ベトナム財務省は2026年1月から、従来の「売上に応じた定額課税」に代えて、個人事業主および小規模事業者に対し「利益の17%」を課税する新方式を提案している。これは企業課税方式に近づけ、事業者の法人化を促す狙いがあるとされるが、小規模事業者からは「証明困難」「負担過大」との反発が広がっている。
17%「一律課税」は不公平との声
新制度では、従来の売上ベースの定額課税を廃止し、利益に対し17%を課税する。これは中小企業に適用されている法人税率に合わせたものである。
しかし、小売業や農産物販売など薄利業種の事業者からは「売上高も小さく、利益率も5%以下にとどまるのに、17%もの税負担を強いられるのは実態に合わない」との声が相次ぐ。さらに、仕入れや配送費など小口の経費は領収書がない場合が多く、経費証明が現実的に難しいという。
小規模事業者の負担感
雑貨店経営者のダム・カム・ロアン氏は「電子インボイス導入のために機器やソフトを購入したばかりで、これ以上の負担は耐えられない」と訴える。
果物販売業者のグエン・トゥ・フエ氏も「農産物は利益率が低いうえ、仕入れは領収書が出ないケースが多い。実際には利益が出ていないのに課税されてしまう」と不満を漏らした。
法律専門家の見解
行政学院のブー・バン・ティン法律博士は、新制度の導入は「公平性を高め、法人化を促す意図がある」と評価する一方、課税対象を年間売上2億VND(約120万円)以上とした根拠が不明確だと指摘し、「最低3年間のデータを基に科学的に設定すべき」と強調した。
また、過度な負担は零細事業者の参入を妨げ、起業支援政策に逆行する可能性があると警告した。
制度設計への課題
小規模事業者にとって最大の障壁は、経費証明の煩雑さと過度な税負担である。専門家や現場からは「領収書に限らず簡易な証憑を認めるべき」「規模別に課税率を変えるべき」といった提案も出ている。
今後、制度導入に向けた調整と社会的合意形成が大きな課題となる見込みである。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



























