「私は臓器提供者です。遺体はチョーライ病院へ」。この言葉が刻まれた一つのタトゥーが、いまベトナムのSNS上で大きな話題を呼んでいる。
このタトゥーはある彫り師によって公開されたもので、投稿直後からネット上で拡散され、多くの共感と称賛を集めている。「ただのタトゥーではなく、生きることの誓いを身体に刻んだ証」と記した有名ファンページも現れた。
このタトゥーの持ち主は、生前に臓器提供の意思登録を済ませたとみられ、いざというときには自分の体の一部が別の命を救うことを願っている。
臓器提供の意思を示すこと自体が勇気を要する行為だが、それを永久的な形で体に刻む決断は、さらに大きな覚悟を感じさせる。
命をつなぐ医療、そして5万9,000人の登録者
チョーライ病院・臓器移植コーディネート部門のドー・ティ・ゴック・トゥ医師によると、「死後の臓器提供は、他人の命を救うだけでなく、社会全体に大きな恩恵をもたらします」と語る。
同病院によると、臓器移植を受けた患者は治療後に健康を取り戻し、学業や就労を再開するケースが多く、医療費も手術前と比べて3分の1から5分の1に減るという。また、公的医療保険の財政負担軽減にも貢献している。
さらに、ドナーが増えることで違法な臓器売買の抑止にもつながり、医療の透明性と治安の維持にも寄与するという。
2024年末時点で、チョーライ病院には全国から寄せられた臓器提供の意思登録が約5万9000件にのぼっている。
「生きている間も、死んだ後も与える人でいたい」
このタトゥーは、単なるアートではなく「生きる姿勢」を体現したものとして、多くの人の心を動かしている。投稿のコメント欄には「あなたの勇気に感動した」「自分も登録を検討したい」などの声が寄せられている。
そして何より、この一件は「命をつなぐという行為」が、誰かの人生に深く影響を与えるという事実を、静かに、しかし力強く物語っている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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