個人事業主の転換支援、税務当局が対応策を準備
2026年1月から、ベトナム全国の個人事業主は、これまでの「定額課税方式」から「申告課税方式」へ移行する見通しである。これを前に、税務当局は円滑な移行を支援する取り組みを進めている。
財務省によると、2030年までに200万社、2045年までに300万社の企業を育成し、GDPの60%を民間企業が担うという目標を掲げており、その一環として、個人事業主や小規模企業に対し、会計ソフトやデジタルプラットフォームを無償提供する政策を提案している。
地方行政も周知と支援を強化
ホーチミン市アンドン街区人民委員会のグエン・スアン・タイン副主席によると、同街区には約2,500社の企業と3,600件以上の個人事業主が存在し、その多くが伝統市場(ホアビン市場、アンドン市場)および商業センター「アンドンプラザ」に集中しているという。
同氏は、地元当局と税務機関が連携し、申告制への移行や関連制度の説明を継続的に行っているとしつつも、「高齢の経営者を中心に、新制度やITツールの利用に不安を抱く人も少なくない」と述べた。
事業者からは、「申告制度の概要、旧制度との違い、準備に必要な事項、支援窓口などをまとめたチラシを作成し、全戸に配布してほしい」との要望も出ている。
「費用負担が重い」事業者の不安も
アンドン街区ので商売を営むグエン・ティ・ビック氏は、「新しい制度は透明性と公平性の面で賛成だが、会計ソフトの利用が無料なのか、研修はどのように行われるのか、まだはっきりしない点が多い」と語る。
「私のように月の利益が1,000万ドンに満たない事業者も多い。外部サービスを利用して月に700〜800万ドンを支払うのは現実的でない」とも述べ、価格や支援策の明確化を求めた。
一部の事業者からは、導入初期のトラブルに対する罰則の猶予や、収益規模に応じた支援措置を求める声も上がっている。
税務当局「納税者中心の制度へ」
税務総局のマイ・ソン副局長は、「政策の改正にあたっては、民間経済の発展を支えるため、個人事業主を中心とした税務管理の近代化を進めている」と説明。
また、税務当局が財務省の民間経済局と連携し、制度見直しとともに、デジタル化対応のための簡易会計制度や共通ソフトの開発を進めていると述べた。
さらに、「今回の税制改正は、管理からサービスへの転換を目指すもので、納税者を中心に据えた改革を進める」と強調。年内には新制度の周知と支援体制を全国で強化する予定であるという。
「転換は長期的な利益に」
ベトナム税務顧問協会のグエン・ティ・クック会長は、個人事業主の制度転換は「持続的な民間経済発展に不可欠」と評価する。
同氏によれば、申告制への移行により、事業者は財務管理能力を高め、国内外のサプライチェーンとの連携も可能になる。
また、財務省が無償の会計ソフトを提供することでコスト削減が見込まれるほか、企業化に伴う税制優遇も適用される。
具体的には、企業化から2年間は法人所得税が全額免除され、その後5年間は50%減税となる。
売上規模に応じて法人税率も15〜17%に抑えられており、初期の赤字は5年間にわたり繰越控除が可能であるという。
「事業者が豊かになれば、それが国の豊かさにもつながる」と同氏は述べた。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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