経済規模は2700兆VND級の「メガシティ」に
合併後のホーチミン市は、域内総生産(GRDP)が約2700兆VND(約15.8兆円)に達し、ASEAN中位国に匹敵する経済規模を持つ「ベトナム初のメガシティ」となった。
カットライからカイメップ・チーバイ方面を望むと、都市・工業・港湾が結びつく新たな地域圏が形成されつつある。しかし、現状では一体的に機能しておらず、課題は「どれだけ拡大するか」ではなく、都市を再び二桁成長へと押し上げるだけの新たな成長エンジンをどう構築するかに移っている。
領域ガバナンスと「超接続」インフラ
最も重要となるのは「地域制度」である。これはホーチミン市が、3つの行政単位としてではなく、1つの統合経済圏として発展を企画・調整できる仕組みを指す。
土地利用計画、公共投資、物流に至るまで、都市が広域プロジェクトを自ら決定できたとき、初めて経済回廊がスムーズに機能する。
40年前のシンガポールも同様の課題を抱えていた。当時、タンジョン・パガー港は小規模で、国土も狭かった。しかし同国は物理的なインフラ整備を越えて制度インフラの再設計へ舵を切り、ジュロン自由貿易区と国際金融センターを直結させた。これにより、港を通る一つのコンテナが、輸送価値の数倍に相当する物流・保険・金融価値を生み出す構造を築いた。
同様に、ホーチミン市―ビンズン―バリア・ブンタウ経済回廊がこうした仕組みで運営されれば、カイメップ港を通るコンテナ1本が「3倍のサービス価値」を生むことも可能になる。成長は道路の延伸ではなく、制度の組み立てによって生まれる。
「グリーン×デジタル」の二重転換
第二の成長エンジンは、グリーン・トランスフォーメーションとデジタル・トランスフォーメーションの「ダブル・トランスフォーメーション」である。
ビンズンは工業とハイテク、バリア・ブンタウは再エネと港湾、ホーチミン市はデジタル技術、データ処理、金融サービスを有する。この三つを結びつけることで、ベトナムで初の「グリーン工業・都市・港湾エリア」が形成される。
たとえば、トゥーザウモット市の繊維企業は欧州ESG基準のためにグリーン資金調達を急いでいる。もしホーチミン市に国際金融センターがあれば、彼らは海外仲介を通さず、直接グリーン投資ファンドから借り入れが可能となる。
「グリーン資金の流れ」と「デジタルデータの流れ」が結びつけば、労働生産性と資本生産性の双方が高まる。
こうした成長は、ネットゼロ達成に寄与すると同時に、都市の国際バリューチェーンにおける地位を押し上げる。
人材の再配置とイノベーション
ホーチミン市、ビンズン、バリア・ブンタウの3地域には計500万人を超える労働力が存在するが、配置は均等ではない。技術者が余る地域もあれば、熟練工不足の地域もある。
新たな成長力は、この「広域人材プール」を統合し、共有する仕組みの構築にある。
広域の大学―企業連合を設立し、物流、クリーンエネルギー、オートメーションの人材育成センターを設ければ、5年で5万人の高度人材を供給することも可能である。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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