管理費にVATインボイスなしで?他の管理組合も動揺
ホーチミン市にある「コニック・ドンナムアー」マンションの管理組合が、住民へのサービス提供時にVATインボイスを発行していなかったとして、約1,198億ドン(約7億円)もの罰金を科された。この処分を受け、市内の多くのマンション管理組合は「自分たちもVATインボイスを発行していない」と困惑している。
領収書(phieu thu)はあるがインボイスがない。 税務の見解に疑問の声も
複数のマンション管理組合によれば、これまで住民からの管理費や運営費の徴収に対し、VATインボイスは発行せず、領収書や通知のみで対応していたという。ある管理組合が税務署に確認した際には、「これは物品販売やサービス提供ではなく、住民が出資する形の運営費徴収である」との見解を得ていたケースもある。
例えば、トゥードゥック市のマンションでは、毎月、紙で管理費(1㎡あたり7,000ドン)や駐輪代、水道代などが通知され、住民が銀行振込で支払う形を取っていたが、VATインボイスや領収書は発行されていない。
罰金額の根拠に疑問、現行法との整合性も課題に
今回の罰金の根拠は、インボイスを発行せずに徴収した4億5300万ドン(242世帯、30か月分の7,260件分の未発行請求書)に対し、違反行為1件ごとに加算した結果、約1200億ドンにまで膨れ上がったものだとビンチャン区税務局は説明している。しかし、専門家からは「行政処分として過度に重すぎるのではないか」や「刑事罰よりも高額な罰金が科されるのは不適切ではないか」などの意見が出ている。
また、税法の適用方法についても、複数回の違反を「1件ごとに処分する」現行の政令(第125号)と、「複数回は加重処分のみ」とする行政処分法の考え方に矛盾があると指摘されている。
管理費収入は“サービス”か? 見解に揺れる現場
そもそも管理組合が徴収する費用が「サービス提供」に該当するのかどうかも議論を呼んでいる。2024年4月、ホーチミン市税務局第2支部は「住民からの管理費徴収は物品販売やサービス提供ではない」と明言した文書を出していた。
しかし、今回のビンチャン区税務署は、「管理業務はVAT(付加価値税)および法人所得税の対象であり、請求書の発行義務がある」との判断を下し、管理組合を処分した。
法改正求める声も──現場とのギャップ埋める必要性
今回の件を受け、専門家からは「現実と法律のギャップを埋めるため、政令125号の早急な見直しが必要ではないか?」との提言も出ている。このままでは、行政処分が過度に重くなることで、処分された側が納付不能となり、実効性が失われる恐れもある。
コニック・ドンナムアー管理組合のケースは現在、刑事処分の可能性も含め調査が進められている。今後の動向次第では、全国のマンション管理運営に広く影響を与えることになりそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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