ブランドや知的財産権は、目に見えないが常に企業の存続を支える重要な資産である。しかし、この無形資産が侵害され、多くの企業が疲弊しているのが実情である。
無形資産侵害への厳正な対応を
9月11日に開催された「イノベーション制度化―無形資産の保護(第68号決議の精神による)」フォーラムで、ビンミン株式会社の代表ボン・ホア・ビエット氏は、ブランドは単なる名称やロゴではなく、消費者との信頼、評価、絆であると強調した。
同氏によれば、ブランド構築は製品一つ一つへの誠意、広範な流通網、社会的責任から成り立つ。しかし、その価値ゆえに模倣や侵害の標的となり、消費者の混乱を招き、企業の正当な利益や信用を侵害している。
「なぜ長い歴史を持ち、合法的に登録された大手ブランドが市場で『盗用』 され、並存できるのか」と同氏は疑問を呈した。
無形資産が守られなければ企業は戦えない
TAT法律事務所の副代表で弁護士のマイ・ティ・タオ氏は、ビンミン社は約50年の歴史を持ち、全国で高い信頼を得てきたブランドであるにもかかわらず、別企業が「ビンミン」に一文字を加えただけで顧客から品質苦情を受け、長期の法廷闘争を余儀なくされたと述べた。
「大手ブランドですら長年にわたり公然と模倣されているのなら、中小企業はどうやって自衛できるのか」と同氏は指摘する。模倣は名称だけでなく、包装や流通網にまで及び、法的救済は遅く、コストが高く、罰則も軽いのが現実だという。
同氏はさらに、警備業界で知られる「ロンハイ・セキュリタス」も自らの名称を取り戻すために数年を費やしたと例を挙げ、「ブランドが守られないままでは、イノベーションを語ることはできない」と訴えた。
その上で、知財専門の裁判所の設置、独立した鑑定制度、実効性ある懲罰的賠償が必要だと強調した。
知財法改正に向けた5つのポイント
同フォーラムで、科学技術省知的財産局のレ・フイ・アイン副局長は、知的財産は単なる法制度の技術的柱ではなく、知識経済・デジタル経済の推進力であると述べた。
アイン氏によると、現在進められている知財法改正には以下の5つのポイントに重点が置かれている。
- 知財の商業化を推進し、世界の特許のうち活用されるのがわずか1割という現状を改善する。
- 行政手続きを簡素化し、デジタル化を加速、処理時間を短縮する。
- 実効的な権利保護を実現し、制裁を強化して執行力を高める。
- 国際的な合意との整合性を確保し、安定した法的枠組みを整える。
- ソフトウェア、AI、データといった新しい課題に対応する。
「知財局は今後も企業と並走し、正当な権利を守りつつ、法律・制度整備を進めていく」とアイン副局長は強調した。
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