現在、熱帯低気圧から発達する見込みの暴風域の進路が、2006年にホーチミン市と南部を直撃した台風ドリアンと似ているのではないかという疑問が生じている。しかし、当時のような予想外の進路変更が繰り返される可能性は低いと専門家は見ている。
南部へ大きく南下する可能性は低い
南部気象局のレ・ディン・クエット予報課長によれば、現在、北東季節風をもたらす大陸性寒気が南下している。また、赤道付近の低圧帯は北緯4〜7度付近に位置し、上空では中部を軸とする亜熱帯高気圧が安定している。南東部沖では北東風が強く吹いている。
クエット氏によると、形成が予想される台風の強さはレベル9〜10、最大でレベル12の突風を伴う見込みであるが、沿岸に近づくにつれて弱まると見られる。理由として、海面水温が約28℃と高くなく、上層の湿度も低いことを挙げた。
進路については、強い北東風と南中部の低圧帯の影響で、暴風は高緯度へ向かうことも南部・ホーチミン市方面へ深く南下することも難しいとみられている。
日本の最新予測も「南下はしない」と一致
気象専門家のレ・ティ・スアン・ラン氏によれば、日本の最新予測では、暴風は最大レベル10(最大風速レベル12)まで達したのち、沿岸から約100km手前で弱まるとされている。
ラン氏は次のように説明する。
「11月26日時点で暴風が南シナ海に入ったとしても、フィリピン通過直後でまだ冷たい空気の影響を受けません。当面は西〜西北西に進むでしょう。チューンサー諸島北方に差し掛かる頃に寒気の影響を受けて西〜西南西へ向きを変えますが、その時点では寒気が弱いため、2006年の台風ドリアンのように南部へ押し下げられることはないと見ています。米国・日本の予想モデルもいずれも旧フーイエン省からカインホア省方面への上陸を示しています。」
ドリアンの進路変更が再現されにくい理由
日本の予測モデルでは数日前、暴風はコンダオ島の東を通過して、ベトナムには上陸しない可能性を指摘していたが、その後の更新で上陸予測に変わったという。
ラン氏は2006年の台風ドリアンを振り返る。
台風ドリアンはチューンサー、ホアンサー諸島付近でレベル14(最大風速レベル15〜16)と非常に強い勢力に達していた。当初は旧ニントゥアン省〜ビントゥアン省に向かうと予測されていたが、不意に強い寒気が南下したことで、米国の気象予測モデルが「暴風は南方へ押し下げられる」と示し、最終的にその通りにバリア・ブンタウ~メコンデルタへ向かった。
一方、今回形成される台風については、「最新モデルを広範囲に確認しても、台風ドリアンの時のような強い寒気が突発的に南下する可能性は低く、上陸直前には寒気が弱まるため、進路が急に南へ大きく曲がる可能性は小さい」
とラン氏は述べている。
土壌が緩んだ南中部で大雨リスクが高まる
ただしラン氏は、進路よりも「雨量の危険性」を強調する。
南中部地域はすでに豪雨と洪水が2度発生し、地盤が緩み、山岳部では地滑りの危険が高まっている。住民はまだ復旧途中であり、新たな暴風と大雨が加われば被害が拡大する恐れがあると警告している。
また、気象は変動が大きいため、最新の予報をこまめに確認し、備えを怠らないよう呼びかけている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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