ドイツは急速な高齢化に直面し、深刻な人材不足に悩まされている。この状況はドイツ経済に重圧を与える一方、国際人材にとって大きな機会となっており、ベトナム人学生にも門戸が開かれている。
50万人超の看護師が不足
9月20日にベトナム南部教育訓練開発センターとアン・ズーン・グループ(ADG)が共催した「ドイツでの進学・就職セミナー」によれば、ドイツでは現在、建設、販売、食品加工、電気技術、空調設備など幅広い分野で人材が不足している。
特に介護・看護分野の需要は高く、ADG社長ホアン・ヴァン・アン氏は「ドイツの看護師の時給は約20ユーロ(約3500円)で、ベトナムでは一日分の収入に相当する」と強調した。
ドイツ高齢者施設協会のグエン・ホン・キー氏によれば、現在ドイツは50万人以上の看護師が不足し、2030年までにさらに30万人が必要になる見通しだ。政府は国際人材の受け入れを拡大しており、勤勉で器用、責任感の強いベトナム人労働者を有望視している。
無料で学べる「職業留学」 卒業後は高収入も
ドイツでは人材不足を補うため、職業留学制度を拡充している。
現在、学費は全額免除され、生活費として月1,000〜1,500ユーロ(約17万〜26万円)が支給される。また、実習中には最大月2,200ユーロ(約38万円)の給与を得られる。卒業後は2,800〜3,300ユーロ(約48万〜57万円)の初任給で雇用契約が結ばれ、社会保障も完備されている。5年間働けば永住権や市民権の取得も可能となる。
応募条件は、高校卒業以上でドイツ語B1レベル(看護分野ではB2が主流)が必要で、ベトナム国内で6〜8か月の語学学習を経て渡独できる。
学位認定のプロセスと注意点
ベトナムで取得した中・高等教育以上の学位は、ドイツでの認定が必要となる。産業商工会議所のブイ・トゥ・トゥイ氏によれば、少なくとも2年以上の教育課程を修了した学位が対象であり、ドイツに対応する職業が存在することが条件となる。
医療や教育など資格が必要な職種は各州の専門機関が審査、それ以外の職種は商工会議所などが認定を行う。審査には3〜6か月(場合によっては8か月)かかり、費用は300〜600ユーロ必要となる。認定不可の場合も費用は返還されないため、事前準備が不可欠である。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN