クアンナム省タンヴィン村に住むグエン・ティ・キム・チュエンさん(51歳)は、午後一杯を費やしてようやく台風被害への義援金として2000VND(約10円)を受け取った。
11月25日にチュエンさんは地元の役場から2020年の2回の台風被害に対する義援金の受け取りのために、家から2㎞程離れた文化会館へ来るようにとの招待状を受け取った。チュエンさんは14時に文化会館に到着し、書類を提出して義援金の受け取りの列に並んだが、17時になっても順番が回ってこなかったので、知り合いに代わりに受け取ってもらうように頼んだ。
その日の夜、代わりに義援金を受け取ってくれた友人が2000VNDを渡しに来た。「とても驚いたわよ。2000VNDを受け取るために午後の間中待っていたんだもの。最初から金額を教えてくれていれば、わざわざ受け取りにいかなかったと思うわ。」とチュエンさんは話し、この金額では、往復4㎞のガソリンとわざわざ買った感染防止用のマスクの代金にも足りないとこぼした。
タンヴィン村のフイン・ティ・トゥー・ヴァン副村長の説明によると、規定では1ヘクタールのバナナ農園が70%以上の損害を受けると400万VND(約2万円)の義援金を受け取れるが、チュエンさんのバナナ農園は10㎡が70%以上の損害を受けたので義援金は計算上4000VND(約20円)になる。しかし、県が支払うのはそのうちの53%の2150VNDなので、チュエンさんには2000VNDが渡された。
チャンヴィン村では、2020年の2回の台風によって588世帯の農家が作物の被害を受け、総額10億VND以上の義援金が支払われることになった。1世帯あたりの受取額の最高は4700万VNDだった。一方で31世帯の受取額が1万VND以下で、チュエンさんはその中でも最も低い受取額であった。義援金の支払いの前に自治体は、受取れる義援金の額をリストにして公表していた。
ヴァン副村長は、今回のケースについて村の対応はルールに基づいた正しいものであったが、今後は今回の経験を生かして改善していきたいと説明した。現在、チャンヴィン村では、2つの地域にしか義援金の支払いが実施されておらず、村では残りの地域への義援金の支払いの際には、招待状に受け取れる金額を記載するとしている。もし、金額が少なく受け取りを辞退する場合、村が国庫への返還手続きを手配する。
2020年には14の台風と熱帯低気圧が南シナ海で発生しており、この中にはリンファ、モラーヴなどベトナム中部を襲った大型の台風も含まれている。特に10月11日のリンファでは、洪水や地滑りによって1400ヘクタール以上の水田と7800ヘクタールの畑が被害を受け、12万件の家屋が浸水し、130人が亡くなり20人が行方不明になるという甚大な被害がもたらされた。
出典:26/11/2021 VNEXPRESS
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