日本の独立行政法人国政協力機構(JICA)の報告書によると、日本から帰国したベトナム人技能実習生の就職率は26.7%となっている。これは、中国やタイと比べて約1/2の数字だ。
JICAは、ベトナムにおける産業人材育成に関する包括的な調査報告書を発表した。それによると2021年6月時点で日本には約20万2000人のベトナム人技能実習生が存在する。これは、日本の外国人技能実習生全体の63.8%を占めている。
2017年以降、ベトナム人技能実習生の数はあらゆる分野で急増しており、最も多い建設業では9倍にも達している。これらの実習生は、実習が終了した後、ベトナムにある日本企業、日本企業との合弁企業、駐在事務所などで活躍する労働力とみなされている。
しかし、他国と比較してみるとベトナムの技能実習生の帰国後の就職率は、最低の26.7%しかない。この数字は、中国、タイ、フィリピンでは50%を越えている。ベトナム人技能実習生が帰国後に日本で学んだのと同様の職種に戻る比率も非常に低い。多くのケースでは、日本語スキルを活かして販売員、労働力輸出コンサルティング、日本語教員などの職に就いている。
「これは人材育成の無駄であり、技術移転というプログラムの本来の目的を果たしていない。」と報告書は指摘している。
341社の日本企業と40社以上の人材紹介会社を対象とした調査によると、ベトナムに帰国した技能実習生は、日本での経験がベトナムで活かせない、希望する給与条件と役職が合わないなどの理由で仕事を探すことが難しくなっている。日本から帰国した技能実習生の多くは建設業、農業、サービス業、ITなどに就職するが、日本語能力を除けば、日本で実習した経験は、ベトナムでは殆ど役に立たない。
一部の企業によると、技能実習プログラムの参加者の多くは、高卒か中卒までの学歴しかなく、パソコンスキルなども限られている。そのため、これらの技能実習経験者は採用段階で断わられやすい。また、使用期間中に辞めたり、同僚に追いつくためにさらにスキルを学ばなければならない人もいる。
多くの日本企業は、日本での技能実習生の業務範囲は非常に限定的だと考えている。日本から帰国した技能実習生はベトナムで使用されていないような一部の特殊な機械の操作を経験していると考えられており、他の労働者との比較優位性を持つことが出来ない。
また、日本から戻った技能実習生を採用する際の大きな障害として47%の企業が給与の問題を挙げる。日本での技能実習生の収入は平均1000~1500USDで、国内の製造業の初任給の3~4倍となっている。
調査対象となった人材紹介会社の23%が日本から帰国した技能実習生を採用するための情報チャンネルが不足していると回答している。多くの場合、企業は、技能実習生が自ら応募してきたり、本社や取引先から紹介されて初めて技能実習生の採用を検討する。
ある人材派遣会社によると、技能実習生はパソコンのスキルが不足しているので就職活動で苦戦することが多いと指摘する。そのため、この会社では、技能実習生が日本で働きながらパソコンスキル、ビジネス日本語、管理スキルなどを学べるオンライン学習プログラムを提供している。
労働・傷病兵・社会省の海外労働管理局もJICAと連携して、技能実習生の就職支援プログラムを展開している。このプログラムでは、帰国した技能実習生に企業からの求人情報を提供している。
出典:26/08/2022 VNEXPRESS
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