一部の企業や省庁は反対しているが、財務省は電子タバコと関連製品へ50%の輸入税を課したい考えだ。
輸出入特恵関税に関する議定草案の意見聴取に対して保健省は、電子タバコとその関連商品並びに加熱式タバコに関して、そもそも使用を禁止すべきとの立場から、輸出入特恵関税対象品目リストに記載しないよう求めた。
保健省は、健康、社会、環境、未成年を含めた喫煙者への悪影響を考慮して、ベトナム政府に国内での電子タバコと加熱式タバコの使用禁止を繰り返し提案してきたと述べている。
現在、電子タバコと加熱式タバコの機器、部品、リキッドなどはベトナムでの輸入、販売、製造が正式には認可されていない。そのため、保健省は、この商品の概念が明確に規定されておらず税率の導入には法定根拠がないとして反対している。
公安省も同様に、現在これらの品目に関しては輸入政策が存在しないため税率の規定は不適切との見解を示している。
企業側からはJTグループに属し、海外でのタバコ販売を展開するJTIは、50%の税率適用には反対の立場を示し、現行の0%税率を維持するように推奨している。電子タバコや加熱式タバコは従来のタバコに比べて健康被害が軽減できる可能性があるというのがその理由だ。
同じくタバコ販売を手掛けるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(シンガポール)も50%の税率は国際慣行と一致しておらず、高い税率は電子タバコ機器の密輸に繋がると指摘している。この企業は財務省に対して、この商品に対する国の方針が決まるまでは高税率を課すべきではないと述べている。
これらの意見に対して財務省は、電子タバコなどの新型タバコに対する課税は必要かつ適切であり、政府メンバーの同意を得ていると述べた。さらに同省は、この商品の市場での流通及び、輸出入を認めるか否かは、専門の管理法令に従うとしている。ベトナムの輸出入品目リストにコードが記載されている商品は、流通が許可された場合に適用されるための税率を定めておく必要がある。
商工省は、財務省に対して電子タバコに使用される機器は電子設備に関する現行の管理規定に基づいて管理されると通知した。しかし、WTO加盟時の誓約によれば電子設備の税率は5%とされている。そのため、財務省はベトナムのWTO加盟時の誓約を遵守するために、規定を見直す必要がある。もし、現行の議定草案の50%の規定を維持した場合、商工省は財務省に対して他国が協議を求めてきた場合の反論根拠を準備しておくように要請している。
これに対して財務省は、電子タバコ製品(機器とカートリッジなど)は、WTO加盟時には存在しなかった新しい商品であると反論している。なお、ベトナムのWTO加盟時の誓約を遵守し、WTO加盟国の製品に対して輸入税を適用するとしたMFN税率に関する2023年の議定26号を立案した際に政府は、電子タバコに対するMFN税率を50%にすることで合意している。これは、従来のタバコと同様の管理規定を適用し、電子タバコの流通時の悪影響を最小限に抑えることが目的とされている。
なお、財務省によれば、電子タバコはまだ正式に流通が許可されていないため、上記の税率は国家予算、企業の事業活動、国民生活に直ちに影響は与えず、WTO加盟時の誓約にも影響を与えない。
電子タバコは、内容物(ニコチンまたはタバコの代替品)と燃焼させて煙を出す装置の2つの主要部分で構成されている。現在、市場には内容物と装置が一体となった種類と内容物と装置が別々に分かれている種類の2種類の電子タバコが存在する。この場合、最初の種類の電子タバコは全体に50%の税率が課されるが、後の種類の電子タバコの場合は内容物だけに50%の税率が課される。
以前議定草案を立案する際に財務省は、タバコは非常にデリケートな品目であり、特別な管理対象に属しているため、WTO加盟以降、各FTA条約の交渉プロセスにおいてもベトナムは常に最大限の税率を課すという立場をとってきた。そのため、ベトナムは、タバコが人体の健康に影響を与え、制限する必要がある品目であるという考えから、タバコの輸入税率を下げることは考えておらず、もし下げる必要が出た場合でも減税期間を可能な限り短くする方針をとっている。
ベトナムは、喫煙率が世界で最も高い国の1つだ。最近になって電子タバコや加熱式タバコなど新型のタバコが登場したことで、国内市場の状況は大きく変化した。ベトナム商工会議所(VCCI)によれば、近年ベトナムで流通している新型タバコは、その殆どが密輸されたものだ。
出典:2024/03/10 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載