ハノイの保健局長は、市民に対して、日々の感染者数が急増したとしてもパニックを起こさないようにとアドバイスする。その一方で、コロナに慣れ過ぎず”誰もがF0になる可能性がある”という心構え必要だとも述べた。
2月28日にインタビューに答えて、ハノイ保健局のチャン・ティ・ニー・ハー局長は、現在のハノイ市の感染状況における対策について次のように語った。
– この1ヶ月でハノイの感染者数が急増し収まる気配がありません。ハー局長はこの状況をどのように評価していますか?
– 現在、ハノイ市内では毎日平均1万人の新規感染者が確認されており、今後も増加傾向は続くと予測しています。このような感染状況は、ハノイ市が社会経済活動を再開させ、テト後に学校の対面授業を再開させた以上、避けられない結果です。ハノイと他の地域との交流や移動も感染者増加の一因になっていると思われます。
COVID-19感染者のゲノム解析を実施したところ、保健局はオミクロン株を確認しました。オミクロン株は、デルタ株に比べて感染力が非常に強いことが知られています。以前にデルタ株に感染した人でも、オミクロン株に再感染する可能性は排除できません。
私の考えでは、現在の段階では新規感染者数に着目するのではなく、入院患者、重症患者、死亡者の割合と医療提供体制によってリスクレベルを評価すべきです。
– 重症者と死者の増加を抑えるために、ハノイはどのような対策を実施しますか?
– 重要なのは様々なレベルの患者へ適切な医療を提供することです。もし、医療提供体制を正しく評価できていなければ、医療システムに過剰な負荷がかかり、医療崩壊が起きる可能性があります。
現在、ハノイのF0の96%が自宅療養であり、治療レベル2と3に該当する患者は4%しかいません。しかし、感染者数自体が増加すれば治療に必要な病床もそれに応じて増加します。私たちは、高齢者、基礎疾患のある人、高血圧症、慢性腎不全、人工透析、免疫不全、癌患者など感染リスクの高いグループのリストを作成し、厳格に管理しています。
このリストに基づいて、保健局は3回目のワクチン接種の優先順位を設定しています。このグループは、感染を早期に発見して重症化を予防するために、定期的にスクリーニング検査を受けることも必要です。
治療レベル1の患者の重症化を防ぐために適切に管理をおこない、重症化の兆候が見られた場合は、すぐに治療レベル2と3の病床へ搬送することが、病院の負荷を抑え死者数を減少させるのに最も効果的な対策です。
– 現在のような感染者の増加率が続けば、医療崩壊を引き起こす可能性があると思いますか?
– 以前に比べれば重症患者の割合は減少していますが、現在のように毎日1万人の感染者が確認され、さらに今後感染者が増加すれば、重症患者もすぐに増加するでしょう。ハノイ市では、市内の病院以外に中央省庁直轄の医療施設も動員しています。これまでにハノイ市は治療レベル2と3の病床を2180床準備していますが、現在使用されているのは1000床のみです。
医療負荷を軽減するために、患者の治療段階に応じて適切な一般病棟への移送も実施しています。例えば、治療レベル2と3の病床の患者が保健省の定める10日間の規定より前に症状が回復した場合、医療スタッフは、無理やり10日間入院させず、患者の帰宅と自宅療養を認めています。これは、新たな感染者の病床確保につながり、医療スタッフの負荷も軽減させることになります。
COVID-19患者の収容能力に関する試算によると、ハノイ保健局はまだ、市内の病床がひっ迫しているとは考えていません。もし感染者数が現在の2倍になったとしても、ハノイの医療体制は、基本的に対応できると考えています。
– 自宅療養中の感染者は、自宅療養の方法に関する様々な異なる情報によって混乱しています。自宅療養患者へのアドバイスがありますか?
– 自宅療養患者が96%を占めているため、自宅療養をおこなっている人々への情報提供は非常に重要だと考えます。
陽性が確認された場合、市民は医師や医療スタッフの指示を遵守する必要があります。医師の指導に従って抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬などを服用してください。また、適切な環境を維持し、適度な運動をおこない、十分な食事と睡眠をとるようにしてください。
もし、体に異常があれば最寄りの医療機関に連絡して、診察、治療を受けてください。ほとんどの市民が2回から3回のワクチン接種を終えていますので、平静を保ってください。通常の場合は、感染者には軽い症状が出て7~10日後には治癒します。あまりにもCOVID-19を恐れすぎてはいけませんが、”誰もがF0”という考え方で油断せずに5Kルールを守ってください。不要不急の集会や交流を避けることが、自分自身と家族を守る最善の方法です。
– 多くの市民が陽性になった後、地域の医療ステーションに連絡することができなかったとクレームしています。これに対して保健局はどのように対応していますか?
– nCovに感染した人々は、殆どが軽症か無症状ですが、いざ感染すれば不安に感じることは理解しています。自宅療養中の感染者も医療機関の助けと励ましが必要です。しかし、現在の様に感染者が多い場合、医療関係者だけでは、全ての自宅療養中の患者の診察や治療に対応することはできません。保健局は、各自治体、ボランティア、非医療従事者などあらゆる機関の支援を必要としています。
市民は、医療従事者以外にもCOVID-19コミュニティ、青年団、婦人会、地域のホットラインなどにサポートを依頼することができます。
保健局では、各区と県に対して特に重症患者を迅速に支援するために、医療機関に対して人材を派遣するなど協力するよう求めています。
– 最近、簡易検査キットが手に入りにくくなていますが、どう考えていますか?
– 現在のような感染者の急増状態では、簡易検査キットの需要も増加し、膨大な量の簡易検査キットの供給が求められています。現在の簡易検査キットの不足は、一部には不必要な検査による濫用が原因になっていると考えています。
現在、一部の人が定期的な検査のために大量の検査キットを所有しており、中には1日に3回も検査をおこなって、ラインが出ていないか確認する人もいます。または、F0という検査結果に焦って、何度も繰り返し検査をする人もいます。
このような検査は不要で、資源の無駄遣いとして簡易検査キットの品不足を生み出し、出所が不明で品質の悪い検査キットが市場に出回る原因となり、状況をより複雑にします。
保健局では、健康な人については感染が疑われる症状が出た場合か、
医療関係者の指示を受けた場合のみ検査することを推奨しています。一方で、高齢者や基礎疾患のある人については、早期に感染を発見し治療を受けるため、2,3日に1回の定期検査をお勧めします。
出典:28/02/2022 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作