野菜価格が“急騰”
市場で葉物野菜やカボチャなどの価格が急上昇しており、必需品の値上がりが続く中、年末に向けて消費者物価指数(CPI)やインフレ率の上昇が懸念されている。
大雨・洪水で供給不足、価格は最大2倍に
最近、日常的に市場へ出向く主婦や小売商から、野菜価格の急騰に関する声が相次いでいる。
ホーチミン市タンソンニャット区のチャンバンホアン通りで野菜を販売するグエン・ティ・ホンさんによると、葉物野菜はこれまで1kgあたり2万VND(約120円)だったが、現在は4万~4万5,000VND(約250円)に跳ね上がり、冬瓜も1万5,000ドンから3万ドンへと倍増している。
「最近の野菜は、農家からの仕入れ価格だけで4万ドン/kg。市内へ運ぶ燃料代も加わり、販売価格は5万ドン/kgになります。あまりに値上がりが激しく、仕入れを躊躇しています。以前はメコンデルタの農家から仕入れの際は5~600万VNDあれば十分でしたが、今では1,000万VNDでも商品が十分に揃いません」とホンさんは話す。
同じく買い物客のチャン・タイン・フーンさんも、インゲン豆は10月初めに3万VND/kgだったものが、11月以降は7万ドン/kgに上昇したと話す。
サヤインゲンは1万5,000VNDから4万VND/kgへ、青梗菜も2万~2万7,000VND/kgから4万5,000〜5万VND/kgへと軒並み値上がりしている。トマトやレタスも10月比で50~60%の上昇という。
フーンさんは「高いだけではなく、商品が少ないです。野菜売り場の品揃えは以前の半分ほどで、売る側も買う側も苦しい状況です」と嘆く。
市場の品薄は全国的に
ベンタイン市場、タンディン市場など複数の伝統市場では、10月初旬から青果物の価格が大幅に上昇している。
ビンディエン、ホックモンの卸売市場でも入荷量が減少し、現在ホーチミン市向け野菜供給の6~7割を担うメコンデルタやラムドン省での供給不足が深刻化している。
トゥドゥック卸売市場によれば、夜間の入荷量はこれまで平均2,800トンだったが、現在は2,200~2,300トンに減少している。
中部や北部でも、台風と豪雨の影響で青果価格が急騰している。ダラットの出荷拠点では「中部地域向け出荷量は通常の50~60%に減少し、価格は30~50%ほど上昇」と報告されている。
一方、大手小売チェーンは「長期契約により必需品の供給量は大きく変動しないため、価格変動は一時的」と説明している。
行政は価格安定策を強化
ホーチミン市商工局は、スーパーやコンビニ、移動販売所での価格安定プログラムを強化しており、米、食用油、卵、家禽肉、野菜はメーカーとの供給契約により、市場価格より5〜10%低い価格で販売している。
また、市内への野菜供給量増加を関係機関へ要請し、長期的な価格高騰を防ぐ方針である。
年末消費でインフレ懸念
例年、年末とテト(旧正月)には価格上昇が起きやすいが、今年は悪天候が重なり値上がりが早まっている。
最低賃金の引き上げや、個人事業者の売上ベース課税への移行なども年末の物価に影響を及ぼす可能性がある。
既に一部のメーカーは、2026年テト向け商品の価格を5〜10%値上げしており、輸入品は為替レート上昇により15%の値上がりが見られる。
財務省統計局の最新報告によれば、10月のインフレ率は前月比0.2%の上昇、年初来10か月では3.27%上昇となり、前年同期と比べて高い水準である。食品価格の上昇がCPIを大きく押し上げた。
専門家「インフレ4%以内は達成可能」
複数の経済専門家は「インフレ率4%以下という政府目標は達成可能」と分析する。
ハノイ国家大学のグエン・クオック・ヴィエット博士は「価格上昇は一時的で、政府は税・手数料減免や支払い猶予など“国民負担の軽減”政策を講じており、企業のコスト増を抑えている」と指摘した。
一方、グエン・トゥーン・ラン准教授は「低金利で市場の貨幣供給が増えるとCPIに影響しやすい。金融政策の柔軟運用が不可欠だ」と慎重姿勢を示している。
また、投資資金が高付加価値分野へ適切に分配されれば、生産性向上につながり、インフレ抑制にも寄与するとした。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN


























