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ベトナムビジネス情報Vol109|
パッケージ技術、結集!ProPak Vietnam 2019

3月19日~21日、ホーチミン市7区のSECC展示会場で「ProPak Vietnam 2019」が開催された。包装やパッケージに関する大規模展示会で、30の国と地域から540社超が出展し、合計の来場者数は約9000人となった。

包装業界の大展示会

 ProPak Vietnamは主に食品や飲料を対象とした、包装、印刷、パッケージ技術の展示会。今年で14回目となる。バンコクで開催されるProPak Asiaが有名だが、ベトナムにも根付いてきた。
 出展企業はローカル企業も多く、製造業系の展示会ではお馴染みの中国、韓国、台湾、シンガポールの国際パビリオンの他、イタリアとドイツのパビリオンが目立っていた。日本系は日本からの出展が多く、取材をするとここ数年で連続出展している企業がほとんどだった。
 出展は食品などを包むパッケージフィルムなどの素材、それらを使って包装する自動包装機、商品の重さを量る秤、工場内で包装された商品を運ぶ搬送機、歯付きベルトなどのパーツと実に様々。菓子を作るベイキングマシーンや商品を倉庫にまとめて収納するプラスチックプレートなどもあり、業界ならではの製品が並んだ。
 来場者はベトナム人が多く、出展企業も多くはベトナム企業を対象としているようだった。経済成長に伴って食品や飲料、加えてこちらもパッケージが必要な医薬品などが幅広く供給され、ベトナム印刷協会によれば、パッケージと印刷を合わせた市場は15~20%伸びているという。こうしたニーズをとらえての出展と来場だろう。

2階建て包装ラインで注目

 日系・日本企業の中でも、エントランス近くの広いスペースで注目を集めていたのがイシダベトナムだ。前回から出展スペースを拡大させて、アピール力を高めたという。親会社は元々計測機メーカーだったが、自動包装機やX線異物検出装置などを開発し、現在では計量、検査、包装の一貫した生産設備を提供している。
 来場者の目を一際引いていたのが、2階の高さまで組み上げた自動包装機のラインだ。ブルーのコンベアにいつくかのキャンディを乗せると、2階まで運んで設置された計量機に落とす。これは同社の組み合わせ計量機であり、キャンディは周囲に14あるホッパーに分散され、決められた重量(例えば100g)になるよう計算して適切な数量を落とす。すべてのホッパーからの合計が最適値になって、その数のキャンディがパック包装されて出てくるのだ。
「包装紙に包まれたキャンディのようなドライタイプだけでなく、キムチのようなウェットタイプの商品でも対応できます」
 イチゴキャンディ50g、メロンキャンディ50gのように複数の商品を計量して包装することも可能。また、包装された商品をダンボール箱などに入れる箱詰め装置もあるが、人件費の安いベトナムなので出展していないそうだ。イシダベトナムはブランド力のある日系、外資系、ローカルの食品メーカーに自動包装機などを納入しており、ますますの拡大を狙っている。
「例えばポテトチップスの場合、自動化装置がなければ1ラインにオペレーターが10人必要でも、弊社のラインを使えば1~2人ですみます。物によりますが1分で70~100袋できます」

水産業界の自動化を促進

 自動化のニーズを狙った出展は水産物の分野にも及び、主な販売先をローカルの水産業や水産加工業と想定していた。9社が共同出展していたAMEのブースには日本企業が多く入っており、その1社は計測機メーカーの大和制衡だ。
 同社は組み合わせ計量機を出展。左右に7つずつ並んだ小型コンベアにエビなどの水産物を乗せると、各々から中央にある大きなコンベアに必要な量が運ばれて、合計した重さが設定した重量になる。これがまとまることで、定量パックの詰め作業などに使われる。
 秤に乗せて何度も重さをチェックするのに比べて、何人かが装置の両側にあるコンベアにひたすら乗せていけば、流れ作業のように自動計量が進む。
「大幅な省人化、スピードアップと同時に、正確な計量による歩留まりの向上が見込めます。1パック200gの商品に203gや205gを入れたとして、1万パックでどれほどのロスが出るでしょうか」
 ベトナムでは水産物や水産加工品の国内消費だけでなく、これらの輸出も増えている。そのため、国内向けの企業だけでなく、日本が輸出先の大型工場を持つ企業などもターゲットだ。ベトナムの魚介類を使うレストランチェーンなどは視察に来るので、日本製の計量機を使っていることがアピール材料になるという。
「水産では全自動化が難しい。そのため、第1ステップとして計量の自動化を提案したいと思います」
 同じAMEのブースには真空包装機メーカーの西原製作所も出展。食品や工業用部品など包装の用途が広い装置だが、こちらも水産物を対象とした真空パックのニーズを見込む。装置の上にエビやカニを並べ、熱でシールして真空にパックし、コンベアで移動して落とす。装置に角度がつけられるので、固形物から液物まで対応できるそうだ。
「寿司ネタを扱っているようなベトナム企業さんを考えています。あるいは、エビの養殖をしていて、エビの伸ばし(まっすぐにして使う)が必要な会社さんなどですね」


