、ジレンマを抱えながら営業を続けている。
観光の魅力か、国際的な汚点か
サイゴンスクエアは旅行ガイドやタクシー運転手から「必ず立ち寄るべきマーケット」として紹介され、観光客にとっては格安ショッピング体験そのものが魅力となっている。
しかし、米国通商代表部(USTR)の「悪名高いマーケットリスト」に再び掲載されたことで、ベトナム観光のイメージに悪影響を与える懸念が指摘されている。観光業界が国際的なブランド価値向上を目指す中で、偽ブランド品市場の存在は「国家イメージの傷」となる可能性がある。
再生への道筋は?
専門家らは、摘発だけでは問題の解決にはならず、抜本的な再構築が必要だと指摘する。観光業界の有識者は「サイゴンスクエアは中心部の一等地にある。免税店やアウトレットに転換すれば観光資源として活かせる」と提案する。
他の専門家も、アウトレットや余剰輸出品、国産ブランドの低価格商品を扱う市場への転換を推奨している。そのためには、店主への資金融資や仕入れルートの整備、オンライン販売の導入支援が不可欠とされる。
観光客にとって「格安ショッピング」の魅力を保ちつつ、偽ブランド依存からの脱却がサイゴンスクエアの今後の課題とされている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN