VinaCapitalのチーフエコノミストは、輸出の回復が進めばベトナムのGDP成長率は2023年の約5%から2024年には6.5%まで上昇すると分析している。
VinaCapitalのチーフエコノミストであるマイケル・コカラリ氏は、ベトナムの輸出状況について、輸出量の減少は最近になって底を打ち、今年の年末以降は輸出状況が改善する可能性があるとの分析結果をレポートに記載している。
マイケル・コカラリ氏によれば、今年のベトナム経済の成長の足かせになっている要因の一つは”メイド・イン・ベトナム”製品の需要減少にある。ベトナムの輸出業界は、過去10年で最も長い受注減少期間を経験し、今年1月から7月までに約10%減少した。しかし、アメリカの小売業者の在庫が底を打ち、多国籍企業が生産拠点を中国からベトナムへ移転する動きが加速したことで、第4四半期以降ベトナムの輸出が回復する兆しが見えつつある。
「来年にはベトナムの製造業と輸出活動が完全に回復して8~9%の成長を遂げ、GDP成長率は2023年の約5%から2024年には6.5%まで上昇すると期待される」とVinaCapitalのレポートには記載されている。
同時に、これによって近い将来VNインデックス上場企業の売上が拡大し、2023年の6%から2024年には20%以上に増加する可能性があると同レポートは指摘している。
マイケル・コカラリ氏によれば、アメリカはベトナムにとって最大の輸出先であり、輸出全体の約1/4を占めている。アメリカの小売業者や消費財企業はコロナ後の経済回復を見越して昨年大量のベトナム製品を発注したが、経済回復は思ったように進まなかった。
アメリカ人はより多くの消費財を購入するのではなく、旅行や飲食などのサービスへの支出を優先した。それにより、ウォルマート、ターゲット、ナイキなどの在庫は2022年末に前年比で20%以上増加していた。
高すぎる在庫率に対応するため多国籍企業はベトナムの製造工場への発注を削減した。これによってベトナムの輸出量は大幅に減少したが、この動きは終わりに近づいているとみられ、7月のベトナムのアメリカ向けの輸出額は6月から7%近く増加している。
「ベトナムのアメリカ向け輸出は改善しており、6月の前年同期比26%減から7月には同14%減となり、ベトナムの輸出総額の回復に貢献しています」とマイケル・コカラリ氏は述べている。
更にベトナムは多国籍企業の生産拠点の移管による恩恵も受けている。アジアの全ての輸出業者がアメリカの在庫サイクルの底打ちによって大なり小なりの恩恵を受けるが、多国籍企業の製造拠点移管によって大きな恩恵を受けているのはアジアでベトナムだけである。
さらに、新世代スマートフォンの製品発表がベトナムの輸出と製造に大きな影響を与える可能性がある。サムスンは、今年の第2四半期にスマートフォンの売上が12%減少したが、新機種の発売開始により、下半期には回復すると予測している。アップルとグーグルも重要な新製品の発表を計画している。これらの新機種の多くはベトナムでは製造されないが、これらの新機種に使用される部品の多くはFoxconn、Luxshare、Goertekをはじめとしたサプライヤーによってベトナムで製造されている。
VinaCapitalがベトナムの輸出が回復すると考えるもう一つの理由がベトナムの外資企業の回復だ。ベトナムの各外資企業は、クリスマスシーズンに向けて生産活動を強化する準備を整えつつあるとみられている。その証拠にS&Pグローバルによれば、各企業の原材料在庫が2022年の年末以降では初めて増加し、7月のベトナムの輸出入額はどちらも前月から2%増加している。
ベトナムの輸出製品の受注が改善したことと7月の鉱工業生産が前月比4%増加したことによって、ベトナムのPMIは6月の46.2ポイントから7月には48.7ポイントに改善した。
「今年の年末に向けて輸出製品の受注が回復するとの見込みから各企業は製造用の原材料の輸入を増やし始めたとみています」とVinaCapitalのチーフエコノミストは話す。
出典:03/09/2023 VNEXPRESS
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