ベトナムと米国が国交を正常化してから30年。両国関係の変遷について、元ベトナム共産党中央対外委員会西欧・北米局長ブイ・テー・ザン氏は、「米越関係は、特定分野では浮き沈みがあるにせよ、全体としては発展傾向にある」と分析する。
同氏は、1973年のパリ協定締結直後にベトナムが一方的に米軍兵士の行方不明者(MIA)捜索を始めた事実を引き合いに出し、「人道的配慮であると同時に、米国との国交正常化への積極的な布石だった」と語る。
この取り組みは15年に及び、米国が本格的に協力を始めたのは1988年からだった。ベトナムはこれまでに1,000体を超える米兵の遺骨を米国に引き渡し、米側もベトナム戦争で行方不明となったベトナム兵の情報提供を進めてきた。
このような協力の成果は、2023年に発表された「包括的な戦略的パートナーシップ」への格上げに関する共同声明にも明記され、バイデン大統領は「ベトナムによる協力に深く感謝している」と述べている。
米国に対する視座と外交戦略の再確認
ブイ氏は、「米国との関係において、ベトナムは多くの局面で主導的な役割を果たしてきた」としたうえで、「今後も米国の世界的影響力を冷静かつ長期的視点で捉えることが重要だ」と強調した。
「国内外における米政権の一時的な変化や困難な状況に引きずられることなく、米国の本質的な役割を見誤ってはならない」とブイ氏は語る。
同氏はまた、政府レベルだけでなく、非政府セクター(研究者、市民団体、在外ベトナム人など)による人的交流も、両国関係の基盤強化に大きな役割を果たしていると指摘する。今後は両国政府の高官同士の接触に加え、多層的な交流促進が必要だとブイ氏は考えている。
関係深化の鍵は「大局観」と「継続的な交流」
ブイ氏は、「包括的な国際統合という全体像の中で米国との関係を位置づけることが重要」として、2025年1月の国際統合を『新時代における突破口』と定義した政治局決議第59号を引用した。
そのうえで、今後も米国を「戦略的に重要なパートナー」と明確に位置づけることで、両国が実質的かつ安定的な関係を築き、アジア太平洋地域および世界の平和と発展に寄与することが可能になると強調した。
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