10月の業界全体の鉄鋼消費量は、不動産プロジェクトと公共投資の減速を背景に、2年ぶりの低水準にまで落ち込んだ。
最近になってホアファットグループは、11月の粗鋼生産量が前年同期と比べて43%減の38万4000トンだったことを明らかにした。鉄鋼製品の販売量も44万3000トンで同30%の減少となっている。一方で、建設用の鋼材の販売量は10月より20%増加しているが、前年同期比では7%の減少で、熱間圧延コイル(HRC)も昨年同期と比べて12%減少した。
ナムキム鉄鋼(NKG)でも状況は同様だ。DSC証券によると、NKGの2022年第3四半期のトタンの生産量は13万1121トンとなり、49%以上減少した。特に全体の2/3を占める海外輸出量の減少が顕著で、前年同期と比べて61%も減少している。
SSIリサーチによれば、ホアセングループ(HSG)の第3四半期の製造量も前年同期比で44%減少し、31万3000トンに留まった。このうち輸出向けが76%減となった。国内向けは前年同期が低迷していたこともあり、32%の増加となっている。
ホアファット、ナムキム、ホアセンだけでなく、ベトナム鉄鋼協会(VSA)のデータも業界全体の落ち込みを示している。2022年10月の完成鉄鋼生産量は、200万トン強で前月から16%近く減少し、前年同期比では29%も減少している。各種鉄鋼製品の販売量は190万トン近くあり、前月比での減少は僅かだが、2021年同期比では、29%も減少している。各種鉄鋼製品の消費量は、2020年10月以降最低で、製造量と消費量の差は約15.8万トンとなっている。
VSAによると2022年1月から10月までの経済状況は非常に安定しており、マクロバランスは有望で、インフレは抑制されていた。しかし、製造業、特に国内の鉄鋼業界の製造実態は、多くの問題に直面しており、2023年第2四半期まで低迷が続く可能性がある。
鉄鋼消費量は、年末のピーク時に向けての楽観的な予測とは裏腹に低迷した。例年、年末には、民間住宅や工場などの新築や改築による恩恵を受けるとされているが、今年はその需要があまりない。
国内の鉄鋼は主に不動産プロジェクトと公共投資によって消費される。しかし、不動産市場が法律、資本、流動性の問題に直面したため、不動産プロジェクトの多くが凍結状態となった。また、財務省の試算によれば、11月までの公共投資実行率は、計画の52.43%に留まっている。首相の割り当てた計画と比較すると実行率は58.33%で、昨年同期の63.86%を下回っている。
輸出に関しても、世界経済の低迷により、鉄鋼消費需要が大幅に落ち込んだ。ベトコンバンク証券(VCBS)の最新のレポートによると、一部の国からの注文は殆どゼロとなっている。ポミナ、ホアファット、ホアセンなど多くの企業が在庫圧力を軽減するために、一部の工場の操業を停止させた。各証券会社も鉄鋼関連企業の2022年末と2023年上半期の業績展望を慎重または、楽観できないと位置付けている。
出典:08/12/2022 VNEXPRESS
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