発生数・勢力ともに例年を上回る見通し
今年、東シナ海で発生した台風の数は、すでに平年並みに達している。特に注目されるのは、勢力の強い台風や「スーパー台風」と呼ばれる猛烈な勢力の台風が、例年よりも頻繁に出現している点である。年末までには、さらに2~3個の台風が発生するとも予測されている。
スーパー台風が相次ぐ要因
スーパー台風「ラガサ(第9号)」、続いて「ブアロイ(第10号)」はいずれも非常に強い勢力を持っていた。現在も東シナ海では「マットゥモ(第11号)」が発生中であり、フィリピン東方の西太平洋では、新たにベトナム提案の国際名「ハロン」を持つ台風が確認されている。
気象専門家のレ・ティ・スアン・ラン氏によれば、各国の予測モデルではハロン台風が日本に上陸し、最大風速17級以上、すなわちスーパー台風クラスの勢力になる可能性があるという。
「西太平洋の台風シーズンは通常6月から11月末までで、年間平均26~27個の台風が観測されます。しかし今年は10月初旬の時点ですでに22個が発生しており、さらに複数の『台風の芽』が確認されています。今年は最終的に30個を超える可能性があり、かなり多い年になるでしょう」とラン氏は述べる。
東シナ海では、年間平均11~12個の台風が発生するが、すでに第11号まで到達しており、今後さらに2~3個が発生すると見込まれる。そのうち1個は10月中旬に発生する可能性が高いという。これにより、発生数・上陸数ともに平年を上回る見通しである。
ラニーニャ現象と海面水温の上昇が影響
例年よりも勢力の強い台風やスーパー台風が多発しているもう一つの要因は、ラニーニャ現象の再来である。
ラン氏によると、9月初旬からラニーニャが再び発生しており、これにより大気循環が変化、東太平洋の海面水温が低下する一方で、西太平洋側の海水が温まり、台風の発生を促進しているという。
「西太平洋はもともと“台風の巣”と呼ばれる地域ですが、ラニーニャ期に入るとさらに発生しやすくなります。現在、西太平洋と東シナ海の海面水温は“真夏並み”に高く、これが台風の勢力を強めています」とラン氏は指摘する。
また、1998年にも強いエルニーニョが終息してラニーニャに移行した際、1か月に5個の台風が発生する異常な年があった。
今後、北方からの寒気流入により東シナ海北部の海水温はやや低下し、台風の上陸地点が中部・南部へと移る見込みだ。
台風の影響で青果価格が高騰
ホーチミン市では最大50%上昇も
9月に4つの台風が連続した影響で、青果物の供給と価格が大きく変動している。特にハノイやホーチミン市などの都市部では、葉物野菜を中心に価格上昇が顕著だ。
ホーチミン市ミンフン街区に住むトゥエ・ミンさんは「午前9時前に市場へ行っても、野菜の棚がすでにスカスカ。大根、ニンジン、トマト、ネギなど基本的なものすら手に入らない。複数の店を回ってようやく揃えられたが、値段は1kgあたり5,000~10,000ドン上がっていた。全体で30~50%の値上げです」と話す。
市内中心部の市場を調査したところ、レタスは1万VND上昇して1kgあたり4万5,000~5万VND。トマト、キュウリ、唐辛子、レモン、各種葉物野菜も7,000~1万VND上昇している。小売業者によれば、台風や豪雨で供給が減少し、卸価格が上昇した影響だという。
ホアビン市場の露店主リ・ティ・ヒエンさんは「雨が続くと野菜がすぐ傷むため、仕入れを減らしています。値上げしても損失分を補う程度」と語る。
一方、ホーチミン市トゥードゥック青果市場のグエン・ビン・フオン営業部長は「市内の野菜供給は主にラムドン省、タイニン省、ドンタップ省などから来ており、台風が多発したことで一部供給に影響が出ています」と説明する。
9月末から10月初旬にかけて、ホウレンソウやチンゲンサイ、香草類などが2,000~1万VND上昇したという。中でもゴーコン産のパクチーは1kgあたり2万VNDから3万VNDへと50%値上がりした。
ただし「総供給量全体としては大きな減少はなく、値上がりは一部の品目のみの変動にとどまっています」とも述べている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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