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【法律】現実に即さない消防規定に不満の声

(C) VNEXPRESS

ある企業の話によると自社工場の建設費用が約12億VND(約683万円)に対して、消防法の規定を満たすための工事費用には約15億VND(約853万円)かかるという。

これは、4月21日に開催された防火と消防に関する説明会で、タン・タイン・コンテナー社の労働組合長であるチャン・バン・フン氏が明らかにした内容だ。

フン氏は、同社が工場建設に約12億VNDを投資したにも関わらず当局の承認が受けられておらず、事業活動を開始したい場合は、防火と消防に関する新たな規定を満たす必要があると指摘されていると話す。「新たな規定に定められた条件を満たすためには15億VND以上の費用がかかります。現在のような厳しい経済状況では、どこからそんな資金を調達すればいいのかわかりません」とフン氏は述べた。

同様にNidec Vietnamの担当者は、現在500㎡の倉庫の改築予定があると話す。もし、新しい防火と消防に関する規定を適用した場合、コロナ前に見積もりを取った際の8億VNDの6倍以上となる50億VNDの改築費用が必要となる。「新たな規定に従って防火、消防対策を十分に実施するだけの資金がありません」とこの担当者は話す。

ホーチミン市ビジネス協会(HUBA)のリー・キム・チー副会長は、この18か月間に建設省は、3つの通達01、02、06号を連続して発行したと話す。通達06/2022号によって、既に稼働している企業と改修工事を実施していた企業は困難に直面することになった。企業側からの複数回にわたる請願により、4月11日に公安省は、企業問題解決のための公文書1091号を発行した。

しかしチー副会長によれば、この動きは現在稼働しているか改修をおこなっている工場だけの問題解決すぎない。新たに建設される工場にとっては依然として厳しい状況が続いている。

チー副会長は一例として協会に所属するある企業が3000~5000㎡の工場を建設するにあたり、防火と消防に関する新しい規定では約400㎥の水タンクの設置が必要とされたと話す。また、工場の建設には、ベトナムの市場には一般に流通していない耐火材を使用しなければならず、高コストで輸入しなければならなくなった。このような規定によって企業の負担するコストは数倍に膨れ上がる。

さらに、ホーチミン市の企業は、防火と消防に対する要件が非常に厳格に適用されており、実態に即していないと指摘する。

ホーチミン市工業団地企業協会(HBA)のレ・チョン・ラップ副会長は、建設省が各現場で適用される防火ガラスの基準に関する規定を発行したが、ベトナム国内で基準を満たすガラスは製造されていないと指摘する。耐火塗料についてもベトナム国内では製造されておらず、輸入しなければならない。コロナ以降、北部の国境ゲートは厳格に管理され輸入に支障が出ているため、多くの企業でこのタイプのガラスを設置できずに多くの案件が承認を受けられていない。

ラップ副会長は、法令を起草する際に当局はベトナム国内の建設資材製造能力がどの程度あるかを考慮する必要があると指摘する。消防に関する規定が現実に即しているか検討する必要がある。

ホーチミン市電機企業協会のキウ・フイン・ソン副会長も同じ意見で、新たな消防に関する規定は、あらゆる業種に一律に適用すべきではないと主張する。例えば電機産業は他の業種に比べて火災リスクが非常に低いため、工場検査の際に同じ基準を適用すべきではないと指摘する。世界各国に進出している外資系企業でもベトナムの新たな消防規定は対応するのが難しい内容だ。

これらの問題に対してホーチミン市企業協会のグエン・ゴック・ホア会長は、関連省庁に対して消防規定を企業が実現可能で経済的な許容範囲内に収まるように見直すことを求めている。また、消防局の発行したガイドライン1091号は、多くの企業の困難を解決することに寄与したが、通達として法令化する必要があると指摘する。なぜなら、多くの企業はこのガイドラインはあくまで消防局の内部規定であり、担当者によって異なる運用がされる危険性があると感じているからだ。

様々な企業や協会からの意見を受けてホーチミン市消防・救難救助局のフイン・ゴック・クアン副局長は、民間からの意見を検討し、早急に企業の困難を解決したいと述べた。また、ホーチミン市消防・救難救助局の権限を越える問題については、政府に解決を依頼するとしている。

これより前の4月上旬にファン・ミン・チン首相は各省庁と地方自治体に対して企業が直面する消防に関する課題を解決するように指示していた。これを受けてホーチミン市公安局は4月11日に古い基準で建築された建物に対しては、現時点では新しい基準を適用しないとの方針を示した。

ホーチミン市公安局によれば、検査の結果多くの製造施設が消防に関する規定を満たせおらず、このまま新しい基準を適用すれば多くの企業が困難に直面することになる。そのため、公安省は、製造施設に関しては建設された時点の消防規定を適用すべきだと提案している。そうなれば古い工場や改築中の工場には、現行の新しい消防規定は適用されない。これによって現在の状況が改善することが期待されている。

出典:21/04/2022 VNEXPRESS
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