ハノイでは、先週新たに1300人以上のデング熱患者が確認された。デング熱は、潜伏期間が長く、日中は暖かく夜は冷えるという蚊の繁殖しやすい気候が続いているため、感染者数は、減少傾向にあるものの依然として高い状態が続いている。
ハノイ疾病管理予防センター(CDC)の報告によれば、12月2日から8日までのデング熱新規感染者数は前週より9%減少した。但し、ハドン区(186人)、ドンダー区(114人)、トゥーンティン県(104人)、ホアンマイ区(98人)など一部の区と県では依然として多数の新規感染者が報告されている。また、この週に2人の患者がデング熱で死亡している。
2022年累計では、ハノイ市内で1万7600人以上がデング熱に感染しており、これは2021年の5.3倍の数字となっている。また、昨年はデング熱による死者は一人も確認されていないが、今年は23人が亡くなっている。
一部の病院では、入院患者数が半減したものの、自宅療養したために治療が遅れ重症化したケースも増えている。ドゥックザン総合病院では、現在、約100人のデング熱患者を治療しており、ピーク時に比べると患者数は半減している。同様に中央熱帯病院でも約100人の患者が入院中で、毎日5,6人の重症患者を受け入れている。タインニエン総合病院も、1日に15~20人の入院患者を受け入れている。
ハノイCDCの担当者は、10月、11月と比較して新規感染者数は減少傾向にあるが、依然として高いレベルにとどまっていると分析している。「今後も感染者数が増加し、重症者や死亡者数も増加する可能性がある予測しています。」とこの担当者は話す。
デング熱は、ウイルスによる急性感染症で年間を通して感染者が発生しているが、特に蚊が繁殖しやすく感染が広がりやすいのは雨季だ。ハノイでは、冬に入り10日以上寒い日が続き、雨が少なく湿度が高い状態だが、デング熱感染者数は高止まりしている。
ハノイCDCの担当者は、デング熱の潜伏期間が1週間から10日あるとして、多くの人が以前に感染しており、今になって発病していると考えるのが自然だと指摘する。一方で、ハノイは寒さが強まっているが気温が下がるのは夜と早朝だけで、朝から午後にかけては依然として暖かい気温が続いているため、デング熱を媒介する蚊の活動は衰えていないとの見方もある。
CDCでは、デング熱感染者数が沈静化するにはまだ少し時間がかかるとみており、気温が急激に下がる来週以降に感染者数が急激に減少する可能性があるとしている。
ドゥックザン総合病院のグエン・バン・トゥーン院長は、ハノイのデング熱は5年周期で感染拡大するので、今年の感染者数が多いことにそれほどの驚きはないと話す。トゥーン院長はまた、ハノイの感染者数は減少傾向がみられ、今後寒さが厳しくなればさらに減少するだろうとの見方を示した。
新規感染者数を減少させるため、ハノイCDCは、市民に対して蚊やボウフラを殺し、蚊の生息環境を排除するために住居周辺を清掃するよう呼びかけている。
医師たちは、市民に対してデング熱を甘く見ないようにアドバイスする。高熱が出て解熱剤が効かない場合や、咳が出て全身が気怠いなどの症状がある場合は、すぐに医師の診察を受ける必要がある。病理学的にはデング熱は発症から約1週間継続する。発症当初患者は6日ほど高熱が続き関節や筋肉の痛みを感じる。発症3日目から7日目に血小板が徐々に減少し、患者によってはデング出血熱を引き起こす可能性がある。
現在、デング熱に対する効果的な治療法は存在せず、主に対処療法と経過観察がおこなわれている。歯ぐき、口、消化器官などの粘膜出血、肝臓周辺の腹痛、過剰な嘔吐、血小板数の急激な低下、乏尿(尿が少ない)などの症状が出た場合は、入院が必要とされている。
出典:14/12/2022 VNEXPRESS
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