ベトナム中部水害の救援物資集積所となっているホーチミン市の現場で、「0VNDのバインカイン」がボランティアたちの心を温めている。
30kmを越えて届いた “思いやりの鍋”
11月24日夕方、ホーチミン市旧タンビン区ホアンビエット通りの救援物資集積所は多くのボランティアでにぎわっていた。
その一角から「バインカイン食べていって!」「少し食べて元気出してね!」と温かな声が響く。
この無料のバインカインを届けたのは、ホーチミン市クチ県在住のトゥイさんである。彼女は30km以上を離れたこの場所までやってきて、300食分のバインカインをボランティアに届けた。
「朝4~5時から家族総出で干しエビ、肉団子、豚ハム、麺を準備しました。できあがったらすぐにここへ運んで、ボランティアの子たちを応援するんです」と語りながら、笑顔で次々と熱々のバインカインをよそっていく。「食べたいだけ取ってね」と声をかける姿が印象的である。
「お金がなくても助け合える」
トゥイさんがここまで足を運ぶ理由はシンプルだ。
「助け合いたいからです。中部は水害で大変。お金がなくても、手間をかけて支えることはできます。若い子たちが頑張っているから、少しでも元気を出してもらいたいだけです」。
彼女の願いはただひとつ。「みんなが美味しく食べてくれたら嬉しい。中部の皆さんが早く困難を乗り越えられますように」。
ボランティアの支えとなる温かい一杯
救援物資を仕分け・梱包する100人以上のボランティアたちは、疲労がにじむ中でも使命感に満ちていた。
旧ビンタイン区出身の21歳、グエン・ゴック・アイン・トゥーさんは、熱々のバインカインを手に「普段の食事と変わらないはずなのに、ここで食べると全然違う。無料で、しかも気持ちのこもった一杯。トゥイさんは売ればお金になるのに、私たちのために時間を使って作ってくれた。尊いです」と目を潤ませる。
ボランティアたちは交代制で参加し、都合がつけば丸一日、時には最終便に間に合わせるため徹夜することもあるという。「疲れるけど嬉しい。物資が早く中部に届くのが励み」と笑顔を見せた。

広がる支援の輪 SNSでも感動の声
思いやりを届けているのはトゥイさんだけではない。
アイン・トゥーさんによれば「いつも誰かがご飯や飲み物を差し入れてくれて、励ましに立ち寄ってくれる人もいる」という。
中でも大きな反響を呼んだのが、ダオさんという年配の女性だ。彼女はこれまでに2度、自ら調理したマカロニとバインカイン約200食を提供している。あるボランティアがその姿を撮影し、「今日も200食を届けてくれました。私たちの頼もしい“後方支援”です」と投稿すると、SNSには温かなコメントが溢れた。
「自分には物を寄付する余裕はない。でも後方から支えるよ」というダオさんの言葉に、「南部の人情は本当に深い」と多くの人が胸を打たれた。
善意で満たされた“小さな温かい場所”
ホーチミン市の忙しない日常の中で、ホアンビエット通りの救援物資拠点は、この数日、小さな “温もりの家” のようになっている。
湯気を立てるバインカイン、温かいヌイ、優しいまなざし、励ましの言葉。
それらすべてが、救援物資がより早く、より多く、最も必要とされる場所へ届くための力となっている。
トゥイさん、ダオさん、そして数百人のボランティアの物語は、どんな状況でも互いに手を差し伸べる——そんなベトナム人の心を改めて思い起こさせるものである。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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