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ベトナムニュース【経済】7月1日以降の製造業各社の昇給方法

(C) VNEXPRESS

2022年7月1日からの地域ごとの最低賃金の改定を前に、多くの企業が昇給について頭を悩ませている。

議定38号によると、2022年7月1日から地域ごとの最低賃金が2年ぶりに改訂され地域によって18万VND~26万VND上昇する。今回のように年の半ばで最低賃金が改定されるのは、2009年に毎年の最低賃金が改定されるようになってから今回が初めてのケースだ。これまで最低賃金の改定は、労働組合が労働者の昇給について交渉する際の根拠とされてきた。

南部で数万人の労働者を抱える革靴製造工場の労働組合幹部によると、この会社では、全従業員を対象に一律6%の昇給が計画されている。製造現場の社員の場合、これによって最低でも26万VND、最高で50万VNDの昇給となるが、同社の人件費は1か月あたり数百億VND増加することになる。

昇給額の違いについて、企業側は給与テーブルを15段階に設定したことが理由だと説明している。それによると初任給は最低賃金より7%高い額が設定されている。その後、1年働くごとに労働者の給与は5%ずつ昇給する。これが従業員の定着を奨励するために会社側が考えた固定式の昇給テーブルだ。

「長期間働いている労働者の基本給はそれなりに高くなります。」と工場側は説明する。企業が地域の最低賃金の上昇率(%)に従って、現在の給与を調整したことで、長期間働いている労働者程昇給額が必然的に大きくなる。7月1日からこの工場のエリアの最低賃金は468万VNDとなり、初任給を500万VND以上に設定すると、15段階の最高ランクの場合、各種手当を除き基本給だけで1000万VND近くになる。

工場の代表者は、論理的には会社の賃金が最低賃金を上回っていれば、会社は、従業員の給料を上げる必要はないと指摘する。また2022年の企業の生産活動はまだ完全には回復しておらず、原材料費の高騰などの問題にも直面している。しかし、もし賃金を上げなければ退職者が続出し、労働力が不安定になる可能性がある。

会社側では、全従業員の基本給を一律26万VND昇給する案や、給与レベルの高い労働者には社会保険負担を抑えるために基本給を16万VNDアップし、手当を10万VND支給するなどの案も検討された。しかし、最終的には労働力を維持するために、年間の人件費が1500億VND上昇するにもかかわらず、全員の基本給を6%引き上げる方針が採用された。

ホーチミン市7区のタントゥアン輸出加工区に入居する別の企業では、全員の基本給を一律26万VNDアップする予定だ。現在同社の新入社員の基本給は480万VNDだ。7月1日からこの金額を500万VND以上に引き上げる。この企業でも、長年働いている社員ほど給与が高くなる。

この企業の労働組合長であるフイン・タン・タイ氏は、議定38号が発行された当初は、訓練を受けた労働者に対する7%高い給与の規定が廃止されていたため、社内で大きな混乱が生じたと話す。しかし、その後の労働総同盟と労働・傷病兵・社会省の発行したガイドラインによって、労働組合と企業側は昇給内容について合意することが出来た。

「これまでの賃金交渉と比べて、今回の交渉は双方にとって厳しいものでした。」とタイ氏は話す。COVID-19が落ち着くとすぐに様々なコストが上昇した。労働者の現在の給与額は生活に十分とは言えず、労働者側のCOVID-19によって2年間据え置かれた賃金アップへの期待は非常に大きかった。一方で、企業側は、事業運営上の様々なコストが20~30%も値上がりするという状況に直面していた。

「企業の苦しさが5とすれば、労働者の苦しさは10です。」とタイ氏は話し、それこそが労働組合が企業と労働者の昇給について話し合う理由だと述べた。同社の従業員数は1400人以上で、来年には同社の人件費は、44億VND増加すると予測されている。

一部の企業では昇給についての交渉が完了したが、従業員規模の大きな会社では、依然として会社と労働組合の話し合いが続いている。ドンナイ省ビエンホア工業団地内のTaekwang Vina社の労働組合長を務めるディン・シー・フック氏は、現時点で話し合いは難航していると話す。労働組合側は、生活が苦しい労働者をサポートするために、出来る限り労働者に有利な条件を引き出すために努力しているが、一方で、企業を存続させるためにも経営状況とのバランスをとる必要がある。

労使関係研究センター(ERC)の調査によると、最低賃金が上昇した際に企業は賃金を調整する3つの方法がある。一つ目の方法は、基本給が最低賃金を下回る社員のみ昇給させる方法だ。この方法は、労働者間の賃金格差を縮小させるが、長年働いている社員ほど不公平に感じる可能性がある。

二つ目の方法は、全ての従業員の基本給を一律の割合で引き上げる方法だ。この方法を採用した場合、企業は大幅な人件費の増加を受け入れる必要がある。ただし、成果給制度を適用している企業の場合は、社会保険と組合の費用しか影響を受けない。

三つ目の方法は、既存の給与額が最低賃金を上回っているために、昇給自体を実施しないという方法だ。これは、毎年の最低賃金の引き上げによる影響を受けない最善の方法ともいえる。

ホーチミン市労働総同盟法務部のグエン・タイン・ドー部長は、議定38号が発行されるとすぐに、市の労働組合に対して下部の労働組合の給与交渉をサポートするように指示したと述べた。

賃金交渉の際の重要な注意点として、企業は法律で定められた制度に基づく手当をカットすることはできない。各種手当、賞与などは引き続き就業規則や労働契約の合意に基づいて実施する責任が企業にはある。また、企業側は労働者が現在享受している給与レベルを下げることはできず、定期的な昇給について合意がなされていることを確認する必要がある。

ERCのドー・クイン・チー博士によると、労働組合が従業員から支持されている企業ほど、会社との昇給交渉が成功している。企業内の労働組合は弱いが、上部団体からのサポートや業界ごとの労働協約による法律の規定よりも有利な条項があれば、企業との交渉能力は向上する。

チー博士によると、業界団体による労働協約は、企業内の労働組合が会社と給与交渉をおこなうために重要な基盤であると指摘する。しかし、現時点で業界団体による労働協約はゴム、石油、縫製などの国営企業のみで実現している。そのため、労働組合としては、より多くの労働者に利益をもたらすために、業界団体による労働協約に外資系企業や民間企業を積極的に取り入れていく必要がある。

出典:24/06/2022 VNEXPRESS
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