台風ウィパー接近に備え、老朽化した集合住宅の住民全員を安全な場所へ移動
危険度「D」判定の集合住宅から緊急避難
ハノイ市ザンボー街区の人民委員会は、2025年7月21日夜、台風ウィパー(Wipha)接近に伴い、老朽化が進む危険な集合住宅「G6A タインコン(Thành Công)」に住む住民全員の避難を実施した。
この集合住宅は、国家によって危険度が最も高い「レベルD」と判定されている建物である。
地域住民の協力で円滑な避難完了
ザンボー街区人民委員会のコー・ニュー・ズン主席によると、事前の広報と住民への説得活動により、住民の理解と協力を得ることができ、21日21時までにすべての世帯が避難を完了したという。
避難対象は、G6A棟内の8世帯18人で、その中には75歳以上の高齢者2人と14歳未満の子ども2人が含まれていた。避難先としては、文化会館、学校、簡易宿泊所などが用意され、いずれもG6A棟からおよそ100メートル以内の距離に位置している。
生活支援と治安確保も実施
避難期間中、ハノイ市当局は生活必需品の支援を行うほか、民兵部隊を派遣して避難元の治安と財産保全に当たる体制を整えている。
危険住宅の改修計画は難航
G6A棟は5階建て、3棟構成の集合住宅であり、そのうち1号棟と2号棟はレベルD、3号棟はレベルCに指定されている。この建物は2016年にすでに「改修・再建が必要な危険建築物」として認定されていたが、住民の同意が得られず、約9年間にわたり実質的な立ち退きは進んでこなかった。
過去の台風時にも避難措置
昨年9月に台風ヤギが接近した際も、ハノイ市内のバディン区およびホアンマイ区では同様に老朽集合住宅からの住民避難を実施していた。このときはG6A棟の3号棟や、ザンボーC8集合住宅、ゴックカン集合住宅A棟、A7集合住宅からも多数の住民が避難した。
台風ウィパー接近でハノイ市が緊急指令
台風ウィパーへの対応として、21日夜にハノイ市人民委員会のチャン・シー・タイン主席は、市内各地区の人民委員会に対し、老朽化した住宅や土砂災害・洪水・浸水が懸念される地域からの住民避難を迅速に行うよう緊急通達を出した。
気象予報センターによると、21日夕方から23日にかけて、ハノイ市全域で降雨量が100〜200ミリ、チューンミー(Chương Mỹ)、フースエン(Phú Xuyên)、バンディン(Vân Đình)などの地域では150〜250ミリに達する可能性があるという。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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