ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

【社会】ハノイの年末は大渋滞

(C) VNEXPRESS

この1ヶ月近く、ハノイに住むミン・フーンさんは、渋滞によって毎日の通勤に2~3時間もかかっており、仕事に行くのが嫌になったと話す。

ミン・フーンさん(27歳)は職場から15㎞ほど離れたハイバーチュン区に住んでいる。道が空いていれば会社までは30分で到着する。しかし、ラッシュアワーや天気が悪い日には、チューンチン通り、ソー交差点などの交通渋滞がひどい場所を通過して会社まで行くのに1.5~2.5時間もかかる。

さらにテトが近づくと全ての道路が渋滞して、会社まで3時間以上かかることも珍しくなくなる。「ハノイ市内の全ての道路が朝晩のラッシュアワーだけでなく、朝7時から夜9時まで渋滞しっぱなしになります」とミン・フーンさんは話す。渋滞に巻き込まれるせいでミン・フーンさんは毎日遅刻し、罰金10万VNDを払わなければならない。

コウザイ区にある石材貿易企業のマーケティングマネージャーとして働いているロンビエン区在住のホン・ハインさん(35歳)は、多くの重要な会議に出席しなければならない。しかし、会議の時間になっても会社の2㎞程手前にある高架で渋滞のために立ち往生することになり、近くのカフェに入ってオンラインで会議に参加しなければならなくなったことが何度もあった。

年末になると市内中心部の多くの幹線道路で渋滞が発生し、ホン・ハインさんは顧客との約束の時間に遅れ、会社の幹部から叱責された。

「平日の午後1時から2時頃ですら、キンマー通り、グエンタイホック通り、ファンボイチャウ通りなどの主要な通りは自動車で埋め尽くされ、バイクは歩道を走るか車の後ろで止まり続けるしかありません。年末に外出するのはまるで戦争に行くようなものです。前進しすぎて引き返せなくならないように進路を綿密に計算しておく必要がありますから」とハインさんは話す。

あらゆる道路で交通渋滞が発生しているため、荷物の配達業をしているフー・ギアさん(45歳)は、外に出るのを恐れている。数か月前なら、ラッシュアワーの時間帯を避ければ配達に支障はなかったが、今は、どうやっても渋滞を避けることはできない状況だ。

「いつも何とか渋滞を避けようと頑張っていますが、お客さんに荷物を届けるのがいつも30分から1時間ほど遅れてしまいます。雨の日はもっと酷くて、数時間遅れもざらです」とギアさんは話す。

(C) VNEXPRESS

テトが近づくとどの時間帯でも交通渋滞が発生し、ハノイの多くの市民をイラつかせる。この交通渋滞に関するSNS上の投稿には数千件のコメントがつくこともある。季節が変わると、多くの道路で立ち往生している人々の様子を撮影した写真の掲載が急に増える。

越日大学で建設工学を教えるファン・レ・ビン講師によれば、ハノイの交通渋滞は今に始まったことではないが、年末の交通渋滞には主に4つの原因がある。

1つ目は市内や市外の市民が買い物やプレゼントのために外出する必要性が増加することだ。2つ目は交通インフラが需要を満たせておらず、交通事故や天候悪化が発生すると局所的な渋滞が発生しやすい点にある。3つ目は、年末になると多くの道路工事が発生し、車両の通行できる範囲が狭くなることだ。そして4つ目は、市民の交通ルールへの意識が低いために、歩道を走ったり公共交通機関の車線を侵害したり、交通誘導員の指示に従わなかったりするためだ。

これに加えて、交通出版社の元社長で交通の専門家であるグエン・スアン・トゥイ氏は人口の増加と都市化が交通渋滞の原因だと指摘する。

トゥイ氏によれば、現在ハノイ市内には110万台の自動車、670万代のバイク、20万台の電動自転車等800万台以上の登録車両が存在し、市外からも120万台以上の車両が乗り入れている。その一方で、ハノイ市の道路用の土地比率は標準値の20~26%よりかなり少ない12~13%しかない。

ハノイ市交通運輸局のグエン・フィー・トゥーン局長によれば、自家用車の普及率は4~5%増加したのに対して交通インフラの整備は0.6%しか進んでおらず、ハノイ市の道路整備は、ニーズに全く追いつけていない。

ハノイ市交通運輸局の最近のレポートでも、ハノイの多くの主要道路で交通密度が設計の6~8倍に達していることが指摘されている。例えばチューンズーン橋は8倍、タインスアン区のグエンチャイ通りでは、ラッシュアワー時に3.3~5.6倍に達している。

(C) VNEXPRESS

毎日少なくとも5か所の深刻な渋滞ポイントを通過しなければならないことにうんざりしたミン・フーンさんは、テト前に会社の近くに部屋を借りることにした。新しい部屋は高いわりに奥まったところにあり、設備も殆どないが会社まで15分で行けるので満足しているとフーンさんは話す。毎日会社から帰ってきても食事したり休憩するのに十分な時間が残されているからだ。

交差点ごとに大渋滞して前に進めないことにうんざりしたホン・ハインさんは、夫と相談してハードン区の家を売ってコウザイ地区に小さなアパートを購入することにした。

「新しい家は狭いですが、夫婦の職場や子供たちの学校に近いので便利です。この家の周辺は抜け道も多くて渋滞を避けて移動することが出来るんです」とハインさんは話す。顧客に合うために外出しなければならない場合、ハインさんは遅刻しないように1~1.5時間前には出発するようにしている。

仕事の性質上、転居するのは難しいのでフー・ギアさんは急ぎでない荷物で荷主の同意が得られた場合は、配達時間を午後7時以降に遅らせるというアイデアを思いついた。急ぎの荷物の場合、ギアさんは抜け道を研究して幹線道路を避けて運ぶようにしている。

「1日中働いて夜も配達に行くのは疲れますし、気温も下がります。でも夜の方が道路は空いていてガソリン代も節約できるんです」とギアさんは話す。

交通の専門家であるグエン・スアン・トゥイ氏は、道路を通行している人々に不便や疲労を与えないために、交通インフラの向上、道路の拡幅や整備を進めるなどの解決案を提案する。特に公共交通機関は市民の需要に応えるため時間通りに移動し、質の高いサービスを提供する必要がある。また、都市の人口密度を低減させるために中心部でのアパート建設を止め、ベッドタウンの研究をする必要がある。

越日大学のファン・レ・ビン講師も同様の意見としたうえで、地理的な理由から道路を拡張出来なかったり、公共交通機関の本数が少ないなどの理由で、誰でもが公共交通機関を活用できるわけではないと指摘する。そのため、最善の方法は市民の交通意識を高め、公共交通機関に道を譲り、専用レーンに侵入しないようにさせることだという。

「もしそうしなければ、市民はさらに渋滞が発生するという現実を受け入れざるを得なくなるでしょう」とビン講師は話す。

出典:29/01/2024 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載