寄生虫感染の原因となる食品とは
寄生虫感染は、衛生状態の悪い飲食や、皮膚接触、個人衛生の不備が主な感染経路である。
ハノイ市のバックマイ病院・医学生物検査研究所のファム・ティ・タオ・フーン医師によると、腸内寄生虫(回虫、条虫、吸虫など)は人の消化管内に寄生して栄養を奪い、さまざまな疾患を引き起こすという。
感染経路:皮膚から侵入する寄生虫も
皮膚から感染するのは、主に鉤虫や糞線虫の幼虫である。
これらの幼虫は湿った土壌中に存在し、素足や素手で直接触れることで皮膚(特に指の間など)から侵入する。
食品を介した感染が最も多い
寄生虫感染の多くは、飲食を通じて起こる。主な原因は次の通りである。
- 洗浄が不十分な生野菜:人糞肥料や汚水で育てられた野菜には回虫や鞭虫の卵が付着している可能性がある。
- 淡水魚の生食:小型肝吸虫感染の主要原因で、ベトナム各地で一般的に見られる。
- 水生野菜(セリ、クレソン、レンコンなど)の生食:大肝吸虫の幼虫を含む場合がある。
- 豚肉や牛肉の加熱不足:豚条虫・牛条虫感染の原因となる。
家庭内でも注意が必要
家庭では、特に子どもの指しゃぶりや手洗い不足が、蟯虫の再感染を招きやすい。
また、煮沸していない水を飲むことも感染源となる。汚染された水には寄生虫の卵や幼虫が含まれている場合がある。
地域ごとの感染リスク
ファム医師は、地域によって感染リスクが異なると指摘する。
農村部では素足での農作業などにより、鉤虫・糞線虫などの「土壌由来寄生虫」の感染が多い。一方、都市部では外食や生食の機会が多く、食事を通じた感染リスクが高い傾向にある。
感染予防の基本:加熱・衛生・定期駆虫
寄生虫感染を防ぐためには、次の習慣が重要である。
- 食品は十分に加熱し、水は必ず沸騰させてから飲む。
- 淡水魚の刺身、加熱不足の肉、血の料理(ティエットカン)などは避ける。
- 食材は流水でよく洗う、塩水に浸すだけでは寄生虫卵は死滅しない。
- 食前・排便後は石けんで手を洗う。
- 爪は短く清潔に保つ。
- 特に子どもは6か月ごとに医師の指導のもと駆虫を行う。
寄生虫感染のサインに注意
感染初期の症状は曖昧で、消化不良や腹部膨満など一般的な消化器症状と似ている。
主な兆候は以下の通りである。
- 長期にわたる腹部不快感、下痢や便秘の繰り返し
- 食欲不振、原因不明の体重減少、倦怠感
- 夜間の強い肛門のかゆみ(特に子どもの蟯虫感染)
- 顔色不良・貧血(鉤虫による吸血)
- 皮膚の発疹やアレルギー症状
放置すると重い合併症も
重症化すると、回虫による腸閉塞、胆管への侵入による胆管炎や肝膿瘍などの外科的合併症が起きることがある。
また、肝吸虫の慢性感染は肝硬変や胆管がんにつながるおそれがある。
さらに、免疫力が低下した人が糞線虫に感染すると、全身性の重篤な感染を引き起こし、死に至るケースもある。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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