COVID-19感染者(F0)の隔離に関する保健省のガイドラインは、”F0は家から出てはいけない”という部分について現実に即しておらずわかりにくいとの指摘が出ている。
3月14日の朝、保健省はCOVID-19感染者の自宅隔離に関するガイドラインである決定604号を発行した。その中で、「COVID-19感染者は隔離場所からの外出が制限される。隔離場所から離れる場合は、マスクを着用し、他の人との距離を確保しなければならない。」と記載されていた。
同日の夕方になって、保健省は、この規定について「COVID-19感染者は隔離部屋から離れることが最大限制限され、家から出ることはできない。隔離部屋から出る場合は、マスクを必ず着用し、家の中の人と距離を確保しなければならない。」という意味だと釈明した。
決定604号では、保健省が隔離場所とは、部屋なのか家なのかといったことを具体的に説明していなかったため、釈明が必要になった。この決定の4.3条では、隔離について、個別の隔離スペースを作るとしか記載されていない。隔離場所は換気を良くし、セントラル空調を使用せず、常に窓を開けておかなければならないとされている。決定604号は、2022年1月31日に発行されたCOVID-19感染者の自宅隔離ガイドラインに関する決定261号に代わるものとされていたため、市民や医療関係者には混乱が生じた。
多くの医療関係者とCOVID-19感染対策機関は、市民への説明のために古い決定261号と自宅隔離に関するその他の法令文書を参照して、市民に説明しなければならなかった。それによると、COVID-19感染者は、一軒家やマンションなどの独立した住居が必要とされている。家の中には、密閉された隔離部屋があり、家族の生活エリアとは隔絶されている必要がある。
自宅療養のF0は、7日後に簡易検査が陰性であれば隔離を終了する。もし陽性だった場合は、ワクチンを2回接種済みの人は10日目まで、ワクチンを接種していない人は14日目まで隔離を継続する。
決定604号は、分かり難いだけでなく、その後の保健省による「F0は家から出られない」という説明は、もはや現実に即していない。チャン・シー・トゥアン医師は、過去1週間でベトナム国内は平均1日16万人以上の新規感染者を記録していると分析する。また、多くの場合、人々は症状があれば自分で検査をおこない医療機関に報告することなく自宅療養しているため、実際の感染者数はさらに多いと推測される。多くの地方自治体では、F0が医療ステーションへ連絡が取れないという状況が続いている。
このような状況下で多くの家庭では、家族全員がF0となっており、COVID-19感染対策機関では、全ての家庭の必需品ニーズを満たすことができていない。そのため、実際には隔離規定に違反して罰せられる可能性があるにもかかわらず、多くのF0が外出して、薬や生活用品を購入せざるを得ない状況だ。そのため、トゥアン医師は、ベトナム国内に感染者が多数存在し、12歳以上の市民の殆どがワクチン接種を完了している状況では、F0の外出を禁止することは現実的ではないと指摘する。また、この規定は、保健省が3月上旬に提案したF0とF1を出勤させるという内容と矛盾している。
上記の規定が出された根本的な原因は、COVID-19が感染症グループA(感染力が強く広範囲に広がり、高い死亡率を示す特に危険な感染症)に指定されているからである。そのために、F0とF1の隔離規定は緩和することが出来ないでいる。
この状況を改善するため、トゥアン医師は、当局が早期にCOVID-19を通常の感染症とみなし、感染者や感染の疑いがある人々の対処方法をよりオープンなものにすることを検討する必要があると指摘する。「F0の外出を禁止するのではなく、保健省は、マスクの着用、殺菌・消毒などF0が個人や地域の安全を確保したうえで外出できるガイドラインを作成すべきです。」とトゥアン医師は見解を述べた。
出典:16/03/2022 VNEXPRESS
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