50年ぶりの大洪水、集落が水没
ランソン省旧フー・ルン郡の複数の村で、50年ぶりとなる大規模な洪水が発生し、数千軒の家屋が浸水した。7日夜から8日にかけて水位が急上昇し、多くの住民が屋根の上や山に避難して救助を待った。
「2時間で家が水没」 息子が両親を救出
ランソン省バンニャム村のグエン・ティエン・ダットさん(32歳)は、7日午後、自宅に濁流が押し寄せると妻と2人の子どもを隣家の高台に避難させた。その後、両親を助けに戻ると家はすでに窓まで浸水。中に入ると両親は屋根の柱につかまっていたという。
「水が滝のように押し寄せ、家財も家畜もすべて流された。助かったのは奇跡だった」とダットさんは振り返る。彼は屋根瓦を割って両親を屋根に上らせ、翌朝まで7時間、寒さと空腹に耐えながら救助を待った。
家族で山へ避難、岩壁で一夜
同じバンニャム村のドー・チョン・トゥエンさん夫婦も、自宅が3時間で水没し、5歳の子どもを抱えて裏山に逃げた。
「振り返ると家は完全に水の中でした。岩壁の上で毛布もなく夜を明かしました。助かっただけでも幸運でした」と妻のネー・ホー・シュインさんは語る。夜通し降った雨の中、家族は岩の上でカップ麺を分け合って飢えをしのいだ。
高台の2階建て住宅が避難所に
村内で唯一高台に建つチャン・バン・トゥックさん(68歳)の2階建て住宅は、洪水でも浸水せず、約60人の住民が避難している。
「1971年や1986年の大洪水よりも水位が高く、電柱の根元まで浸かった」と地元の96歳のグエン・ヴァン・クエ老人は話す。
SNSで救助要請、5か月の乳児も孤立
8日朝、SNS上には「助けてください」との投稿が相次いだ。バンニャム村の民家の屋根で、5人の幼児を含む住民が救助を待つ写真が拡散された。
「5か月の赤ちゃんがミルクを切らしてしまい、母乳も飲まない。せめて粉ミルクを届けてほしい」と母親のグエン・ティ・リエンさんは訴えた。
軍がヘリで救援物資を投下
バンニャム村では約2,000世帯が孤立し、通信も途絶している。ランソン省全体では3,000世帯以上が被災し、深い場所では水深2メートルに達した。
ランソン省農業・環境局によると、軍と警察が総勢2,000人以上を動員し、救助艇8隻や重機を投入して救助活動を行っている。現在、約800人が学校や公共施設へ避難しているとみられている。
バンニャム村の党書記グエン・チョン・フン氏は、「水位はゆっくり下がっているが、完全に引くまで2日ほどかかる見込みだ」と述べた。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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