ハノイ市人民裁判所は7月2日、国際的な麻薬密売組織に関与したとして起訴された12人に対する一審判決を言い渡し、元警察官2人を含む11人に死刑を、首謀者である女性「通称フーン・マウ」ことグエン・ティ・キム・フーン被告には、幼児を育てている点を考慮し、無期懲役を言い渡した。
検察によると、この組織は2019年から2021年にかけて、ラオスから仕入れた麻薬約137kgをハノイやバクニン省で販売していた。犯行には公用車(青ナンバー車)が使用され、警察関係者による「支援」も明らかになっている。
死刑判決を受けたのは、元ロンビエン区警察のハ・ミン・ドゥック被告および、元ドゥックザン地区の警察官だったグエン・バン・フン被告を含む11名。グエン・ティ・キム・フーン被告は子どもを養育していることを理由に減刑された。
※補足:「青ナンバー車」とは、ベトナムで政府機関・警察などの公用車に割り当てられるナンバープレートで、私有車の「白ナンバー」と異なり、特権的な交通上の扱いを受けることがある。これを悪用することで、職務中の移動と偽り、違法行為を目立たせずに遂行することが可能となる。
公用車を利用、警官の「黙認」
裁判所は、被告らが国家の公用車である「青ナンバー車」を用いて麻薬を運搬し、一部を警察官の自宅敷地内に保管するなど、極めて悪質かつ巧妙な手口であったと指摘。さらに、警察官による便宜供与や黙認行為が組織的犯罪を助長していたと断定した。
首謀者であるフーン被告は、警察官だったフン被告に対し「少し荷物を置かせて」と頼み、4~5kgの覚醒剤や1万2,000錠以上の麻薬錠剤をガレージに保管し、その場所から密売を続けていたという。
また、ドゥック被告は麻薬捜査担当者でありながらフーン被告と「親しい関係」にあったとされ、同被告の麻薬密売行為に加担・隠蔽し、総額13億VND(約760万円)超の利益を得ていた。
裁判所「警官の関与は社会的裏切り」
裁判長は「このような重大犯罪に国家の治安を担う警察官が関与したことは、法の秩序だけでなく社会の信頼を著しく損なう」と述べ、社会的責任の重大さを強調した。
今回の判決は、ベトナム国内でも特に厳しい刑罰が科された例のひとつとなり、麻薬犯罪への強い姿勢を改めて示すものとなった。
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