成人の重症例と死者が増加
2025年の第28週時点で、ホーチミン市におけるデング熱による死者は10人に達した。その多くが基礎疾患を抱える成人だった。感染者数も急増しており、市の医療システムにとって対応と制御の大きな課題となっている。
デング熱患者、前年同期比80%増
ホーチミン市保健局は7月21日、傘下の機関とともに会議を開き、デング熱の現状と対策を協議した。ホーチミン市疾病管理センター(HCDC)のレ・ホン・ガー副所長によれば、2025年の第1~28週の南部地域全体での感染者数は3万3,633人となり、前年同期比で約80%の増加となっている。
ホーチミン市では1万5,502件のデング熱症例が報告され、そのうち旧ホーチミン市区域では1万1,914件、死亡例は6人(男性3人、女性3人)であった。死者のうち5人は基礎疾患があり、3人は極度の肥満だった。
近隣地域でも被害は拡大しており、旧ビンズン省で2,659件(うち死亡3件、2人は子ども)、旧バリア・ブンタウ省では929件(死亡1件)が報告されている。
感染の主流はD2型ウイルス 若年層の重症化リスクも
HCDCによれば、今年は成人の感染割合が高まっているが、11~15歳の年齢層が重症化しやすい傾向は依然として続いている。特に旧クチ郡での感染増加が顕著であり、D2型ウイルス株が引き続き主流となっている。市内では年初から1,268か所のデング熱集団感染が確認されており、現在も増加傾向にある。
病院の負担増加 重症例対応に課題
ホーチミン市熱帯病院では、現在1日あたり約200人のデング熱患者を受け入れており、うち20%が重症で、4~5人が人工呼吸器を使用しているという。重症例の発見が遅れ、安全な転院ができていないことも死因の一因とされている。
病院側は成人患者の治療負荷が深刻化しているとして、重症患者を他の高度救命対応が可能な総合病院に分散させることを提案した。小児病院では毎晩2~3人のデング熱患者を受け入れており、中には人工呼吸を必要とする症例もあるという。
ホーチミン市保健局が緊急対策を指示 「全市で一丸となって感染抑制を」
ホーチミン市保健局のタン・チー・トゥーン局長は、感染者数と死亡例を抑制するため、以下のような対策の徹底を指示した。
- 予防面:蚊・ボウフラの駆除、感染リスクエリアの監視、感染予防の広報活動の強化、感染対策に関する法令違反者への厳正な処罰。
- 治療面:症例を重症度に応じて分類し、リスク群への早期警告、総合病院や内科医へのデング熱治療研修の実施、高度な集中治療体制の整備、症例報告の徹底、薬品・消毒薬の事前準備、治療ガイドラインの遵守。
また、トゥーン局長は今後の感染拡大に備え、再編後のホーチミン市各重点地域において、重症例治療のシナリオを構築し、熱帯病院の負担軽減のために対応可能な病院を早急に増設するよう求めた。
重点施策:市全体での感染監視と迅速な初動対応
ホーチミン市保健局は、ホーチミン市人民委員会に対し、市全体での具体的な対策実施を提案している。感染者数のさらなる増加が懸念されており、感染症の早期監視、住民への警戒喚起、治療体制の事前整備は、今後数か月間の最優先事項とされている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN