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【経済】米国の新税制に備え、ベトナム企業が輸出加速

水産加工工場の作業風景
(C) TUOI TRE

米国の相互関税政策に対応するため、多くのベトナム企業が90日間の猶予期間を活用して、米国向けの出荷を急いでいる。

 注文維持と市場シェアの確保が急務

米国が導入予定の新たな関税政策を前に、ベトナム企業各社が輸出の前倒しを進めている。90日間の猶予期間が設けられている間に、出荷量を最大化し、影響を最小限に抑える狙いだ。

水産加工大手サオター食品のホー・クオック・ルック会長は、「現在、原料が限られる中でも可能な限り顧客に出荷している。顧客側も10%の追加関税を受け入れており、今のところ船会社の運賃も変動していない」と語る。同社は2025年初頭から米国向け輸出を加速し、社内の雇用と売上を維持している。5月中旬時点で、米国市場における同社の売上は約6,000万ドルに達し、2024年通年比で75%に達した。

ただし米国市場は簡単に攻略できる場所ではない。利益率は依然として高くなく、エビの大量死や原料高といった生産面での課題に加え、新たな関税が重くのしかかる。

同社のグエン・ティ・チャー・ミー副会長によれば、同社子会社のカンアンフーズが米国の大手小売業者コストコから2,000トンの「黒ラベル」エビ製品を受注しているという。この製品は同等の製品に比べて20~25%高値で取引されており、収益性が高い。だが、米国までの輸送に約45日を要するため、実質的に製造・出荷に残された時間はごくわずかだ。90日の猶予期間が終了すれば、こうした高価格帯商品への影響は特に大きくなると見られている。

米国以外の市場拡大にも意欲

サオター社は米国以外にも、カナダやオーストラリア市場への輸出拡大を模索しており、タイミングを見て中国市場への参入も視野に入れている。ただし、中国は主に未加工または半加工品を輸入しており、付加価値製品は価格競争力で劣るため、参入には慎重な姿勢を示している。
一方、木材加工業のドゥック・タン社(Duc Thanh)は、収益の大半を輸出に依存するが、米国の新たな関税政策に対しては冷静な対応を見せている。レ・ハイ・リウ会長は、「90日という重要な期間内に大口注文を急ぎ完了させる方針で、納期に間に合わせるため夜間作業も辞さない」と述べた。

同社は「一つの市場に依存しない」という方針を掲げており、現在、同社の売り上げのうちアジア市場が全体の76%以上を占め、欧州市場がこれに次ぎ、米国市場は比較的小さい。

 木製家具業界に構造転換の機会

木材業界も新たな関税政策の影響を受ける可能性があるが、中長期的には構造転換の好機とも見られている。ホーチミン市木材加工協会(HAWA)のグエン・チャイン・フオン副会長によれば、ベトナムから米国への木製家具輸出の65%は外資系企業が担っており、その多くが中国系であるという。

「外資系企業の多くは確かに影響が大きく、今回の関税政策変更によってベトナム進出の勢いが鈍る可能性もある。しかし、これはベトナム企業にとってはチャンスとも言えます」とフオン副会長は話す。
また、同氏は「現在、ベトナムは木製家具の分野を得意としてきましたが、布製品や金属製家具ではまだ遅れています。今回の米国の関税政策をきっかけにベトナム国内で素材の多様化が進む可能性があります」と指摘する。

 輸出額は増加傾向も、競争の焦点は“税率差”

ベトナム水産輸出加工協会(VASEP)によれば、2025年4月の水産物輸出は前年同月比で30%以上増加し、約10億ドルに達した。1〜4月の累計では34.5億ドルに上り、前年比28%増となっている。

一方で、業界関係者は「問題は税率の高低そのものではなく、競合国との相対的な税率の差にある」と指摘する。インドやエクアドルといった競合国との関税格差が、ベトナム製品の競争力に大きな影響を与える可能性がある。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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