夏の旅行が一転して悲劇に
2025年7月19日午後、クアンニン省ハロン湾で観光船「ビン・サン58号」が突如発生した突風により転覆し、乗員乗客49人が海に投げ出される大惨事となった。うち10人は救助されたが、35人の遺体が収容され、なお4人が行方不明のままである。被害者の中には夏休みの家族旅行中だった子どもも含まれており、複数の家族が一度に命を失う悲劇となった。
転覆は一瞬の出来事だった
事故発生時、ハノイ市在住のダン・アイン・トゥアンさん(36歳)は友人とともに観光船に乗船していた。船が出航して約4kmほど沖合のダウゴー洞窟付近に差しかかったところで、突然空が暗転し、突風と大雨に襲われた。この突風で船体は大きく揺れ、わずか数秒のうちに転覆したという。
船室では乗客たちがパニックとなり、救命胴衣を探しながら混乱する様子が見られた。トゥアン氏は「船が傾いたとき、水が室内に入り始めていた。呼吸を整え、光の差す方向へと潜って脱出した」と語る。彼は脱出後、船の底部にしがみつき、他の乗客を救助しようと試みた。4人を引き上げたが、生存していたのは2人のみであった。その後、疲労困憊となったトゥアン氏は操舵輪にしがみつきながら漂流し、2時間後に救助された。
救助隊の迅速な対応
19日15時15分頃、ハロン国際旅客港の管理部門から、「ビン・サン58号」との連絡が途絶えたとの通報が、ホンガイ出入国検問所のファン・ヴァン・クアン中佐に届いた。ただちにレスキュー計画が展開され、レ・テー・ズン中佐指揮の下、救命ボートと救助装備が手配され、現場へ急行した。
15分後、悪天候の中で現場に到着した救助隊は、海上に露出した船尾部分に3人の生存者を発見。1人は負傷し、1人は衰弱状態にあったが、全員を無事にボートへ引き上げた。残る乗客の捜索も続行されたが、助けを呼ぶ声はすでに聞こえなかったという。
救助作業は時間との戦いであり、隊員たちは限られた時間と悪天候の中で迅速に行動した。ホンガイ出入国検問所の救助ボートは、現場を出発してから30分以内に3人を陸上へ搬送し、即座に医療機関へ引き渡した。その後も捜索は継続され、さらに別の救助隊が3人の生存者を救出している。
悲しみと混乱の中で
救助された一部の乗客は、依然として混乱と恐怖の中にあり、救助隊員の携帯電話を借りて家族へ連絡を取る姿も見られた。乗船していた多くの人々にとって、今回の旅行は人生最悪の記憶となった。
現在、ビン・サン58号は引き揚げられ、事故原因や責任の所在を明らかにするため、当局による調査が進行中である。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN