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【経済】ベトナムの消費者は節約傾向

(C) VNEXPRESS

収入が減ったダン・ホアンさんは、節約のため今年に入ってから外食、コーヒー、ファッションというお気に入りの3つの支出を減らさざるを得なくなった。

ホーチミン市で広告会社に勤めているダン・ホアンさんは、今年に入ってから以前のようにブランド物の服を買うことを控え、ライブストリーム上のセール品だけを買うようになった。また、コーヒー代も高級チェーン店から中級チェーン店に切り換えることで節約している。

しかし、ダン・ホアンさんが最も切り詰めているのは外食費だ。「収入が減ったこともあって、外食の頻度を減らして自炊しています」とダン・ホアンさんは話す。

ダン・ホアンさんのケースは特別なものではない。市場調査会社のニールセン・アイキュー・ベトナムのレポートによれば、第1四半期に実施した調査では62%が節約のために自炊していると回答し、32%が外食を減らしたと回答している。節約志向の回答は、昨年半ば頃から継続的に増加している。さらに回答者の16%が生活用品の購入を控えるようになったと回答し、50%が贅沢品の購入を減らしたと回答しており、2023年第3四半期と比べて、それぞれ6ポイントと8ポイント増加している。

小売業やサービス業に従事する人々は、この半年間でベトナム人の節約志向が顕著になってきたことを感じている。国内のファッションブランド販売に特化したeコマースプラットフォームを運営するコスモダーンのハン・ソヴィ氏は、昨年中旬以降ベトナム国内の購買力が鈍化していると感じている。

「大手の有名ブランドの商品は依然として売れているが、以前よりもペースはかなり落ちています。新しく設立された小規模ブランドでは、販売を一時的に停止したところも出ています」とハン・ソヴィ氏は話す。

フィットネスジムを運営するPCS社は、2024年上半期の業績に陰りがみられるとしている。「最近は、スポーツやジムなど生活必需品以外のサービスへの支出を控える人が増えています」とPCS社の創業者であるチョン・ニャン氏は話す。

ホーチミン市ビジネス協会(Huba)が今月初めに発表した2024年第2四半期の調査レポートによれば、業績が安定していると回答した企業が57%だったのに対して、売上が減少したと回答した企業は30.4%だった。その主な要因としては、「消費者需要の減少」が最も大きく64%に達した。

購買力の低下によって在庫が34%増加している。「需要の低下と輸入の減少によって、小売はあまり伸びていません。全体的に見れば小売業は、市場の縮小による影響を受けています」とHubaの担当者は、7月1日に開かれたホーチミン市人民員会による上半期社会経済会議で述べている。

同じ会議の席上で、統計局のグエン・カック・ホアン局長は、第2四半期の消費は第1四半期に比べて減速の兆しが見られ、物価上昇要因を除いた2019年以降のホーチミン市の消費は3%しか伸びておらず、コロナ前の半分に過ぎないと指摘した。

ベトナムで活動する外資系企業も慎重な姿勢を示す。ベトナムのヨーロッパ商工会議所(EuroCham)による景況感指数は、第1四半期の52.8ポイントから第2四半期には51.3ポイントと若干低下している。「支出水準と経営活動は前向きな兆候を示しているが、業界によってばらつきがある」とEuroChamのレポートには記載されている。

統計総局によれば、2024年上半期の小売総売上高と消費者サービス売上は、インフレ要因を差し引いても5.7%上昇している。しかし、成長のスピードは、2023年上半期の8.8%と比べて鈍化している。

SSI証券は、小売売上高のデータは、4月30日の連休中の消費がそれほど大きくないことを示していると指摘する。一方で第2四半期の労働年齢の不完全雇用率と若年層の失業率がともに増加している。これらのデータは、世帯収入に影響を与えている可能性がある。

ベトナムの消費は下半期に改善すると予測されているが、企業は需要に適応して刺激しなければならない。PCSのチョン・ニャン社長は、年末には状況は好転しているものの、それほど大きなものにはならないとの見通しを示す。ニャン社長は、顧客を惹きつけ維持するためにはサービスの質とスタッフの専門性の向上に重点を置くべきだと考えている。

ハン・ソヴィ氏によれば、コスモダーンを利用しているブランドの商品価格帯は、100万VND前後が一般的だった。「一部のブランドは、プロモーションやオフライン販売と組み合わせて、より手頃な価格でコレクションを販売することを計画しています」とハン・ソヴィ氏は話す。

一方で、ニールセン・アイキュー・ベトナムで小売測定サービスの市場開発を担当しているシニアマネージャーのグエン・カオ・ゴック・ズン氏は、小売業者に対して販売場所、商品、価格、展示方法、プロモーションという5つのポイントに注意するようアドバイスする。

同社の調査によれば、ベトナムの消費者は、新しいブランドや製品の登場には慣れてきており、以前ほど新しいものに熱狂することが無くなってきている。一方で、ベトナムの消費者は、価格帯、特にいつも買っている商品の価格変動に敏感になっている。さらに、消費者はコンビニやミニスーパーでの支出を増加させる傾向にある。

地元の消費者の購買力に加えて、観光業の回復による購買力の回復も活用すべきチャンネルだ。統計総局によれば、2024年上半期のベトナムへの海外からの旅行者数は、880万人を突破しており、昨年同期から58.4%も増加し、コロナ前よりも4%以上増えている。

Klook Vietnamのサービス予約プラットフォームでは、上半期のベトナムに来る外国人旅行者の事前予約が、昨年に比べて1.7倍に増加している。このチャンスをとらえて、Klook Vietnamのグエン・フイ・ホアン社長は、10か所以上の観光スポットへの1000件のプロモーションを実施し、夏休み需要を刺激することにした。さらに同社では、カード会社、銀行、電子決済アプリ企業と連携して、週末の割引キャンペーンも実施する。

統計局のグエン・カック・ホアン局長は、消費を刺激したいのであれば「市民には収入が必要であり、旅行者にはお金を使う場所が必要です」と話す。そのため、これまでのプロモーション活動よりもさらに優れたソリューションが必要とされる。

今月初めの会議でホーチミン市人民委員会のファン・バン・マイ主席は、各行政機関が公共投資の支出を増やし、経済全般を促進させるために企業の課題を解決することに加え、観光局が外国人旅行者をホーチミン市に足止めさせる方策を検討するよう指示した。これは、ホーチミン市が旅行の効果を旅行者の訪問人数ではなく、宿泊日数と消費額で評価していることを表している。「ベトナムを訪れる旅行者は12~15日のスケジュールのうち平均3日間をホーチミン市で過ごしているが、これをどうにかして5日に伸ばしたい」とマイ主席は述べている。

出典:2024/07/17 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載