ホー・チ・ミン主席の書簡に始まる「民間経済」の理念
1986年のドイモイ(刷新)政策以降、ベトナムの民間経済は法的承認の段階から急成長・国際統合へと歩みを進めてきた。
そして2025年、ついに民間経済は国家経済の「最重要な柱」として位置づけられるに至った。
その原点をたどれば、今から80年前、建国直後のホー・チ・ミン主席による「商工業界への書簡」にまで遡る。
1945年9月2日の独立宣言のわずか1か月後、ホー・チ・ミン主席は商工業者に宛てた書簡でこう記した。
「商工業者が団結し、国の独立と経済建設に尽力していることを喜ばしく思う。
国家の繁栄は、企業の繁栄にかかっている。商工業者は国のため、人々のために尽くしてほしい。」
この書簡は、単なる激励ではなく、国家として初めて「民間の経済活動を支援する」と明言した歴史的文書である。
ホー・チ・ミン主席は、民間の活力と創意が国の繁栄の礎になるという先見的な理念を示し、政府と国民がともに企業を支える姿勢を打ち出した。
80年を経た今もその精神は受け継がれ、ベトナムの企業家たちは利益追求だけでなく「社会的責任」と「国への貢献」を使命として掲げている。
ベトナム企業家の日──21年の歩みと成果
こうした思想を継承し、2004年9月20日、ファン・バン・カイ首相の決定により、10月13日が「ベトナム企業家の日」と定められた。
この日は、国家の発展に寄与した企業家を称える記念日として、今年で21年目を迎える。
この20年間で、国内企業数は11万2,000社から93万社へと8倍以上に増加した。
2025年の1月から8月までだけでも、新規参入企業が20万9,200社と前年同期比で大幅増となり、活動再開企業数も8万1,100社と41%増加した。
現在、約100万社の企業と500万の個人事業主が活動し、民間部門はGDPの約51%、国家予算の30%以上を担っている。
また、労働人口の82%にあたる4,000万人超の雇用を創出しており、社会投資資本の60%近くを占めている。
コロナ禍や自然災害の試練の中でも、多くの企業は事業を維持し、社会支援に尽力した。民間企業は今や経済成長、税収拡大、技術革新、社会保障の面で欠かせない存在となっている。
2025年──民間経済が「国家の柱」として飛躍する年
2025年は、民間経済にとって画期的な年である。
トー・ラム書記長の指導のもと、政治局が「民間経済発展に関する第68号決議」を迅速に策定・公布した。
同年5月18日、ハノイで開催された全国会議で、トー・ラム書記長は「第68号決議は民間経済を国家の中核として位置づけ、企業家を“経済戦線の戦士”と称える」と強調した。
この決議は、科学技術革新、国際統合、法制度改革と並ぶ“4本の柱”のひとつとして、経済構造の大転換を象徴するものである。
書記長はまた、「民間部門は国家経済の“第三の脚”として、国営経済・協同経済と並ぶ安定基盤を形成する」と述べ、民間の地位を戦略的に引き上げた。
さらに、ファン・ミン・チン首相は5月31日の企業家懇談会で「かつての“人民戦争”が独立を勝ち取ったように、今こそ“全民富国”の精神で国家を豊かにすべき時だ」と呼びかけた。
首相は「党が指導し、政府が行動し、国民が支持すれば、議論より実行あるのみ」と述べ、国家・企業・国民の連携による経済発展を訴えた。
こうして2025年、ベトナムの民間経済は歴史的な転換点を迎え、独立と繁栄の新たな時代へと歩みを進めている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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