大雨で都市機能がまひ
ここ数日の豪雨による浸水被害は、ハノイのインフラが豪雨に十分に対応できていないことを浮き彫りにした。緊急時の即応策も整っておらず、予期せぬ災害への脆弱性が改めて露呈した。
「市民にご理解を」当局が謝罪
10月1日、ハノイ市建設局の幹部は、雨が止んでも各地で浸水が解消されないのは、極端な気象条件と設計容量を超える豪雨が原因だと説明した。さらに、上流の水力発電所が放流を行ったことにより河川の水位が上昇し、市内の水が「逃げ場を失った」とも述べ、市民に理解を求めた。
建設局によると、9月30日にはオーチョーズア街区で527mm、ハイバーチュン街区で407mmの降雨を観測。いずれも設計値を大幅に上回った。
新興都市の排水未整備も要因
ハノイの浸水の一因は、新興都市部で排水システムが未整備のまま開発が進んだことにある。地盤高が周辺と不一致で、大雨時には高地からの雨水が一気に低地へ流れ込み、局所的な浸水が発生した。さらに、主要ポンプ場の整備が遅れていることも影響している。
必要な対策:貯水池・ポンプ・地下水槽
建設局は、承認済みの排水プロジェクトを加速する必要性を強調しており、調整池の整備、主要ポンプ場の建設、河川の浚渫を早急に進めるとともに、新都市区は必ず市全体の排水システムと接続させるべきだとしている。さらに、公園や公共用地に地下貯水槽を建設し、段階的排水を可能にするポンプを併設する案も提案。これは海外の大都市でも採用されているモデルだという。
また、2045年を目標とした首都排水高地計画を見直し、2065年を見据えた気候変動対応型の設計基準を策定する方針も示した。
専門家「道路排水計画の再調整を」
元農業・環境省副大臣のブー・チョン・ホン教授は、今回の豪雨は気候変動による想定外の極端な例であり、既存インフラでは対応できないと指摘した。
都市計画学会のダオ・ゴック・ギエム副会長は、「今回の浸水被害はハノイのインフラ未整備の証拠だ」と強調し、緊急時の対応策が欠如していると批判した上で、「道路排水計画を気候変動に合わせて早急に見直すべきだ」と提言した。
「かつては降雨量150~200mmを想定していたが、いまは400mmを超える。既存の排水設計を再検討し、排水路や水路の能力を引き上げる必要がある」と語った。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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