食事は「味わう前にシェア」する時代
マリオット・インターナショナルが10月14日に発表した「2026年食文化トレンドレポート」によると、ベトナムの外食客の93%が料理を食べる前に写真を撮ってSNSに投稿する習慣があると答え、アジア太平洋地域でトップとなった。
報告書では、料理の「美味しさ」だけでなく、見た目の美しさと“チェックイン映え”が若年層にとって欠かせない要素になっていると指摘している。
4時間かけて食べた“インスタ映えディナー”
ホーチミン市在住のビック・フーンさん(27歳)は「友人と夕食をとった際、写真撮影に夢中になり、結局4時間もかかってしまった」と笑う。
「45分で済むつもりが、料理が運ばれるたびに撮影や動画撮りがスタート。見た目を崩すのが惜しかったので、冷めてもなかなか手が付けられずでした。写真を見ると楽しいけど、味は半減でしたね」と話す。
専門家によると、こうした“撮る食文化”はベトナムのオンライン消費文化の一部として定着しているという。
SNSと検索エンジンの連動が後押し
2025年7月から、インスタグラムの公開投稿がGoogle検索結果に表示されるようになったことで、料理写真が新たなマーケティング資源になりつつある。
飲食店や観光業界では、SNSでの拡散を意識した店づくりが進む。店内照明や盛り付けにこだわり、「撮りたくなる一皿」「チェックインしたくなる空間」を整える動きが広がっている。
“撮られる”ための空間設計も
たとえば、ホーチミンのレストラン「An’s Saigon」は「家庭の食卓×アート演出」を融合させた空間を提供。
また、世界トップ100レストランに選ばれた「T.U.N.G Dining」(ハノイ)は、「一皿ごとに物語を語る料理」で知られる。
オーナーシェフのクオン・グエン氏は「高級料理は格式よりも感情を共有するもの。客が店の“物語”を感じ取れることが大切だ」と語る。
ホテルブランドも“映える料理”を競う
マリオット系列のホテルもこうした潮流に乗り、見た目も楽しめるメニュー企画を各地で展開。
シェラトン・フーコックの「Ngon Weeks」や、ビンパール・ランドマーク81の「Pho King with Beef Brisket Roll」など、写真映えを意識した料理が人気を集めている。
SNS上では、#vietnamesefood や #streetfoodVietnam のタグが付いた投稿が急増し、ベトナム料理が“シェア文化”を通じて国際的に広がっている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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