 包装機で大手となる古川製作所は単独出展で、中型の真空包装機と大型の自動袋詰シール機を出展していた。中国、タイ、インドネシアに拠点を持ち、ベトナムは代理店経由で販売するが、最近は問合せが増えているそうだ。
「お客さんは水産を含めた食品メーカーさんと思っていますが、来ていただいたお客さんも食品メーカーが多く、ほとんどがベトナム人です」

パッケージ素材の企業もPR

 食品パッケージの東タイはタイでのProPak Asia、フィリピンでのProPak Philippinesに出展してきたが、ベトナムに伸びしろを感じて3回目の出展。パッケージ素材の対象は食品が9割ほどと多く、日本と中国の工場で生産している。ベトナムに販売拠点はないので出張ベースでサンプル出荷などを始め、徐々に販路が広がってきたようだ。
「日本ではポテトチップスなどの包装用が多いのですが、ベトナムではカレーやチリソースなどレトルト系の包装で付加価値を出していきたいです」


 高品質のパッケージフィルムが特徴のタキガワ・コーポレーション・ベトナムは、2019年3月号の特集記事で紹介したようにライティングにこだわり、他社との差別化を図っていた。
「機能性はもちろんですが、印刷の色やパッケージの形といった『見た目』も大切だと思います。陳列されたときのイメージを、ブランドオーナーにアピールしたいのです」
 スーパーマーケットにあるような陳列棚を作り、そこで商品を見せているのも、自社の商品が実際に置かれた時のイメージを来場者に持ってもらうためだ。同社はProPak Vietnamに注力している日系企業のひとつだが、今年は包装機などのマシン系に人が集まっていると語っていた。

中国製品との「価格の壁」

 フジキカイは自動包装機メーカー。当地のキョウワベトナムがベトナムでの正規代理店となり、2社でタッグを組んで連続出展している。出展したのはパン、和洋菓子、冷菓などを包装する最新型の大型包装機で、肉まんやどら焼きの包装を実演していた。包装の対象は9割が食品だという。
 当初は日本の顧客企業からベトナム支社を紹介してもらって商談していたが、今後はローカルに注力。価格の安い中国製包装機を使う企業が多いが、クオリティが低いため、難しいものの勝機はあると見ている。
「日系のスーパーやコンビニでは、包装がしっかりしていないと納品を断られます。すぐに破けたり、内容物が出てしまうからで、その意味ではチャンスはあると思います」
 同社製品の10分の1程度の価格で販売する中国企業もあるが、2~3年で故障することも多い。しかし、数年で元が取れれば良い価格と考える企業もあって、「価格の壁」を超えるのは難しいという。フラッグシップモデルを展示しているのにも理由がある。
「旧型であっても価格は2~3割下がるくらいで、中国製に比べたら金額はさほど変わりません。それなら最新技術をアピールしたいですから」
 近年では、漏れない、壊れない、スピードが早いなどの品質を理解してくれる企業も増えてきたそうだ。ただ、中国製はパーツを省いた結果サイズが小さくなった機械が多く、『御社の製品に変えたいが場所が取れない』といった笑い話のような事例もあるとか。このような価格力を武器にした中国製品に悩まされている日系・日本の機械メーカーは多く、程度の差はあれ取材時に口に上がった。
 食の安全やモノの品質にこだわるベトナム人が増える中、パッケージに集まる視線もますます強くなりそうだ。