ファン・ミン・チン首相は、メコンデルタ地域の地盤沈下スピードは海面上昇スピードの3~4倍、場所によっては10倍も速く、この地域は沈没の危険性に直面していると指摘した。
「過去50年間にメコンデルタのマングローブ林は、約80%も減少しました。2011年から2016年の間だけを見ても毎年300~500ヘクタールのマングローブ林が消滅し、周辺地域で生活する数千世帯に影響が出ています。」とファン・ミン・チン首相は、8月12日に開催された中央官庁とメコンデルタ地域の13省の指導者とのメコンデルタ地域の地盤沈下、沿岸侵食、浸水に関する会議において述べた。
チン首相によればメコンデルタは、ベトナムにとって非常に重要な地域であるが、気候変動、海面上昇、メコン川上流水域国の水利開発による水不足など多くの課題に直面しており、特に急激な地盤沈下は大きな問題とされている。多くの堤防や沿岸道路は、以前は十分な高さで設計されていたが、最近では満潮時に浸水している。
このような状況を受けて、チン首相はメコンデルタ地域の各自治体に対して地盤沈下が顕著で国民の生命と財産に影響を与える地域を調査し、具体的な対応策を検討するよう指示した。同時にメコンデルタ地域の13省に対して、資金のバランスを取りながら直ちに実行する必要のあるプロジェクトを提案するように求めた。チン首相はさらに、計画投資省に対して財務省と連携して、この地域に必要な支援資金を配分するように指示した。
チン首相はまた関連機関に対して適切かつ効率的な対策を講じるために地盤沈下の原因を究明し、長期的な視野に立って計画を立案するように求めた。特に農業・農村開発省、科学技術省および、資源環境省に対して、沿岸の浸食、海面の上昇、マングローブの衰退に関する具体的な原因の究明を指示した。
これに先立ちチン首相と政府代表団は、ヘリコプターやモーターボートを使ってメコンデルタ地域のカマウ省、キエンザン省、アンザン省、ドンタップ省などの地盤沈下被害現場を現地調査した。
各自治体の報告によれば、メコンデルタ地域では2016年から現在までに779ヶ所で沿岸浸食が発生し、全長は1134㎞に達している。このうちメコン川流域が666ヶ所で774㎞、海岸沿いが113ヶ所で360㎞となっている。
農業・農村開発省によれば川岸の浸食は湾曲した川の曲がり角、中州、人口密集地などで頻繁に発生している。この現象は年々その範囲と規模が拡大傾向にある。また、アンザン省、ドンタップ省、ヴィンロン省などの上流域の方がチャビン省、ベンチェ省、ソクチャン省などの下流域よりも深刻な被害が多く発生している。
海岸の浸食状況については、2020年と2022年の調査データによればベンチェ省バーチー県の海岸線は、年間30mのペースで浸食がすすんでいる。またソクチャン省のヴィンチャウ村でも、年間35mのペースで浸食がすすんでいる。さらに懸念されるのがカマウ省の海岸線で、この地域は年間70~90mという非常に速いペースで浸食がすすんでいる。
出典:13/08/2023 VNEXPRESS
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