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ベトナム法律事情Vol.33
会社の秘密を守れ!
ベトナムにおける秘密管理

―― この前、同僚のFacebookを見ていたら、写真に工場内の機械やシフト表が写り込んでいたんです。本人に、社内の様子が写っちゃってるから削除した方がいいよと注意したんですが、何が悪いのか良くわかっていないようでした。

鷹野 ベトナムでは、ZaloなどSNSのプライベートアカウントをビジネスで使っている人も多いので、その辺りの意識は希薄なのかもしれませんね。

―― それ自体はもう当たり前になっているのかなと思いますが、セキュリティとか気になりますね。

鷹野 従業員による秘密漏洩に困っている日系企業は多いです。顧客リストを転職先で使うなど故意によるケースもあれば、外部とのZoom会議で別件のメールが映り込んでしまったような悪気のないケースもよく聞きます。ベトナムでも、営業秘密は法令で保護されており、これを漏洩する行為は懲戒解雇の対象になり、損害賠償を求められるリスクもあるのですが、重要性をあまりわかってない人が多い印象を受けます。

―― 秘密漏洩を防ぐためには、どんな対策が考えられるでしょうか。

鷹野 従業員と秘密保持契約書を締結するのはよく取られる方法ですね。入社時だけでなく退職時にも締結して、秘密情報を含む書類等をすべて返還または破棄させることが考えられます。あとは、定期的にコンプライアンス研修することも効果的ですね。ベトナムの人は議論好きなので、事例を使って研修をすると、議論が盛り上がりますよ。会社の秘密を守ることの重要性を従業員に認識させていくことがまずは重要だと思います。

鷹野 亨 Toru Takano
長島・大野・常松法律事務所ホーチミン・オフィス弁護士。2012年日本国弁護士登録以降、経済産業省での2年半の勤務を経て、現在は主としてベトナムへの進出及び現地企業への法務アドバイスを行う。