中心部に5,680の夜間営業事業者が集中
ホーチミン市では「眠らないストリート」と称されるナイトエコノミーエリアが活況を呈している。市中心部のベンタン街区、サイゴン街区、タンディン街区などでは、レストラン、バー、ジム、24時間営業のコンビニなど、5,680の事業者(企業3,550件・個人事業主2,130件)が夜間営業を展開している。
なかでも、ブイビエン通りは夕方4時ごろから深夜まで、飲食・娯楽を楽しむ若者や観光客で賑わいを見せている。
売上の過半数が夜間に集中
ホーチミン市の調査では、これら夜間営業の事業者の約40%が、売上の半分以上を夜間で稼いでいるという。飲食店やバーなどが最も多く、混雑のピークは毎晩20時から22時の時間帯となっている。
これらの地域のホテルやレストランの多くが、午後5時以降の売上だけで売上全体の70~80%を占めるとも報告されており、ナイトエコノミーがホーチミン市の観光・消費を下支えしている実態が明らかになった。
税収向上へ、電子インボイス導入を推進
ホーチミン市税務当局は、経済活動の拡大に伴って課題も増えているとし、税収の漏れを防ぐための取り組みを強化している。
これまでに280社を対象に実施した税務調査では、125社に対して総額11億VND超(約620万円)の追徴・罰金処分が決定され、対象企業の赤字計上額を112億VND圧縮する成果を上げた。2025年前半の税収は前年比13.6%増を記録しており、ナイトエコノミーにおける税収も前年比64%増の32億VNDに達した。
また、2,816社と250の個人事業主が、電子インボイス発行に対応したレジシステムを導入済みで、さらなる普及が求められている。
税務管理には構造的な課題も
一方で、課税管理における構造的な課題も浮き彫りになっている。多くの企業が本社ではなく支店を市中心部に構えながら、税務申告は本社所在地で行っており、地元税務署による実態把握が困難となっている。
加えて、一部の事業者は複数の法人格を活用し、実態を分散・隠蔽するなど、脱税のスキームを用いている。さらに、マッサージやカラオケなど特別消費税の対象業種を「スパ」や「飲食」と偽って登録し、税を逃れる例も確認されている。
税務署が提案:後方監査制度と申告地の再編を
このような課題に対応すべく、ホーチミン市税務署は財務省に対し、後方監査(ポストチェック)制度の導入と、営業実態に基づいた税務申告制度の見直しを提案している。
具体的には、レストラン・ホテル・高級サービス業などの課税申告を営業所在地で行わせる制度の構築を求めており、「中心部で営業しながら別地域で納税」という構造的な税収漏れの是正を目指す。
インバウンド消費は1人50ドル超
ホーチミン市研究開発院(HIDS)の調査によると、訪越外国人の夜間消費額は平均で約50米ドル(約130万ドン)となっており、レストラン、バー、カフェなどが人気の行き先となっている。
また、調査対象企業のうち83%が今後3年間も夜間営業を継続予定で、その61%が拡大計画を有しているなど、夜間経済は今後も持続的な成長が見込まれている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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