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【社会】経済的に安定するまで恋愛を避ける若者たち

(C) VNEXPRESS

働き始めてから5年以上経つが、アイン・キムさんは、より多くの収入を得るために残業を続けており、定時に帰宅したことは一度もない。

ハノイ市バーディン区に住むアイン・キムさん(27歳)の仕事は、午前8時から午後9時、10時まで続く。深夜まで残業することも珍しくなく、キムさんは同僚と事務所に寝泊まりすることもある。

いつ仕事の連絡が来てもいいようにキムさんは、携帯電話を片時も離さない。そのおかげで、キムさんの月収は2000万VNDを超えており、昇進のチャンスも与えられている。「毎日の睡眠は4~5時間しかありません。もし、時間に余裕があれば睡眠を優先したいので、恋人を探したりデートをする暇はありません」とキムさんは話す。

キムさんの両親は娘の忙しさを見て、給料が低くても結婚して夫や子供と過ごす時間がとれる仕事を探すように勧めてくる。しかし、キムさんは、現代社会では出世してより多くのお金を稼ぐことが最優先であり、恋愛や結婚は時間を浪費する邪魔なものだと考えている。

8月6日にグエン・ティエン・ニャン教授は、労働者の労働時間は、パートナーを見つけ、子供や家族と過ごす時間を充分に確保するためにできるだけ短くする必要があると発言し、アイン・キムさんの両親を喜ばせた。

しかし、両親の希望とは異なり、アイン・キムさんは、もし労働時間短縮案が可決されれば、労働時間の短縮によって削減された賃金を補うために自分でビジネスをするか自分の休憩時間に充てたいと話す。

「年を取ってから後悔しないように若いころに色々な経験をして楽しく生きたいんです。結婚は誰でもいずれするので、今焦ってする必要は感じません」とアイン・キムさんは話す。

カイン・ホアンさん(30歳)も恋愛や恋人探しに自分の自由時間を犠牲にしたくないと考えている。ホーチミン市でITの仕事に就くこの男性は、家賃が上昇し、生活費も上がっているのに給料は上がらずお金を稼ぐので精一杯で恋人を探す余裕はないと話す。

「恋愛に怠けているわけでも、結婚が怖いわけでもありませんが、単純に現在の経済状況では、結婚はおろか恋愛にもかけるお金の余裕がないんです」とホアンさんは話す。ホアンさんは、家を購入し、子供たちを学校に通わせるのに十分なお金を貯め、家族全員の最低限の生活水準を確保できるまで結婚する気はないと話す。

これがホアンさんが長年にわたり2つの仕事を掛け持ちして毎月3000万VNDを稼いでいる理由でもある。

アイン・キムさんやカイン・ホアンさんは、VnExpressが8月7日に11万人を対象に実施した調査で、労働時間を削減して恋愛パートナーを探すのは”非現実的”だと回答した13%の人々に含まれる。

ホーチミン市師範大学で心理学を研究するダオ・レ・タム・アン氏は、一部の若者の間で恋愛や結婚が遅くなっているのは理解できると述べた。

最も明確な理由は、キャリアを追求したい、自由を満喫したい、経済的に不安定な状態で生活の心配をしたくないというものだ。ホーチミン市人口・家族計画局のファン・チャン・チュン局長は、近年、経済的な困難やキャリアアップを理由に結婚や出産より独身を選ぶ人が増えてきていると指摘する。

チュン局長によれば、グエン・ティエン・ニャン教授の労働時間削減提案は、ベトナム人の晩婚化と少子化を考えた場合、理にかなっていると指摘する。特に労働時間の短縮は、労働者の身体と心の健康を守ることに役立つ。

2019年の労働安全局の統計データによれば、ベトナムの労働時間は東南アジアトップクラスで、休日日数は最低レベルにある。ベトナムの労働者の年間労働時間は、インドネシアより440時間、カンボジアより184時間、シンガポールより176時間も多いのだ。

第13期国会議員でハノイ女性知識人協会の会長でもあるブイ・ティ・アン准教授は、人口減少を食い止めるために何らかの措置が必要であることに同意しつつも、現在のベトナムは未だに発展途上段階であり、労働時間を削減し、労働者の自由時間を確保するのは経済的に無理があると指摘する。

「労働時間の短縮は、結婚や出産の比率を向上させるための1つの施策ではあるが、国全体の経済発展や出産支援策、教育制度の見直し、医療制度の構築など他の重要な要素と同時に展開させなければなりません」とアン准教授は話す。

アン・キムさんと同じく、アン准教授もパートナーのどちらかが持ち家があり、生活するのに十分な収入があり、産休などで昇進の機会を奪われないのであれば、喜んで結婚相手を探したいと語る。しかし、これらの条件が少しでも欠ければ、経済的な不安によって家族が混乱し、子供たちが貧しい生活を強いられないように結婚を先延ばしせざるを得なくなる。

「基本的な生活が保障されていなければ個人の幸せについて考えることは難しくなります」とキムさんは話す。

一方で、心理学者のダオ・レ・タム・アン氏は、労働時間の短縮を利用して更なる収入確保を求める人がいる場合、労働時間の短縮提案は、思わぬ副作用をもたらす可能性があると指摘する。

「労働時間を短縮しながら収入を確保するという調和のとれた解決策が無ければ、若者世代の不安を解消することは難しいでしょう」とアン氏は述べている。実際多くの国では、オーバーエンプロイメントといわれるフルタイムの仕事を掛け持ちする人が増えつつある。

ベトナム企業文化発展協会の文化部副部長であるドー・ミン・クーン氏によれば、オーバーエンプロイメント増えている理由は、給与が生活費として十分とはいえないからだ。2023年8月に実施されたベトナム労働組合研究所の調査によれば1ヶ月の平均生活費が1170万VNDだったのに対して、毎月の平均所得は788万VNDだった。「調査対象者のうち生活するのに十分な収入があると答えた人は僅か24.5%で、残りは本業だけでは生活費に満たないと回答した。多くの人が工場での仕事以外でも収入を得るためにアルバイトをする必要があった」と報告書には記載されている。

カイン・ホアンさんも本業の労働時間が短縮されてしまった場合、収入を増やすために副業をさらに増やすことを考えている。ホアンさんは、結婚相手は自由な時間があれば探すのではなく、キャリアが好調で経済的に安定したときに探すことになると断言する。

「若いうちに恋をして結婚すれば、両親を喜ばせ、年老いた父親になることを避けられるでしょうが、結婚したために経済状況が苦しくなり、倹約を強いられるような生活はしたくありません」とホアンさんは話す。

出典:2024/08/08 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載