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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第33回
テックベースベトナム

Yahoo! JAPANのための海外開発初拠点として、2015年に設立されたテックベースベトナム。約20のサービスを担当しながら、上流工程にも参加するようになってきた。初代社長の白川健一氏がこれまでの事業を語る。

企画など上流工程へも参加

―― ヤフーで初めての海外開発拠点だそうですね。

白川 はい。簡単に経緯を説明しますと、きっかけは2013年に、Yahoo! JAPANでの「eコマース革命」が始まったことです。Yahoo!ショッピングなどのEC事業を強化することになり、国内外で多くの開発リソース(エンジニアなど)を確保するようになります。

 私は業務委託先を探す中で、当時の上司からベトナムのエボラブルアジアさんを紹介されました。とても優秀な開発集団で、ヤフーのパートナー企業となり、私は2014年1月から出張ベースでベトナムを行き来します。そして半年ほどして、長期的な視野での現地法人を考えるようになりました。

 ベトナム人エンジニアの技術力は若さもあり、総合的には日本人よりも低かったのですが、一方で開発力はメキメキと上がっていました。チームワークが得意で、面倒見の良い優秀な人材も揃っている。日本風のマネジメントを理解してくれそうだとも感じました。

 そこで現法設立を本社に提案し、準備期間を経て、2015年5月にTechbase Vietnamが設立されました。進出の目的は、短期的には人件費を含めたコスト削減もあります。ただ、中長期的には日本で難しくなってきたIT人材の確保と、海外でのマネジメント経験や現地人材との協業経験です。

―― 御社の業務内容を教えてください。

白川 Yahoo!ショッピング、ヤフオク!、Yahoo!不動産、動画サービスのGYAO!など、Yahoo! JAPANのサービスの開発です。Yahoo! JAPANには全部で約100のサービスがあり、社内ツールを含めてそのうち約20のサービスを担当しています。弊社の社員は約160人、約140人がITエンジニアで、数人から10人程度のチームで各サービスを開発しています。

 当初は品質を高めるために、仕様書に沿った正確なプログラミングに集中していました。しかし、3年ほどで開発力やチーム力が高まり、ここ1年半ほどは上流工程に参加するエンジニアも増えました。日本のエンジニアや企画提案者の要望を聞いて、Webサイトの機能を追加したり、ユーザーインタフェースの設計を提案したりするような仕事です。

 こうした場合に日本人は自分の感性で作ることが多いのですが、あえて外国人の目を入れることで情報が整理でき、ロジカルなプロセス化をできないかと考えています。お客様は日本人なので難しいのですが、単なる開発ではなく、サービスそのものに貢献していきたいのです。

―― ベトナムでもIT人材は取り合いになっています。

白川 人材ニーズの上昇やスタートアップ企業の増加などで、採用には時間がかかるようになりました。大学IT学部との連携などで新卒はある程度採用できても経験者、特に経験5年以上のシニア層が難しいですね。経験10年弱のリーダークラスも同様です。

 この業界で転職は珍しくありません。弊社の場合ですと、開発のプログラミング言語を変えたことでの退職者や、日本やシンガポールなど海外への転職者もおり、チームがほとんど抜けるなど厳しい状況も経験しました。

 しかし、余剰人員の配置転換や、新卒インターンの確保、大学とのコミュニケーション増など、今後にフィードバックできる経験も積めました。緊急時の対応力は上がっていると感じています。

―― ベトナム人エンジニアの印象を聞かせてください。

白川 私は応募者の面接で必ずキャリアパスを聞きます。返答で一番多いのが「テクニカルリーダーになりたい」で、自分で開発をしながらメンバーもケアする存在が身近なのでしょう。他にはプロジェクトマネジャーを目指す、技術を極める、起業したいなど様々です。ただ、彼らのせいではないかもしれませんが、日本と比較をすると職種の多様性が少ないイメージを受けます。

 また、本社のエンジニアに話を聞くと、経験5年くらいのベトナム人と日本人のプログラミング力は変わらないが、ベトナム人は専門性が高くて1つの領域が得意、日本人は周辺の知識も備えていると言います。

 チーム力では大きな差があります。なぜなら、およその平均年齢が日本人が40代ならベトナム人は20代ですから(笑)。技術力も業務知識も大規模プロジェクトの経験も日本が上で、一方の若いベトナム人は勉強熱心で成長意欲が高いことが特徴です。

 弊社には日本語研修や技術研修、シェア会、ツールを使った質疑応答などがありますが、彼らの熱意に応える教育がまだできていないと感じています。

来年、「まるっと率」を100%に!

―― 新型コロナ感染の影響はありましたか?

白川 ほとんどなかったですね。Yahoo! JAPANの売上は上昇していますし、新型コロナで伸びるサービスや落ちるサービスがあっても、合計で100ほどがあるので相殺されるようです。

 一方でのメリットもありました。一つは安定した勤務先を探す傾向が高まって、離職率が下がったこと。もうひとつはリモートワークです。ヤフーでは昨年10月から、働く場所と時間にとらわれない「無制限リモートワーク」を始めました。

 弊社は以前から日本とはリモートで連携していたため、本社のリモートワークが一般化したことで、よりやりやすい環境が生まれています。海外拠点の不利がなくなった感じです。

―― 今後の計画などはありますか?

白川 今は「まるっと率」を高めようとしています。これは丸ごと業務を任せられる割合で、業務の範囲、難易度、スピード、クオリティの掛け算で算出します。本社と同レベルが100%で、約20のサービスのすべてを、来年3月に100%にするのが目標です。

 現在はトップチームが約70%で、低いチームは25%くらい。クオリティはどこもほぼ100%なのですが、課題はにスピードです。全体の60%程度はほぼ同じかベトナムが早い場合もありますが、残りが難しく、日本が2週間ならベトナムは3週間といったペースのチームもあります。

 ベトナム人は数字で可視化させてモニタリングするのが好きなようで、ゲーム感覚で「まるっと率」を高めようと盛り上がっています。こんなところは頼もしいですね。

 今後は担当するサービスの幅を広げるよりも、弊社の仕事の領域を上げて、企画レベルの仕事を増やしていきたいです。チームでできることを増やして、人材を育成し、サービスの開発力を高める。Techbase Vietnamがいたから改善できた、リリースに間に合ったなどの実績を積み上げたいです。

 また、ヤフーの親会社はZホールディングスで、グループ全体でアジア進出を拡大させるのは間違いありません。その際にはベトナムの開発拠点である弊社が注目されるはずなので、積極的に手を上げていきたいですね。

Techbase Vietnam
白川健一 Kenichi Shirakawa
大学院卒業後、機械メーカーに入社。2001年にヤフー株式会社に入社。大手ポータルサイトYahoo! JAPANの「Yahoo!ショッピング」や「ヤフオク!」の開発部門長等を経て、2015年5月のTechbase Vietnam設立と共に現職で赴任。