ハノイ市のドンダー区とハイバーチュン区は、感染レベルの変更を受けて、区内の不要不急の活動を停止した。その後市内の他の7つの区と県にある14街区も新規感染者数の増加を受けて同様の措置を適用することになった。
12月13日から20日までにハノイ市は1万1206人の新規感染者を記録し、1日平均が1400人を超えて、先週の1日平均(758人)から倍近く増加した。12月20日単独では、ハノイ市は過去最多の1641人の新規感染者を確認している。
最近のハノイ市では市中感染も増加しており、1日平均500人近くとなっている。
感染者数の増加によって、ドンダー区とハイバーチュン区は感染リスク高となるオレンジゾーンに感染レベルが変更され、不要不急の活動を停止した。また、市内の7つの区と県にある14か所の街区も同様の措置を実施することになった。
タイホー区のイェンフー通りは、通常であれば大小合わせて100軒以上の飲食店が営業しているが、12月19日の昼からイエンフー街区人民委員会が感染レベルがイエローからオレンジに変更されたことを受けて、飲食店にデリバリー販売のみの営業を要請したため、この通りからは人通りが絶えた。多くの飲食店の店先には店内飲食サービスを停止するという張り紙が出されていた。
イエンフー通りでブン(米麺)の店を経営するグエン・ミン・トゥエットさんは、客足の途絶えた店内で携帯電話で注文状況を見ながら話をしてくれた。トゥエットさんによるとこの店では、通常1日100杯以上のブンを販売しているが、最近は半分以下に減った。トゥエットさんを含めてこの通りの多くの飲食店は、今や売上の大部分を配達アプリの注文に依存している状態だ。
タイホ―区は感染レベル2(感染リスク中、イエローゾーン)とされているが、区内のイェンフー街区とクアンアン街区の2か所のみが感染レベル3(感染リスク高、オレンジゾーン)とされており、より高いレベルの感染防止対策が適用され、文化、スポーツ、娯楽などの不要不急のイベントが停止され、飲食店はデリバリー販売のみが認められることになった。
ホアンマイ区のヴィンフン街区とタインチ街区も感染レベルが3となったために不要不急の活動停止が要請された。しかし、イエンフー通りの飲食店の冷え込んだ雰囲気とは違い、ヴィンフン街区タンカイ通りの飲食店は、デリバリー販売が繁盛している様子だった。この通りで飲食店を営むチューン・バン・クイさんは「経営への影響は限定的で、売り上げは依然とそんなに変わっていません。」と話す。
保健省のガイドラインによると、感染レベルは、1週間平均の10万人あたりの新規感染者数、ワクチン接種率、病院の収容、治療能力という3つの指標によって評価される。
現在、ハノイにおける18歳以上の1回目のワクチン接種率は96.1%に達しており、50歳以上の2回目のワクチン接種率も94.54%で、保健省の求める基準値(70%と80%)を大幅に超えている。
ハノイ市は、患者の収容、治療施設を設置し、民間病院を含めた各病院でのICU病床数が感染レベル4に対応できる計画を準備している。各区と県は、地域内のCOVID-19患者を診察・治療できるように移動式医療ステーションを設置し、感染が拡大した場合でも各医療ステーションに十分な医療用酸素を提供できる計画を準備している。
そのため、現在のハノイ市の感染レベルの評価は1000人あたりの新規市中感染者数(50から150未満がレベル3、150以上がレベル4)によってのみ評価されている。
感染レベル3のドンダー区とハイバーチュン区は、過去14日間平均の1000人あたりの新規感染者数が228人と179人となっている。一方で、ホアンマイ区は、感染者数自体はハイバーチュン区よりも多いが、区の人口が多いので感染レベルは2とされている。ホアンマイ区の人口は53万人以上で、市内の他の殆どの区と比べても2倍近い人口を有している。
最近の統計によれば、ナムトゥーリエム区、タインチ県、バーディン区など多くの区と県で新規感染者数が増加している。もしこれらの地域でこのまま新規感染者数が増加し続ければ、望ましいことではないが感染レベルが3に引き上げられる可能性が高くなる。規定によれば、感染レベルが3となった地域は不要不急の活動を停止しなければならない。
専門家の観点から、ハノイ感染管理学会のグエン・ビエット・フン副会長は、「現在の感染状況では、一部の区や県の不要不急のサービスを停止させることにはあまり意味がありません。」と指摘する。
フン副会長によれば、ハノイ市の新規感染者数の増加は”以前から予測されていた”事態だ。そのためハノイ市は、1日の新規感染者数を”無症状または軽症の患者数”、”入院が必要な患者数””死亡者数”に分けて考える必要がある。もし重症者が少ないのであれば、F0が増加したとしてもそれほど心配する必要はない。
「もし感染者数が増え続けると、ハノイ市内の中心部で不要不急のサービス活動が停止されることになり、社会経済活動が損失を受け、市民の生活に多大な影響を与えることになります。」とフン副会長は話し、新規感染者数の増加による地域の感染レベルの変更は、市民への注意喚起と5Kルールの徹底のみを目的とすべきだと提案する。
チャン・シー・トゥアン医師もこの意見に同意して、ハノイ市は貿易、ビジネス、商業、移動の中心地であり、現在のような局所的な社会隔離措置の適用にはあまり意味がないと指摘する。トゥアン医師の分析では、例えばドンダー区やハイバーチュン区がサービス活動を制限しても、その地域の住民は他の区へ移動してサービスを利用するだけのことになる。一方で、他の地域の多くの住民も仕事や移動のために、毎日この2つの区を訪れている。
「現状の様なサービス活動の制限措置の適用を続けるなら、今後感染者数が増加し続ければ、活動制限措置が長期化します。市民や企業はいつになれば活動が再開できるか分からず、しかもこのような措置による感染防止効果はそれほど明確ではありません。」とトゥアン医師は指摘する。
出典:21/12/2021 VNEXPRESS
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